タワーレコード新宿店名誉店長こと椎名林檎さんが、突如リリースしたニューアルバム『放生会』。情報解禁からリリースまでの目まぐるしさに、OTK(椎名林檎のファン)のみなさまは混乱と歓喜の渦に包まれたのではないでしょうか?

そんな『放生会』の販売にあたり、タワレコ新宿店はフォトスポットや特設コーナーの展開で今回も大々的に盛り上げています。というわけで、2019年に『三毒史』『ニュートンの林檎 ~初めてのベスト盤~』のリリースの際Mikikiに登場してもらい、2021年に東京事変『音楽』についてコラムを寄稿してもらった椎名林檎担当の名物スタッフ、吉野真代さんに話を伺いました(写真の店頭展開は2024年6月8日時点のもので、変更や終了していることもございます。ご了承ください)。

椎名林檎 『放生会』 ユニバーサル(2024)

 

椎名さんが楽しくリラックスして仕事をまっとうされたアルバム

――副店長からのメールに、吉野さんについて〈タワーレコード新宿店名誉店長・広報官〉と書いてあったのですが、オフィシャルな肩書なんですか?

「それは副店長が呼んでいるだけなので、オフィシャルではないです(笑)! そんな大層な者ではないですが、新宿店のXのポストとかをしているのは私です。新宿店には椎名さんのファンのスタッフがほかにもいて、POP制作の手伝いとかはしてもらっています」

――先日、渋谷店のサイン会に駆けつけたビヨンセのファンの方のインタビューを載せて大ヒットしました。濃度が高くて愛や思いが強いファンの話こそおもしろいと思っています。

「ありがとうございます。でもSNSもPOPも、間口を広げたいという目的意識や思いでやっているんです。OTKのみなさまにお越しいただけるのはもちろんありがたいのですが、ふらっと立ち寄った方に椎名さんの音楽を見つけていただきたいんですね。

今回の店頭展開はリリースまでの準備期間が短かったものの、規模を小さくする考えはなかったので、メーカー様と話し合って、最大限盛り上げられるよう場所を押さえました。フォトスポットの絵は、実はジャケットには描かれていない部分も描き足していただいていて」

――えっ、すごいですね!

「そうなんです。新宿店のフォトスポットでしか見られないものなので、ぜひそちらもあわせてチェックしてみてください」

フォトスポットでは『放生会』のジャケットの中に入って、猫たちに囲まれながら撮影できる

――あの素敵な特製ショッパーはまだあるんですか?

「まだ終わってません! 引き続きお配りしております。配布が終わってしまった店舗もあって、今は全国で新宿店でしかもらえません。もしまだの方がいらっしゃいましたら、ぜひお越しください」

――今回のアルバムはデビュー26周年の2024年5月27日に発表されて、2日後に発売、というとんでもないスピード感のサプライズリリースでした。我々メディアの人間も何も知らなかったので、驚いた次第です。

「なのでPOPはざっくりとした印象で大味になってしまった悔しみがあるのですが、今回は楽しそうなご様子が伝わってくる、リラックスした空気の中で作られたアルバムだという印象を受けました」

――椎名さんご自身も、オフィシャルライナーノーツで「『放生会』の大きな違いの一つは、私が比較的脱力しているということ」とおっしゃっていました。

「タイトなスケジュールの中でも、CDのパッケージは相変わらずのボリュームとサイズ感で大喜びです。OTKはこのサイズで自宅のCD棚が揃っておりますので(笑)。

CDの中の装丁はご覧になりましたでしょうか? 非常に豪華で、おめでたいお祭り感がパッケージから伝わってきますし、今回もテトリスがお好きな椎名さんらしく、歌詞は文字の羅列が美しく、さらに滾るメンバーのクレジットなど、ぜひ隅々までご堪能いただきたいです。みなさま、在庫があるうちにぜひ初回盤をご購入ください! ジャケットからして椎名さんが楽しく仕事をまっとうされたことがひしと伝わってきます。いちファンの私にも楽しい気持ちが伝播して、〈やった~~!!〉という気持ちになるくらいには(笑)」