Mikiki編集部員4人とTOWER DOORSスタッフ・小峯崇嗣が邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今回は特別編として、5人が4組ずつ選んだ2021年期待の新人アーティストを紹介します。選出したアーティストの楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部
【小峯崇嗣】

ウ山あまね
衝撃度と中毒性の高いポップ・サウンドを奏でる、ウ山あまね。ユニット、神様クラブのメンバーとも知られている彼のソロ・プロジェクトは、2020年のデビューEP『Komonzo』をきっかけに、さまざまな音楽ファンから注目されています。過激でノイズめいたエレクトロニック・サウンドとトランシーで浮遊感のある特徴的な電子音を奏でており、そのサウンドは新興ジャンル〈Hyperpop〉と共振するもの。そこに彼はJ-Popの要素も組み込んでおり、その独特なサウンドに虜になること間違いなし。
aimi
次に紹介するのは、ソウルフルで耽美な歌声で魅了するR&Bシンガー、aimiです。海外のR&Bシーンと共振するようなスキルの高い歌唱力に、初めて聴いたとき慄きました。それもそのはずで、彼女は学生時代にUKのマンチェスターへ留学しており、現地のライブ・オーディションに出場。アジア人として見事初優勝を果たしています。そんなaimiは、2020年にデビューEP『Water Me』をリリース。その後も新曲をコンスタントに発表し、今年の2月24日(水)には新作EP『Changed 4 Good』のリリースも控えています。そこからの先行シングルで北海道のシンガー・ソングライター、Furui Rihoをフィーチャリングした“The Wave”もぜひお見逃しなく!
gato
TOWER DOORSの方でも2019年から注目している5人組のエレクトロニック・バンド、gato。彼らは〈バンド・サウンド〉という枠には収まらない、ジャンルを横断した幅広い音楽を奏でています。ハウスなどのダンス・ミュージックをベースに、ポスト・ダブステップやフューチャー・ベース、ヒップホップなど、楽曲によって異なる表情が見えてくるのがgatoの特色。2020年には待望のファースト・アルバム『BAECUL』をリリース。昨年そのリリース・パーティーを東京・渋谷WWWで行ったところ、チケットは完売。彼らの人気は今後も上がっていくこと間違いなしなので、ぜひいまからチェックしてください。
a子
ニューカマーでありながらも各方面から注目されている、SSWのa子。2018年から活動を開始し、2019年に〈出れんの!?サマソニ!?〉のファイナリストに選出されました。2020年にはデビューEP『潜在的MISTY』をリリースし、各所で話題に。夢うつつの魅惑的な歌声に、オルタナティヴで幻想的なサウンドが混ざり合った唯一無二の音楽性には度肝を抜かれました。また、彼女はクリエイティヴ・チーム〈londog〉を率いており、アー写やミュージック・ビデオなどヴィジュアル面もこだわり抜いています。londogによるMVは必見です。
【田中亮太】
MANISDRON
岡山を拠点に活動するサイケデリック・ロック・バンド、THE NOUPのメンバーであり、日野浩志郎率いるgoatのドラマーでもある岡田高史のソロ・ユニット。THE NOUPの特徴でもあるジャーマン・ロック~ノーウェーヴ的なリズム感覚を、本名義では打ち込みのビートにトレース。さらにマッドなシンセ・フレーズが焦燥感を煽ります。そして、聴き手の胸ぐらを掴み唾をかけながら言葉を浴びせているかのような扇動的なヴォ―カリゼーションが凄い。昨年、NYのカルトなテクノ・レーベル、L.I.E.S.から12インチ『LFAD』をリリース。今年は多くのフロアで彼の声を聴きそうです(コロナ早く終われ)。
WATER DAWGS
〈関東のリバーサイドタウンにスタジオとなる一軒家を借りて共同生活をしている〉という3人組ラップ・グループ、WATER DAWGS。彼らは昨年12月に、4曲連続リリースを実施。筆者は、その気だるいムードが漂うラップと、メンバーのY ohtrixpointneverがプロデュースを手掛けているサイケデリックなサウンドに魅了されてしまいました。MVでのメンバーのナードな佇まいもチャーミング。〈リバーサイドタウン〉がどこなのかを含め気になる人たちです。

