22歳にしてこの成熟度。何の誇張もなく〈大型新人〉と紹介できる、岡山出身のシンガー・ソングライターによる初作。ピアノの弾き語りカヴァー動画がきっかけで注目を集め、昨年は音源の発表前にもかかわらず数々のフェスに出演するなど、異例の駆け上がり方をしてきた彼。独特の色気を帯びた歌声、洗練されたコード・ワークと歌謡曲の旨味を吸収したメロディー、方言を交ぜながらもナチュラルに響く歌詞――そのどれもが一流だし、今作ではYaffleにサウンド・プロデュースを委ねることで、生音とエレクトロニクスが融合した現代的なソウル・ミュージックに結実している。AORマナーの“何なんw”、正調R&Bバラード“優しさ”、往年の安全地帯を思わせる哀愁が沁みる“風よ”ほか、名曲・名唱だらけ。