デビューから約2年半を経て届けられた初のフル・アルバム。2020年よりAAAMYYYやKan Sanoらとのコラボ楽曲を逐次発表してきた彼らだが、今回はゲストを配さずメンバーのみで作り上げた作品となった。80sシンセ・ポップをモダンにアップデートする従来のスタイルを突き詰め、より研ぎ澄ましたサウンドを提示しており、“Alright”のファットなボトムスの躍動感に高まり、メロウネスが浮遊する“doubt”が描く甘美なサイケデリアに陶然とさせられる。後半はビートを抑えたミディアム〜スロウの応酬で、ノンビートのサウンドスケープにファルセットが美しく絡む“Nowhere”に息を呑んだ。耽美かつ官能的な音像でモードの突端にアクセスしながら、耐久性の高いポップ・ミュージックに着地させた傑作だ。