NEHANN
当連載でもたびたび紹介している東京拠点のバンド、NEHANN。黒ずくめの洋服を纏う5人が、ダークでサイケなニューウェーヴ・ロックを鳴らしています。バウハウスやシスターズ・オブ・マーシーからホラーズ、ホワイト・ライズといったUKゴスの系譜を感じさせつつも、アンサンブルがダイナミックでアメリカン・ロック的なスケール感も垣間見える。ライブを観ていると、ナショナルを感じたり……。春頃にファースト・アルバムのリリースが予定されているそう。大きくなってほしい!
THE SAVAGE
自分はリスナーとしてはインディー・ポップやパンクやダンス・ミュージックを中心に聴きがちなんですが、そうした志向性とは別ラインで最近〈いいじゃん〉と思っているのが、このTHE SAVAGE。主にダンサーとして活躍する男女5人を集めたグループとのことですが、2ステップやUKベース、ラテン・トラップといったエレクトロニック・ミュージックの要素が色濃いサウンドと、アーバンなフロウがかっこいい。ちなみに初めて聴いたときの感想は、Spotifyのプレイリスト〈New Music Friday UK〉に入ってそう、でした。日本のポップ・シーンでは異彩を放つ存在になりそうで期待しています。
【酒井優考】
NEE
今年期待の邦楽アーティストですって、責任重大ですね。去年いろんなメディアで〈今年ブレイクするアーティスト〉に選ばれたアーティスト、ちゃんとブレイクしたのかな。さて、いろんなレーベル・レコード会社様からたくさん新人のお話を耳にしますが、こういうのは忖度なしでやりますね。まずは昨年連載でも紹介した“不革命前夜”がすでにバズっている(からズルいっちゃあズルい)〈エキゾチックロックバンド〉NEE。耳馴染みとクセの強さという相反する2つの要素があって、確実にクると思います。この曲だけじゃない! 他の曲も聴いてほしいです。
多次元制御機構よだか
こちらも昨年連載で紹介した元フィッシュライフの林直大によるソロ・プロジェクト。まだこの曲1曲しかリリースしてないけど、胸に刺さるちょい切な系メロディーとこのギターね。そして何よりこのイカす名前が絶対に話題になると思ってます。

colormal
その多次元制御機構よだかを教えてくれたのがイエナガ氏。彼のソロ・ユニットから、2021年よりバンド形態になることを発表したのがcolormalです。特に去年サンクラに発表した楽曲たちが化け物かってくらいのクォリティーで(ミニ・アルバム出してほしいっていうか自分でダウンロードしてプレイリストにして無限に聴いてる)、そこからバンドになったというのでさらなるパワーアップを期待しています。バンド形態になってからのライブは関西オンリーなのでまだ行けてないですが、ぜひ東京にも(他の地域にも)来てください。そして売れてください。
M.A.K.E.vortex
すでに紹介しているアーティストばかりなので初出しの方を。去年自分のTwitterに「こんなにオモロい曲を書く連中がいることを知ってください」とDMを送ってきてくれた、ボカロの新たな姿を探求する4人組(+α?)クリエイター集団。ボカロと人間の歌声を効果的に使い分けて、ユニゾンしたり対比したり、生活音含むいろんな音と掛け合わせたり、ぶっ壊してみたり……という、ありそうでなかった着眼点がすごい。昨年は“うっせえわ”ですっかりおなじみになったAdoをヴォーカルに迎えた“’20KYO”も強烈だったし、↑の曲もすごかった。今年は活動に力を入れていくらしいので皆様、要注目です。Twitterはコチラ。
【天野龍太郎】

