ポテンシャルを持て余すような展開が続いたなか、スクーター・ブラウンの元を離れて挑んだ移籍作は快調だ。表題にピリオドのないEP『Tori』を拡張したようなフル・アルバム。90年代~00年代半ばのR&B/ヒップホップにインスピレーションを受けた近年の常道でストレートな歌の輪郭を描き、クレイグ・デヴィッド“Fill Me In”をネタ使いした“Missin U”の路線を継続して爽やかに歌う。当然のようにアリーヤやミッシー、TLCらの雰囲気を再訪し、そこにアイラ・スターを迎えたアフロビーツの“Unbelievable”なども馴染む。デスチャ風の“Cut”にティンバランドが声ネタを入れているのもおもしろい。