ビリー・アイリッシュが最新アルバム『HIT ME HARD AND SOFT』を引っ提げて開催中のワールドツアーが、ついに日本へと上陸した。8月16日と17日の2日間、さいたまスーパーアリーナで行われた来日公演より、YOASOBIがスペシャルゲストとして登場した初日のオフィシャルレポ―トが到着した、 *Mikiki編集部
360度を観客が囲むステージで語った日本への思い
前回の有明アリーナからちょうど3年ぶりとなった、ビリー・アイリッシュの来日公演。会場となったさいたまスーパーアリーナには、スタイルを真似た人、入手したばかりのツアーグッズを身にまとう人など、ビリーへの愛を感じさせる観客で、ステージは360度取り囲まれていた。
そのなかで、会場が暗転すると、ステージ中央にLEDに照らされたキューブが出現。徐々に宙に浮かんでいくと一瞬照明が消えて、中に入ったビリー(ミリタリー風なTシャツの上にタンクトップ、ギンガムチェックのパンツというコーディネート)の姿が確認できた。瞬く間に歓声が巻き起こり、やがてキューブの上にビリーが颯爽と登場すると、割れんばかりの絶叫が会場に轟く。

そして、最新アルバム『HIT ME HARD AND SOFT』から、日本のアニメ作品からインスパイアを受けたという楽曲“CHIHIRO”をパフォーマンス。これまで行ってきたワールドツアーでもオープニングを飾った楽曲ゆえ、オーディエンスも待ってましたとばかりに大合唱。また、楽曲にインスパイアを与えた国でのパフォーマンスゆえか、どの場所よりもエモーショナルに、またリスペクトの思いをこめて披露しているような気がした。
続いて「東京(=日本)のみんな、元気?」と軽く挨拶をし、最新作から“LUNCH"をパフォーマンスすると、ビリーは広いステージを全力疾走。観客と一緒に、この空間を全身全霊で楽しもうという姿勢がうかがえたのだった。その後“NDA"など、アップテンポな楽曲を披露し終えると、ビリーは改めて会場に訪れたファンとの貴重な時間を噛み締めている様子。

30秒以上も歓声を受け止め(途中でうれしさのあまり笑顔がこぼれる場面も)、「改めて日本でライブができることがうれしい、今日は楽しんで!」と絶叫し、アルバムから美しくもはかないメロディが印象的な“WILDFLOWER”を熱唱し終えると、「ほかの楽曲では自由に歌って叫んでいいから、この1分間だけは静かに耳を傾けて」とオーディエンスに呼びかけ、デビュー盤に収録された“when the party’s over”をパフォーマンス。すると、会場は一瞬にして静まりかえり(海外ではなかなかそういう瞬間はなかったよう)、代わりに会場がスマホや携帯電話の光に包まれるなか、ビリーは胡座をかき、まるで禅の世界に没入したような、イノセントな雰囲気を漂わせていた。