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全3部構成の中に、フランク作品とオルガンの歴史を凝縮

 コンサートは全体が3部に分けられている。第1部は〈フランスのオルガン音楽の系譜とフランク〉と題され、梅干野安未(ほやの・あみ)が演奏を担当する。フランクの“幻想曲 イ長調”(1878年)に始まり、バロック時代のフランソワ・クープランの“修道院のミサ”より“ティエルスをテノールで”、古典派時代のボエリー(1785~1858)の“幻想曲とフーガ”、カヴァイエ=コルの親友でもあったルフェビュール=ヴェリー(1817~1869)の“演奏会用ボレロ”、サン=サーンスの“7つの即興曲”より第4曲“アレグレット”とロマン派時代の作品が続き、さらに20世紀を代表するオルガニスト・作曲家であったモーリス・デュリュフレ(1902~1986)の“来たれ創り主なる聖霊によるコラール変奏曲”と、フランクの作品を挟みながら、フランスのオルガン音楽の歩みを俯瞰する。

 演奏を担当する梅干野は東京藝術大学及び大学院を卒業後、パリ国立高等音楽院でオルガンを学び、2015年のデュドランジュ国際オルガンコンクール(ルクセンブルク)で優勝を果たしたオルガン奏者。2014年からは所沢ミューズ第3代オルガニストとしても活躍している注目株である。

 第2部は〈ドイツ・ロマン派とフランク〉と題され、廣江理枝が演奏を担当する。演奏されるのはともに大曲2曲。まずフランツ・リスト(1811~1886)の“コラール「アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダム」によるファンタジーとフーガ”(1850年)、そしてフランクの“交響的大曲”(1863年)という、どちらもロマン派時代の“交響的オルガン曲”を代表する作品である。

 リストの作品は、1849年に初演されたマイアベーアの歌劇「預言者」の中心となる音楽をテーマに作曲された壮麗なもの。なかなか実演で聴くことのできない作品のひとつである。フランクの“交響的大曲”は優れたピアニスト・作曲家であったアルカン(1813~1888)に献呈された。フランクはアルカン作品の編曲も手がけており、その才能を高く評価していたと言う。

 演奏を担当する廣江理枝は東京藝術大学を卒業し、1998年にシャルトル大聖堂国際オルガンコンクール(フランス)でアジア人として初めて優勝した。現在は東京藝術大学の音楽学部器楽(オルガン)科教授として後進を育てる一方、東京藝術大学奏楽堂での〈オルガン・プラス〉コンサートなどでも活躍している。