Mikiki編集部員が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、4人が1曲を厳選し計4曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

 


【天野龍太郎】

平手友梨奈 “かけがえのない世界”

以前からのファンのみなさんには〈今更?〉と思われるかもしれませんが、〈こんなに魅力的なヴォーカリストだったんだ!〉というのが平手友梨奈さんの新曲“かけがえのない世界”を一聴したときの感想でした。昨年末にリリースされた“ダンスの理由”に続くセカンドシングルで、作曲は平手さん自身と辻村有記さん、伊藤賢さんの3人。ジャズやR&B、ヒップホップ、エレクトロニックミュージックの要素、さらにフィールドレコーディングされたと思われる雑踏の音を用いた変幻自在のめまぐるしいアレンジが圧倒的ですが、“ダンスの理由”よりもボーカルの細かいニュアンスを伝えるような隙間があって、そこがすごくいい。配信リンクはこちら

 

【鈴木英之介】

レイラ “Gravity”

今年5月に新作『World』をリリースした横浜出身の4人組バンド、レイラがアニメ「僕のヒーローアカデミア」をイメージして作ったという新曲。静と動を行き来する繊細なドラミング(生ドラムかと思っていたら実は打ち込みだと知ってびっくり!)や、クリーントーンのギターが絡み合う美しいアンサンブルが、アメリカン・フットボールらポストロック寄りのエモバンドを彷彿させる。またどこか憂いを帯びたメロディーラインもあいまって、肌寒くなってきたこの頃の空気とよく合う。配信リンクはこちら

 

【田中亮太】

新しい学校のリーダーズ “Pineapple Kryptonite”

88ライジングに移籍してからのATARASHII GAKKO!には興奮させられっぱなしです。この新曲もしかりで、サイケデリックでSFなイントロを聴いた瞬間〈プライマル・スクリーム“Come Together”アルバムverか!〉と叫びました。と思いきや歌メロが入って以降の疾走感を持ったビートはダブステップ~往年のニュースクール・ブレイクス的。要所要所で鍵盤が印象的な働きを見せるなと思ったら、プロデュースを担当したのはマニー・マークなんですね。モンスターとバトルするMVは、マークが制作に携わったビースティ・ボーイズ“Intergalactic”のオマージュなんだとか。

 

【酒井優考】

08312027 / M.A.K.E.vortex “鼓 / オルゴールが動くとき”

2021年期待の新人邦楽アーティスト20〉ではM.A.K.E.vortexという名前で紹介しましたが、どうやら音楽をやる時の名前は〈08312027〉、小説を発表する際の名義は〈M.A.K.E.vortex〉で、ふたつ併せて活動されているようなのでこのアーティスト名で紹介を。数名のメインメンバー以外は作品ごとにクリエイターを変える制作集団の新曲は、“鼓”と“オルゴールが動くとき”という別々の曲とMVがあって、曲もMVも合体させたものらしい(“鼓動ゴとき”という曲名で販売もしている)。2曲を合体させるという意味では“STAR FRUITS SURF RIDER”を思い出すけど、この曲は拍子も違うし、歌唱担当も別。それだけでもキメラの実験みたいなのに、全体からかなりヤバめの雰囲気を醸し出していてちょっと怖いくらいです。個人的には1:37~の“Kid A”みたいな音にグッとくるので、それぞれの曲単体でも聴いてみたいな。