喜矢武さんは役に入り込むと抜け出せないんです

12月6、7日、東京・有明アリーナにて〈ゴールデンボンバー全国ツアー2025「喜矢武豊」〉の東京公演が開催された。今年もロックフェスからのど自慢まで様々な場面で安心安定の盛り上げ役、プロフェッショナルな賑やかしとしての存在感を示した1年だった。そんな彼らの真骨頂は、やはりワンマンライブのステージにこそある。本記事では、感動と笑いの渦に包まれたツアー最終日、2日目のファイナル公演の模様をレポートする。

ゴールデンボンバーのワンマンはツアータイトルにちなんだストーリー映像から始まる。昨年は楽器を演奏しない3人に業を煮やした鬼龍院翔(Vo-karu)がクビを宣言、一昨年は樽美酒研二(Doramu)がオナラによるパフォーマンスに失敗したことからトラウマを抱えてしまうなど、メンバーの誰かしらが原因でエアーバンド活動に支障が出るという展開になるのが定番である。今回の発端はツアータイトルに冠されているとおり、喜矢武豊(Gita-)である。

オープニング映像では、エアーバンド活動と並行して俳優としての活躍もめざましい喜矢武の姿が映し出される。〈どんな役にも憑依できる〉と自負する彼が次に挑むのは傍若無人な恐竜の子供・ガチュピン。撮影で多忙な日々が続くためか、ゴールデンボンバーの活動をおろそかにしてしまっているようだ。この日もニコニコ生放送の打ち合わせに遅刻しており、不満そうな残りのメンバーたち。ガチュピンメイクのまま打ち合わせに現れた喜矢武に対して苦言を呈す鬼龍院。だが、ガチュピン役に入り込んだ喜矢武はその声に耳を貸すどころか殴打で鬼龍院を沈めてしまう。さらには「じゃあな! オワコンのエアーバンドたち! フーゥ」と、ガールハントに出かけてしまった。「喜矢武さんは一度その役に入り込むと抜け出せないらしいんですよ」と歌広場淳(Be-su)。「もうすぐ全国ツアーなのに」と不安げな樽美酒。「ふざけんな!」と怒りをあらわにする鬼龍院。それを目の当たりにしたドワンゴ社員が失禁するほど最悪な空気から今回のワンマンライブはスタートした。

 

これだけたくさんの人に役立たずと言われたら来世は安泰

会場内のスピーカーからシンバルのカウントが発せられ、1曲目の“ワンマン不安”のイントロが流れ出すと樽美酒、歌広場、喜矢武、そして鬼龍院がステージに登場。「行くぜファイナル!」と呼びかける鬼龍院の声に気合いがにじむ。2曲目の“Hey Yo!”ではそれぞれがマイクをとってのラップパートで会場を盛り上げていく。

「ようこそ来てくださいました!」と深く頭を下げる鬼龍院に続いて「ありがとう!」と感謝を口にするメンバーたち。アリーナ席からスタンド席までそれぞれの観客に呼びかけ、鬼龍院の「キスミー!」の挨拶を皮切りにメンバー紹介へ。喜矢武は今年公開された自身の出演映画「ザ・ゲスイドウズ」(宇賀那健一監督)でアフロのベーシストを演じるも、「地毛で演じることができなかったのが心残り、これから地毛をアフロにします!」と宣言。

歌広場は「縁の下の~」「役立たず~」と、自虐的なコール&レスポンスを観客と繰り広げ、「これだけたくさんの人に役立たずと言われたら来世は安泰」と満足げだ。

「最近パチンコ屋でアルバイトをしている」という樽美酒は急にパチンコ店員のマイクパフォーマンスを早口でまくし立て、さらに「ライブに集中できていない」と言い出しメンバーは困惑。(※なお、樽美酒は過去に実際にパチンコ店でアルバイト経験がある)