エセル・スターク(1910~2012)は、女性の社会進出が難しかった時代に、〈社会正義というレンズで世の中を解釈する〉ことを信念に、〈女性〉という理由だけで受ける理不尽に果敢に立ち向かったカナダの女性指揮者である。1940年にアマチュアのモントリオール女性交響楽団を組織し、7年後にはカーネギーホールでの演奏会成功の快挙を成し遂げた。本書ではスタークの家族や交響楽団メンバーへの取材から、彼女が様々な〈壁〉を打ち破っていった物語を描いている。女性が指揮を学ぶことを認めなかったフリッツ・ライナーに無理矢理弟子入りした逸話など痛快。1960年に単身来日していたことも知り、驚かされた。
「キッチンからカーネギー・ホールへ エセル・スタークとモントリオール女性交響楽団」女性の社会進出が難しかった時代、理不尽へ立ち向かったカナダの指揮者の物語
マリア・ノリエガ・ラクウォル , 藤村奈緒美
『キッチンからカーネギー・ホールへ エセル・スタークとモントリオール女性交響楽団』