YOASOBIのikuraこと幾田りらも所属していたセッション・ユニット=ぷらそにかを2020年に卒業した、日本と中国をルーツに持つシンガー・ソングライターの初フル・アルバム。自身で〈いわば名刺みたいなもの〉と定義づけた内容は、ヴァラエティーに富んだ選曲で多彩な魅力を表現。切なく胸に響くメロウ・ナンバー“DON’T PLAY THE LOVE SONG”に続き、TOOBOEが参加した“婆娑羅”は変則的なトラックに乗せて畳み掛ける歌唱が印象を残す。かと思えばピアノとギターの音色も美しい“不可抗力”はリスナーに寄り添うように音楽を奏でていく。透明感があり、どんなメロディーにもフィットする憂いのある歌声は、変わり続ける時代や景色、ふとした瞬間に抱く思いを、これからも丁寧に伝えてくれることだろう。