〈Night Spectacles〉――俳優が歌うコンサート・シリーズ――歌う吉田羊の世界へようこそ!

 今年でデビュー25周年を迎える女優、吉田羊。これまで彼女は、舞台、映画、テレビと様々な分野で活躍してきたが、そんななか、その歌声が密かに話題を呼んできた。2018年にJUJUの楽曲“かわいそうだよね(with HITSUJI)”に〈HITSUJI〉名義で参加してデュエットを披露。ポカリスエットのCMでは鈴木梨央と様々な名曲を歌い、吹き替えで参加した「アナと雪の女王2」でも歌声を聴かせた。そんな彼女が、WOWOWが企画する俳優が歌うコンサート、〈Night Spectacles〉シリーズのトップバッターを務めることに。今後、歌い手としても注目を集めそうな彼女に、子供の頃から大好きだったという音楽との関係について話を訊いた。


 

――今回、吉田さんは〈Night Spectacles〉の記念すべき1回目に選ばれましたが、話が来た時はどう思われました?

「私がトップバッターなんてとんでもない!と思いました。でも、今年デビュー25周年という節目を迎えて、ファンの方と一緒に特別なかたちでお祝いをしたいと思っていたので、それができるかもしれない、と思って出演を決めたんです」

――以前、JUJUさんとの共演曲“かわいそうだよね(with HITSUJI)”がリリースされた時は、JUJUさんのコンサートに招かれて武道館で歌われたんですよね。

「トークを入れて20分くらいの短い時間でしたけど、すごく緊張しましたし、勉強になりましたね。歌手には歌唱力や表現力はもとより、トーク・スキルとかユーモアのセンスも必要で、お客さんを巻き込んでいく力がないといけないんだなって痛感しました。その点、JUJUさんはオールマイティーにできる方なんですよね」

――吉田さんは女優としていろいろな舞台に立たれていますが、それとは違った緊張感があった?

「お芝居とは全然違いますね。というのは、芝居の時は役を演じているじゃないですか。吉田羊である必要がない、ということが安心感になるんですよ。でも、歌う時は限りなく素に近い状態になるわけですから怖いんです」

――歌う時はすっぴんになるわけですね。

「そう言われると恥ずかしいですけど(笑)、そうなりますね。カラオケで歌う時はいつもモノマネしちゃうんです」

――どういった方を?

「椎名林檎さんや中島みゆきさんは憑依しちゃいますね。歌う時はできるだけ原曲に近づけたいと思っていて、憑依させないと感じが出ないし、声も出ないんです。中島みゆきさんの“地上の星”は必ず裸足で髪を振り乱して歌うんですけど、テッパンで盛り上がりますね(笑)」

――それはすごい(笑)。邦楽をよく聴かれているんですか?

「私は小さい頃からジャパニーズ・ポップスの王道を聴いて育ったんです。テレビっ子だったので『ザ・ベストテン』とか『夜のヒットスタジオ』とか、歌番組は大好きでよく見ていましたね。小さい頃は聖子ちゃんとか明菜ちゃんを真似して歌って踊っていました。中学生の頃はアイドルにハマって光GENJIを追いかけていて、高校生になってからはドリカムさん、その後矢井田瞳さん、椎名林檎さんなんかを聴くようになりました。あと、その時々にお付き合いしていた方の影響を受けたりもして、THE BOOM、THE YELLOW MONKEY、THE HIGH-LOWSといった男性アーティストの曲も聴いてました」

――いろいろなアーティストを聴かれてきたんですね。どのようなタイプの曲がお好きですか?

「小さい頃から賛美歌を聴いて育ってきたので旋律が美しい曲に惹かれるみたいです。カラオケで歌うのもバラード系が多いんですよ。邦楽だけではなく洋楽も歌いますし、演歌も歌います。喫茶店で流れている曲で気になったら、すぐシャザムしてダウンロードしちゃうんです」

――本当に音楽がお好きなんですね。そして、その原点が賛美歌だったとは。

「うちは7人家族なんですけど、父が賛美歌を歌い始めると、家族がそれぞれ自分のパートを歌い始めてハモるんです。よく家族で賛美歌を合唱していました。だから、お正月に兄姉のパートナーたちが実家に来ると、家族がいきなり賛美歌をハモり始めるので最初はみんなびっくりするんですよ(笑)」

――吉田さんの伸びやかな歌声は賛美歌で鍛えられたんですね。

「そうかもしれませんね。あと、母親が声楽をやっていたので、子守唄がすごく上手だったんです。子守唄って子供に影響を与えるそうですから」