大聖堂
ふとしたきっかけで紹介してもらった大聖堂。山本康博(ヴォーカル/ギター)、尾花佑季(キーボード)、成瀬圭(ベース)、町野陽輝(ギター)からなる4ピースで、2020年に自主制作のアルバム『大作戦』とEP『夏の終わり』をリリース。最新作は、年末に発表したシングル“愛の惑星”。彼らの音楽を聴いていて、Orangeade(現conte)のような職人っぷりと同じくらいに、いわゆる東京インディーのバンドが持っていたような危なっかしさとひねくれた感覚と情熱を感じます。つまり、ものすごく魅力的っていうこと。きっと、never young beachのようなバンドになっていくはず。
Penthouse
先日、シティ・ソウルのコンピレーション『City Soul:Sparkle – Today’s Soul, AOR & Blue Eyed Soul』に“Fireplace”が収録されたことをきっかけに取材させてもらった6人組のPenthouse。そのシティ・ソウル座談会の記事では詳しく触れられなかったのですが、彼らはもともと東京大学発のバンドで、メンバーにピアニストとして大活躍中のCateen(かてぃん)こと角野隼斗が名を連ねています。そんなユニークかつポテンシャル十分な彼らの魅力は、やっぱり浪岡真太郎と大島真帆という個性的なヴォーカリスト2人の歌、ソウルへの愛を感じる楽曲、そして高い演奏力。要注目です。
寝坊主
寝坊主の“空蝉”は衝撃的でした。やぶれかぶれなフロウに打ちのめされて、連載〈Mikikiの歌謡日!〉で紹介したのが昨年9月。2019年のTHE MAGAZINEによるインタビューでは「16歳です。愛媛に住んでます」と語っているので、まだ18歳か19歳のはず。Junes Kとの作品『九龍庭園』や〈K/A/T/O MASSACRE〉への出演などで、どんどん注目されている印象。影響を受けたアーティストは「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、Radiohead、Tohji」だというのがすごいし、Instagramなどのアイコンが映画「アカルイミライ」のワンカットなのもなんだかいい。
オリーブがある
最後の1組は迷いました。というのも、紹介したいアーティストはまだまだたくさんいるから。迷った末に選んだのは、Local Visionsからリリースしたシングル『BLESS ME / 裸のSummer』が素晴らしかった〈オリーブがある〉。JAWZZとko wadaによるオリーブがあるは、まずシティ・ポップの楽曲を〈元ネタ〉として作ったうえで、それをセルフ・サンプリングしてヴェイパーウェイヴやフューチャー・ファンクにしてしまう、かなりコンセプチュアルなユニット。その〈元ネタ〉のセンスがレイト80sやアーリー90sを思わせる絶妙なサウンドで、またすごいんです。2021年の活動にめちゃくちゃ期待しています。
【鈴木英之介】

ミンモア
先日2021年2月3日にファースト・フル・アルバム『帰郷の日』をリリースしたばかりのバンド。ほんのりとサイケデリアが漂う白昼夢のようなバンド・サウンドに、素朴さと洗練が同居する叙情的な歌が乗る。その取り合わせから〈ソフト・サイケ〉などと形容される音楽性には、山本精一によるフォーク・ロック・バンドの羅針盤や渚にてなどに通ずるものが感じられる。あるいはどこか彼岸的なムードを湛えた女性ヴォーカルから、ヴァシュティ・バニヤンを想起する人もいるかもしれない。歌ものと音響系、どちらか一方でも好きな人は必聴。
タケトモアツキ
2020年9月にアルバム『無口な人』でデビューした、宅録系のシンガー・ソングライター。普遍性を持ったみずみずしく切ない歌を、エレクトロニカやアンビエントR&B以降のモダンな音響感覚を通して鳴らしている。そのバランス感覚は、彼が影響を受けたというボン・イヴェールやジェイムズ・ブレイクといったアーティストを彷彿させる。日頃メインストリームのJ-Popに親しむライトなリスナーからうるさ型の音楽マニアに至るまで、幅広い層からの支持を集める可能性を秘めた逸材だ。
Ogawa & Tokoro
2020年8月に名門KAKUBARHYTHMから『Shinmaiko』をリリースした、宅録ユニット。とろけるように甘くドリーミーな旋律と、自然音のエフェクトを巧みに用いた浮遊感あふれる音像からは、80年代 にリリースされたリゾート・ミュージックの名盤、たとえば山下達郎と細野晴臣、鈴木茂によるコンピレーション『Pacific』やス
ティーヴ・ハイエットの『Down On The Road By The Beach』 (邦題:『渚にて…』)といった作品との親近性が感じられる。ほかにも砂原良徳やTOWA TEI、Dorianといった、ラウンジ・ミュージックの影響を受けたエレクトロニック・ミュージックも彼らの参照項としてあるかもしれない。
秋山璃月
2017年、10代限定の音楽フェス〈未確認フェスティバル〉でグランプリを受賞した新進気鋭のシンガー・ソングライター。その後には、ミニ・アルバム『DAWN TO YOUTH』をリリースしている。 彼の存在は、私が以前から推しているシンガー・ソングライター松木美定のTwitterを通して知ったのだが、ガレージ・ロックからダン ス・ミュージックまで消化したデビュー当時のベックのようなローファイ・サウンドと、やけっぱちのようでいて聴き手の快楽中枢を的確にヒットしてくる歌が完璧に組み合わさっており、その才能に驚かされた。フル・アルバムを聴ける日が待ち遠しい。

