(左から)真栄里英樹、安富祖貴子

ウチナー・ジャズの現在を伝える贅沢なショーケース・アルバム、登場

 沖縄復帰50周年ということで関連の企画が目白押しの2022年。沖縄を拠点に活躍するジャズメンを集めたアルバム『ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン』がリリースされた。戦後1972年までアメリカ統治下だった沖縄では、米軍基地の中で仕事をするプレイヤーや演奏のためにフィリピンからやってくるジャズメンも多数いて、彼らが沖縄ジャズの基盤となった。さらに現代に生きるプレイヤーたちも加わることで1つのムーヴメントになっているともいえる。そんな沖縄ジャズの現在を伝えるこのアルバム。プロデューサーとして全体をまとめたのはトロンボーン奏者であり、自身のビッグ・バンドのリーダーでもある真栄里英樹。実は14年前に沖縄ジャズ協会名義でリリースされたアルバム『ウチナーJAZZ!』でOJA(沖縄ジャズ協会)ビッグバンドの取りまとめと一部アレンジを担当していたのだが、今回は自らのビッグバンドを率いて参加している。

ウチナー・ジャズ・オール・スターズ 『ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン』 RESPECT(2022)

 「もう立ち上げて6年になります。ビッグバンドは自分自身好きなスタイルだし、沖縄に演歌歌手が来沖したときに、現地のバンドが使われることがよくあって、そんな時しっかりした演奏ができるバンドを作りたかったんです。若い才能の受け皿の意味もあります」

 さらにベテランサックス奏者のテリー重田率いるカルテット。フィリピンから米軍基地にやってきて、復帰後も沖縄に残ったサックス奏者、アラン・カヒーペと彼が参加するカルテットJIJI324。86歳の現役ドラマー上原昌栄。那覇の伝説的ライブハウスのハウスバンドでもある屋良朝秋 寓話カルテット。そして魂を揺さぶる歌を聞かせるヴォーカリスト、安富祖貴子が参加している。

 「テリーさんやアランさん、上原さんはみんな尊敬する神様みたいな存在ですが、戦後、沖縄のジャズを牽引してきた先輩達からのバトンを引き継いだ感覚があるし、それを音に残したかったんです。世界的に見てもこんな素敵なベテラン勢が、こんなに小さな島に沢山いることは奇跡的なことだと思います。(安富祖)貴子さんは昔から知り合いで、帰郷してすぐに一緒に活動したこともあります。その後ご無沙汰したけど、この数年一緒することも増えました。歌声も歌に対するスタンスも素晴らしい方です」

 まさに現代沖縄のオールスターメンバーを集めた演奏は、不思議と聞いていて癒やされるサウンドに仕上がっている。奥が深い沖縄ジャズの魅力に是非注目したい。

 


LIVE INFORMATION
“Uchina Jazz Goes On” Uchina Jazz All Stars Special Concert 2022
2022年7月30日(土)沖縄 ミュージックタウン音市場
開場/開演:18:00/19:00
出演:真栄里英樹 BIG BAND/上原昌栄(ドラムス)/安富祖貴子(ボーカル)/ JIJI324/テリー重田カルテット/屋良朝秋 寓話カルテット
https://musiclaneokinawa.com/archives/53081