ソロやボーイズ・グループのX4でのキャリアを経て、俳優としても活躍する松下優也が、YOUYA名義で音楽活動を開始した。J.E.T. MUSICという新たなレーベルでさまざまなものが「180度変わった」と語る彼だが、だからこそできることがあるという。

 「自分たちが形にしたいものを、より表現できる環境でやらせてもらっているなって思います。俺らだけでは形にならないものが、いろんな人の繋がりやサポートでできている感じですね。新しいことに挑戦しているので、純粋にすごい楽しいです。YOUYAとしては新人でも、本当の意味で新人ではないので……その経験のほとんどはキャリアの中でプラスに働いているけど、考えが少し凝り固まってた部分もあったと思います。音楽はいろんな人に聴いてもらうことも大事なので、〈こうあるべき〉っていう自分の中のリミッターみたいなものは良い意味でなくなったかもしれないです」。

YOUYA 『OVERTURE』 J.E.T. MUSIC(2021)

 このたび登場の初EP『OVERTURE』は、昨年11月の配信シングル“Ghost”と同じく、韓国のAVINが全曲のサウンド・プロデュースを担当。一緒に動いているチームの繋がりで出会ったというAVINだが、“Ghost”はAVINが提供したトラックにYOUYAがメロディーを書いて作られたのに対し、今回のEP収録曲はYOUYA側からのアプローチで制作されたという。軽やかな歌声で幕開けを飾る“Dance With Me”、甘さと切なさを併せ持つ“You Were Mine”など、R&Bやヒップホップをベースにしつつも各々テイストの異なる7曲は、ラストの“Interstellar”が終わると、また1曲目から聴きたくなるような中毒性の高さも魅力だ。

 「一人の人にやってもらったほうが世界観もまとまるし、AVINがめちゃくちゃ良かったので、お願いしました。AVINにも自分の色があると思うんですけど、こっちからのリクエストに対して、さらに上回るものを返してくれるので、その対応力にびっくりしました。でも、まだ実際に会ったことも喋ったこともないっていう(笑)」。

 一方、作詞にはYOUYA名義のこれまでの作品にも携わってきたYui Muginoが参加。ほぼ英語で綴られ、ストレートな表現も印象に残る。

 「英詞にしているのは、〈YOUYA〉というアーティストの姿勢が大きいかもしれないです。いまはYouTubeで字幕も出せますし、歌っていることをフォローできるのであれば、英語のほうが伝えたいことをより多くの人に届けられるんじゃないかっていうのもありますね。日本語ってわりと抽象的な表現が素敵だなと思うのですが、自分の場合は英語的な感覚のほうが盛り込めることが多くて。ただ、日本語だけの曲もいずれはやりたいと思ってます。今回の歌詞は、俺が日本語で書いたものをYuiちゃんに料理してもらってて。一曲一曲、価値観やストーリーのすり合わせから始めたのですが、自分としては明確に言わない書き方も好きなので、〈聴いた人が答えを見つけてくれたらいいや〉って、ふんわり書いたらYuiちゃんにめっちゃ詰められたりしましたね(笑)」。

 EPの制作期間は1か月半ほど。その圧倒的な速度は、現在のチームが大きく影響している。

 「いまコライトみたいな形で取り組んでますけど、そのほうがいいなって。俺が考えすぎてよくわからない方向に行ってもサポートしてくれる人たちがいるし、他の人が行き詰まった時に自分から出せるものもあるんじゃないかって。このスタイルじゃないとこんなに短い制作期間でこの作品は出来なかったと思うんです。自分だけだったら前に進むスピードってもっと遅いし、ある意味、他力本願なところもあるかもしれないですね」。

 縁や流れに身を任せる部分もありつつ、新たに見える景色に向けて、一つ一つの経験を丁寧に積み重ねていく日々。YOUYAとしての活動は、まだ始まったばかりだ。11月6日には舞浜アンフィシアターでのリリース・ライヴも控えている。

 「作品が出来上がったいまは、なるべく多くの人に届くといいなってすごく思いますし、次はライヴですね。不器用なので俺は目の前のことをやっていくだけなんですけど、自分みたいなスタイルのアーティストって日本ではそこまで多くないと思うんです。だからこれまで行っていないフィールドにも挑戦したいし、曲の制作やフィーチャリングもやりたいです。この活動が自分を思ってもいないところに連れていってくれていると信じています。世界に出ていけるのかわかんないですけど(笑)、前に海外でライヴをしたときも盛り上がりが凄かったし、〈日本の音楽〉というのもこっちが勝手に括っているだけで、自分たちが望めばその隔たりは超えられる、それができちゃう世界になってきていると思うので、不安はないですね。チャンスが来た時にいいものができるように、着実にやっていきたいです」。

 


YOUYA
90年生まれ、兵庫出身のシンガー/俳優。中学時代から渡米して音楽を学び、本名の松下優也で2008年にシングル“foolish foolish”でメジャー・デビューを果たす。俳優としての活動も行う傍ら、アルバム2枚を残した後に自主レーベルを設立。2015年にダンス&ヴォーカル・グループのX4を結成し、改めてメジャー・デビュー。2016年にはNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に出演して脚光を浴びる。X4でコンスタントに作品を重ねながら、2019年にはYUYA名義でソロ・アルバム『BLACK NEVERLAND』も発表。2020年のX4解散を経て現名義でのソロ活動をスタートし、このたびファースト・ミニ・アルバム『OVERTURE』(J.E.T. MUSIC)をリリースしたばかり。