(左から)中山優貴、シュネル、手島章斗、向山毅、木全寛幸
 

最近はTVでボーイズグループを目にすることが増えた。“CITRUS”でレコード大賞を獲ったDa-iCEやSKY-HIがプロデュースするBE:FIRST、オーデイション番組〈PRODUCE 101 JAPAN〉出身のJO1やINI。それらグループの多くは〈圧倒的なパフォーマンス〉などと謳い、ダンスに力をいれている。

一方で、この春にメジャーデビュー8周年を迎えるSOLIDMOはボーカルグループだ。全員が身長180cm前後という抜群のプロポーションを誇りながらも、歌に重きを置いた活動を展開しアカペラも難なくこなす。抜群の歌唱力とハーモニーで、一聴き惚れしてしまうアーティストこそ、SOLIDEMOなのである。

昨年の3月末にはメンバーが3人卒業し、新体制初となるアルバム作品にあたるのが、1月26日にリリースされた『Ⅴoice』だ。5人体制初リリースとなった“Presious one”やメジャーデビューシングル“THE ONE”のアカペラバージョンなどを収録し、今のSOLIDEMOを存分に味わえる内容に仕上がっている。

このインタビューでは、5人体制になってからの1年を振り返ってもらうとともに『Ⅴoice』にかける想いや2022年の野望などについて訊いた。

SOLIDEMO 『Ⅴoice』 avex trax(2022)

〈全力で歌って届ける〉ということはどんな状況でも揺るがない

――昨年の4月に5人体制になってからの、この1年間はいかがでしたか。

向山毅「メンバーそれぞれがSOLIDEMOだけでなくソロの活動もしていたので、すごくあっという間でした。言葉を交わす機会も増え、特にライブについてはよく話し合いましたね。今まで歌ってきた曲を5人でどう見せていくか、歌割やコーラスをどうするか。そして、やっとCollars(SOLIDEMOのファン)のみなさんとお会いできるようになった年でもあり、1回1回のライブがとても大切でした」

中山優貴「ライブができるありがたみを感じたよね。去年はオンラインライブが中心でしたけど、今年に入ってからは実際にお客さんを目の前にしてライブができていますし。再開当初は、オレンジのペンライトやマスクをされてても笑ってくれてる顔がわかって〈ああ、これだよな〉って噛みしめてました」

――オンラインとオフラインでは、やはりライブをしているときの感覚は違いますか。

シュネル「〈全力で歌って届ける〉ということは揺るがないので、伝え方としては変わらないですね。オフラインのほうが、目を見て歌えるから伝えやすいっていうのはあると思います」

中山「オンラインには、地方の方やなかなかお仕事でライブに来られない方にも、リアルタイムで届けられるという良さがある。たしかに拍手などを実際に耳にするほうが、みなさんのことをより身近に感じるというのはありますが、もらったコメントを見ることでも一緒にライブを作ってる実感はありますし。目の前の人に伝えるか、画面越しにいるたくさんの人を想像しながら伝えるかの差くらいですね」

――コロナ禍での全体的な活動の進捗は、いかがですか。

シュネル「以前であれば、インストアライブなどいろんな人に知ってもらえる機会があったんですけど、今はそういう活動が制限されています。生で歌を聴いてもらうのが一番だと思っているので、歯がゆさはありますね」

――となると、思うように活動ができない現在は、みなさんにとって充電期間のような認識でしょうか?

手島章斗「充電期間というよりは、〈今まで以上の自分をライブで見せられるように、各々が自分と向き合っている期間〉だと思います。コロナ禍に突入し時間ができたことで、個人としてできることや挑戦したいことが明確になりました」

シュネル「僕だったら、料理やモノマネ、作曲とか。メンバーによって得意分野があるので、それぞれが個人で取り組んでいます」

手島「今までの自分やSOLIDEMOを超えていいものを見せないと、僕たちを一生懸命に広めてくれているファンの人にも失礼だと思うので」

 

ボーイズグループ全盛の時代、僕らは歌でリスナーと繋がりたい

――昨今では踊りの上手さを強みにしたボーイズグループが増えましたが、その現状をボーカルグループとしてどのように受け止めていますか。

手島「そもそもフィールドが違うので、特に何も感じていません。ダンスボーカルグループにはダンスボーカルグループの良さがあるし、ボーカルグループにはボーカルグループの良さがある。単純に表現の幅が違うだけだから、自分らが寄せる必要もないし、向こうがこっちに寄せる必要もない。お互いがリスペクトできる関係かな」

――特に意識していないと。確かにSOLIDEMOにはSOLIDEMOにしかない良さがあると思います。では、どういうボーカルグループになりたいですか?

木全寛幸「僕らはずっと聴かれる曲や自分も歌いたくなるようないい歌を生み出せるグループでいたいです」

シュネル「気持ちに寄り添いながら歌えるアーティストになりたいですよね。僕自身が歌に元気づけられたり背中を押されたりした経験があるので、今度は僕がみなさんを支える立場になりたい。アーティストとファンという関係ではあるけど、心で近づきたいんです」

――先ほど言及された〈ずっと聴かれる曲〉とは、どのようなものだと思いますか。

木全「率直にいうと、結果論な気がしていて。たくさん聴かれたから、結果的に〈いい曲だよね〉と認定されるというか。その曲がいい曲かどうかは、リリース時にはわからない」

手島「僕ら歌い手は〈こういう想いで曲を作りました〉と提示こそしますけど、曲はリスナーによって育てられるもの。いい歌かどうかは、僕らではなくリスナーが判断することなので」

――とても達観していますが、グループ結成時からそのように考えていたのですか。

手島「活動していくなかで、現在のような考えになったのかもしれないですね。ちょっと前に優貴くんと〈SOLIDEMOの代表曲ってなんだろう〉と話していて、最終的には〈代表曲って俺らが決めることじゃなくて、世間のみんなが決めることじゃない?〉となったんです。それと同じだと思うんですよ。いい歌や長く歌い継がれる歌には何か理由があるけど、結局のところリスナーありきなんですよね」