ヤバさを更新した

そのように勢いを増すなかで届いたのが、4曲入りのニュー・シングル“I would prefer not to”だ。これまでも、変拍子ポスト・ロック直系の“BLOOP”といったライヴでも人気の楽曲が並ぶ『debutante』、EDMと和テイストの融合にキング・クリムゾンへのオマージュを忍ばせた“JAPANESE HORROR STORY”収録の配信EP『KAWARA GIRLS』など、一筋縄ではいかない作品によって支持を広げてきたsituasionだが、今作では〈生と死〉をテーマに掲げ、さらにディープな世界に踏み込んでいる。
愛実「“JAPANESE HORROR STORY”がファンの人たちからいちばんヤバいと言われる曲なんですけど、今回のシングルでそのヤバさを更新したと思います」
杏優「“I would prefer not to”はエモい感じですけど、他の曲はいい意味で気持ち悪くて、そういうところは今回もsituasionらしいなって思いました」
輝菜「今回は新しい試みもあって、歌わない曲があるんですよ」
〈胎児〉〈胎芽〉を意味するそのインスト曲“embryo”で産声を上げる本作。続く“闇に関する報告書”では歪んだギターが支配するダークな音響のなかで、6人の感情希薄な歌声が悪夢めいた音世界を演出。さらにサイケ・トランス調のトラックに乗せて〈らんらんらんらん〉という無邪気なフレーズがリフレインされる“樹海紀行”でコアな〈状況〉を現出させる。
愛実「“闇に関する報告書”は歌詞が全部英語で、意味がそもそもわかっていなかったので、正直レコーディングの時は何も考えずに歌えました(笑)」
杏優「“樹海紀行”は〈らんらん〉の言い方がみんな違っていて、メンバーの個性が出ている曲だと思います」
輝菜「この曲で初めてハモリをやったんです。いきなり言われたので〈えっ!〉ってなったんですけど、たぶんうまく歌えました(笑)」
愛望「これは本当なのかわからないんですけど、“樹海紀行”は最後に縄がギシギシいってるみたいな音が入ってるので、〈えっ?〉と思ってプロデューサーさんに聞いたら、作業音が入っただけって言ってました」