シミアン・モバイル・ディスコの片割れで……というか、アークティック・モンキーズやゴリラズらの仕事を挙げたほうが通りの良さそうな敏腕プロデューサーが、手掛けたデペッシュ・モードの新作『Memento Mori』も出たばかりのタイミングで初のソロ・アルバムを仕上げてきた。これが縁深い面々を招いたオールスター作ではなく、ヒットメイカーの内なる宇宙をクリエイティヴに描いた作品であることはワープからのリリースということでも明らかだろう。モロにイーノを想起させるインスト“Pillow Village”など、すべての演奏と素朴な歌唱を自身で担った牧歌的でストレンジな奥行きのあるアート・ロックの好盤だ。