鋼鉄の鎧を脱ぎ捨てた4オクターブの美神が素の表情を垣間見せる、クラシックの名曲をモチーフにしたポップス・アルバム!
シンフォニック・メタル・バンド、LIV MOONのヴォーカリストにして舞台女優としても活躍するAKENE LIVが、初のソロ・アルバム『LIV』を届けてくれた。宝塚歌劇団での活動を経て、LIV MOONでデビューした頃には〈4オクターブの美神〉とも賞された彼女だが、ここでは鋼鉄の鎧を脱ぎ捨て、〈ポップス〉とカテゴライズされるサウンドのなかでその歌声を響かせている。
「ソロをやるにあたって、LIV MOONよりも広い層に届くようなサウンドにしようと思ったんです。それで、自分がいちばん最初に学んだクラシック音楽、誰もが耳にしたことのあるクラシックの名曲をモチーフにして自分なりのものを作れたらって」。
先行シングル“NIGHT PARADE”でのバッハ〈トッカータとフーガ〉をはじめ、リスト〈愛の夢〉、ショパン〈雨だれ〉、ベートーヴェン〈アダージョ・カンタービレ〉、ヴィヴァルディ〈四季〉、チャイコフスキー〈白鳥の湖〉など、収められた楽曲にはかの名曲たちのフレーズが編み込まれている。そして、それらを幻想的かつ極上のポップスへと昇華させているのは、LIV MOONでも好サポートしていたプロデューサー・チーム、KAZSINや大間々昂、TV/映画の劇伴も数多く手掛ける羽毛田丈史、そして西野カナやJUJUなど数々のヒット曲を手掛けてきたJeff Miyaharaといった面々。
「今回初めてご一緒したJeffさんには、ソロでやるからにはいままでやってきた部分よりもう一歩違うところに行かなきゃっていうことで、いままであまり使ってこなかった音域で地声を張ってみたりとか、新しい部分をずいぶん引き出していただきました。羽毛田さんの時も新鮮で、私が〈ここが気になるのでもう1回録り直したいんですけど〉って言ったら、これぐらいガサつきがあったほうがニュアンスが出て絶対良いよ、完璧に録ったらつまんないよって」。
LIV MOONでは非現実的なヒロインになりきっていた彼女も、ここではAKANE LIVという女性の〈素〉を楽曲のあちこちから垣間見せている。みずから詞を手掛け、等身大の自分を映した“Summer Shadow”などもまさにそうで、こうした部分は新しいリスナーとの接点になるはずだ。
「歌詞の部分でもそうなんですけど、今回は自分と向き合う時間が長かったですね。いろいろ教えていただけたことによって歌い方の幅も広がりましたし、いまは女優としての活動でもソロでの活動でも、〈これはこうしなきゃ〉っていうより、その時に感じたいろいろなインスピレーションを活かしていきたいなって思うので、それを経てLIV MOONに戻った時には、また違ったものを提供できるんじゃないかと楽しみにしています」。