メンバー全員がソングライターかつマルチ・プレイヤーである京都在住の5人組バンドの3作目だが、こりゃ名盤の匂いがプンプンする。それぞれが3分未満の全14曲を収録。資料には〈ビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』の現代版〉とあるが、むしろ2011年に正規リリースされた『Smile』を連想させられるところもある。同作のサイケ成分を3割増しにしたかの如き音像は、彼岸でひっそりと鳴っているかのよう。曲調は多彩だが、アナログかつヴィンテージな質感で統一されており、散漫な印象は皆無。その緻密な構築美は、フランク・ザッパからクイーン、ルー・リードなどの才人が遺したコンセプト・アルバム群に比肩するほどだ。引き出しが無限にあるかのようなアレンジも冴えている。