コラム

THE JOHN LURIE NATIONAL ORCHESTRA 『The Invention Of Animals』

ストレンジ&ビューティフル

THE JOHN LURIE NATIONAL ORCHESTRA 『The Invention Of Animals』

 1976年ニューヨークにたどり着いた彼は、昼間はホテルマンとして定職に就き、深夜になると地下鉄駅構内の人気のない場所で、アルトサックスの練習に励んだ。パンクロックノー・ウェイブの嵐に揉まれたアーティスト達が彷徨うニューヨークで、数年後には兄のエヴァン・ルーリー(p)、アート・リンゼイ(g)、アントン・フィア(ds)らと「ラウンジ・リザース」を結成。81年のデビュー以降、個性豊かな様々なメンバーたちと共演してきた。1980年代後半には、ジム・ジャームッシュ監督の映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でのちょっとアクの強い主演俳優として一躍注目を集め、 “フェイクジャズ”や“パンクジャズ”と当時紹介されたバンドのサックス奏者としても知られるようになった彼は、ニューヨークのダウンタウン・シーンが生み出した時代の寵児としてスポットライトを浴びた。その後、さらに活動の幅を広げた彼は、90年代後半にこつ然とシーンから姿を消す。様々な憶測やゴシップが飛び交うこと数年、ライム病という難病を患い、現在も闘病生活を続ける彼は、俳優・音楽家としての活動を封印して、体調の許す限り画家として現在も創作活動を続けている。

THE JOHN LURIE NATIONAL ORCHESTRA The Invention Of Animals Amulet Records(2014)

 マーク・リボウ(g)とともに先日フジロック&日本ツアーも行ったグラント・カルヴィン・ウェストンメデスキ、マーティン&ウッドでの活動でも知られるビリー・マーティンのツイン・ドラムスとジョン・ルーリーのサックスの3人のみのプロジェクト、ジョン・ルーリー・ナショナル・オーケストラ名義での未発表音源が、このたびジョン・ルーリー公認のもとオフィシャルリリースされた。民族音楽調のトライバルなグルーヴにルーリーの不思議な味わいのサックスがまとわりつく。本人曰く「94%が即興」な音楽は、決して難解ではなく、ある意味とても原始的な音遊びの風情が心地良い。孤高の才人ジョン・ルーリーが放ったまばゆいばかりの閃きはいまだ多くの人々の心に奇妙で美しい音の残像を響かせる。

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