ミュージカルや舞台で俳優としても活躍するAKANE LIV(ボーカル)率いるLIV MOONが、音源としては『R.E.D』(2016年)から6年ぶり、フルアルバムとしては『THE END OF THE BEGINNING』(2012年)から10年ぶりとなるアルバム『OUR STORIES』を2022年12月21日(水)にリリースする。新たに契約したWalküre Recordsへの移籍第1弾作品でもある。
華々しくデビューして以降、活動が停滞していたように映る時期もあったが、本作を耳にすれば、意気揚々と新たな道へと歩みを進めつつあることがわかるはずだ。その一つの要素が、従来は多くを外部の作家陣が手掛けていた作曲を、長らくステージを共にしてきたメンバーにも委ねたことだろう。〈バンドサウンド〉を前面に押し出した世界標準のシンフォニックメタルは確実な進化を遂げている。今春には待望の東名阪ツアーも決定。『OUR STORIES』に収められた新曲群のライブにおける表現にも注目が集まる。
そんな『OUR STORIES』について、AKANE LIVに話を訊いた。
生のバンドサウンドにこだわった音を届けたい――コロナ禍を経た思い
――音源としては6年ぶり、フルアルバムとしては10年ぶりとなる『OUR STORIES』。まさにようやくのリリースになりますね。完成した今、どんな手応えでしょう?
「今までもクレジット的に〈Produced by AKANE LIV〉というのはあったんですけども、こんなに裏も表もすべて自分で仕切って作ったアルバムは初めてでしたね。
ビクターを離れて、新たにWalküre Recordsとご一緒することになって、今回はバンドサウンドにこだわろうという話を担当のディレクターさんとしていたんです。今まではシンフォニックメタルというカテゴリーにこだわって作ってきましたけど、そうなるとどうしてもクワイアだったり、生の音よりも作り込まなきゃいけない音がすごく多かったんですね。それにアルバムを重ねるごとに生の音がちょっと減っていった印象が自分自身にもあって。そんな中で、今回はバンドサウンドを前面に押し出したものを作りたいなと思ったんです。
それがきっかけでバンドメンバーにも曲を提供してもらったりして。それぞれとのやり取りも、私が直接やっていたので本当に大変ではあったんですけど、その分、今まで一緒にやっていたビクターの方々がどれだけサポートしてくれていたのか、ありがたみも感じましたし、久々のアルバムをこれだけ濃く自分が携わって作ることができて、すごくよかったなと思います。
音にこだわった分だけ、1曲1曲からメンバーの愛情もすごく感じたんですよ。たくさんの曲を演奏してもらってるし、一人一人とのコミュニケーションも今まで以上に取ってきたので、すごく愛着のあるアルバムになりましたね」
――バンドサウンドに焦点を当てたのはなぜだったんですか?
「このコロナ禍で、私自身も生の音に触れる機会がグッと減ってしまったんですね。でも、久々に舞台や他の人のライブに行ったとき、生の音を聴いて、すごく感動したんです。これからコロナ禍が明ければ、劇場なり、ライブハウスにみんなも戻ってくると思うんですけど、生の音のよさを自分も再確認したから、ずっと待ってくれてたファンの方にも、そういう音を届けたいなと思ったんですね。
それからLIV MOONは、ライブがとにかく少なかったんですよね。その理由の一つに音のことがあったんですが、これからはライブをもっとやっていきたいと思ってるんです。それに当たって、できるだけの音をバンドで作っておいて、同期から出す音をなるべく減らすことができれば、もっとライブをしやすい形になる。そう思ってシフトした感じですね」