TENDRE、PEARL CENTERとの出会いによって完成したベッドルーム感覚のダンス・ポップ。これまでにないチルな歌声で魅了するニュー・シングルが登場!
新たな出会いと方向性
「去年は自分のなかで大きいアルバムを作り、配信ライヴも行い、そこで考え得るすべてをやりきったと、燃え尽きた感覚がありました。その後〈次のスイッチ〉がなかなか入らず、何か新しい刺激がないと良いものにならないだろうと思いました。Kiramuneではホントに自由にやらせてもらっていて、これまでRHYMESTERのMummy-Dさんや、きのこ帝国の佐藤千亜妃さんなど、いろいろな方々とコラボさせていただき、それが強み、面白味だなと思ったので、今回のシングルは〈新しい人と出会って新しいことをやろう〉という気持ちがベースにありました」。
多彩なアーティストとのコラボ曲を通じて自身の過去から未来までを見渡した前作『Life is...』から約1年。入野自由のニュー・シングル“CHEERS”の制作は、〈より新たなアプローチ〉を模索するところから始まった。周囲のスタッフにもリサーチしつつ、さまざまな音楽を耳にするなかで出会ったのが、表題曲を作曲したTENDRE。そこから、作詞と編曲に参加したPEARL CENTERの面々へと辿り着いた。
「TENDREさんの曲は、独自の雰囲気を持っていて。聴いていて耳馴染みが良いし、何よりトラックがカッコ良い。こういう音楽ができたらなと思い、ディレクターにアタックしてもらいました。そのタイミングにご提案いただいたPEARL CENTERさんは、自分のなかにはない要素がたくさん盛り込まれているアーティストで。自分に乗りこなすことができるのか不安はあったんですけど、次の手を悩んでるときだからこそ、新たな提案に乗ってみたい、こういう出会いを逃しちゃいけないと思い、お願いすることになりました」。
柔らかなメロウネスを備えたトラックと穏やかな歌声で、聴き手をふわりと包み込むTENDRE。ソフトな色気を放つツイン・ヴォーカルと、80sのシンセ・ポップをモダンに更新したサウンドが特徴のPEARL CENTER。入野のアトモスフェリックな過去曲としては向井太一との“FREEDOM”もあるが、アクティヴなR&Bだった同曲に対し、“CHEERS”はベッドルーム感覚のダンス・ポップに仕上がっている。
「これまではどちらかというとバンド・サウンドが多くて、それこそ向井太一君に楽曲提供を受けた“FREEDOM”が自分のなかでは新しいものだったのが、“CHEERS”はそこからさらに攻めています。“FREEDOM”があったからこそ今回ここに飛び込めた、というのはありますね。TENDREさんが仮歌でゆるく歌ってるトラックが上がってきたときは、聴いただけでワクワクしました。
歌詞については、最初は〈ちょっとパーティーっぽい、楽しい曲を〉っていう話をしていたんですが、トラックを聴かせていただいたら、いわゆるパーティー・ソングっていうよりも、トラックのチルアウトな部分に寄せてもらうのがいいのかなって。力強いメロディーでメッセージ性も強いと押しつけがましくなることもあるけど、“CHEERS”はその感じがなくて、絶妙のバランスだなって思います」。
そんな楽曲とたおやかに戯れる入野の歌唱もまた新鮮だ。程良く力の抜けた加工ヴォイスが重なり合いながら、滑るようなメロディーをスムースに乗りこなしていく。
「歌に関しては、TENDREさんのあのニュアンスは真似できないし、でも、それを完全に無視して歌ってしまうとトラックとかけ離れたものになってしまう。そういった意味でもバランスが難しかったです。自分が歌うときに大切にしていた〈言葉がはっきり聴こえる〉というところはどうやっても無視できない体質というか、無視しようとしても聴こえてくるだろうというのがあるので、そこはトラックに寄せるよう意識しました」。