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J-POPを咀嚼したキャッチーさ

――“Timeline”はキャッチーなメロディと、徐々に盛りあがっていく感じがじんわりと効いてきますね。

「キャッチーさは意識しました。この曲は、まず最初にテーマのメロディが頭に浮かんで、それをどう構築していこうかと考えながら作った曲です。小節数はちょっとイレギュラーなのですが、うまくまとめられたかな、と思います」

――続く“Maze”はソウルフルでシティポップの香りもする軽快なナンバーで、リズムも独特なので、アルバムの中でもいいスパイスになっていると思います。

「わりと昔からある曲なんですが、こういうビートの曲もアルバムに入れたいなと思いました。僕は最初からジャズをやっていたエリートではないし、ジャズシーンに横からすっと入ってきたプレイヤーなんです。それで、日本のインストものとかもよく聴いていたので、こういうジャズファンでなくとも聴きやすい曲も1曲入れておきたいな、と思って収録しました」

――ピアノの平手裕紀さんがエレピを弾いているのも印象的です。

「彼はジャズピアニストとして日々演奏しているのですがJ-POPも好きで、車に乗せてもらうと山下達郎さんのアルバムがかかっていたりするんです。音楽性もものすごく幅広くて柔軟なので、僕の音楽にとてもマッチしていると思います」

――この曲でもギターソロの盛り上がりが気持ちいいです。特に、さりげなく入ってくるブルージーなフレーズがグッときますね。

「オスカー・ピーターソンなどのコピーをすると、そういうブルージーなフレーズがよく出てくるんですよね。それも、本当に気持ちいいところで入ってくる。それがカッコいいな、と思って、自分もそうできるよう心がけています」

 

メタルのギターリフ文化をジャズに持ち込む

――杉山寛さんのドラムソロによるイントロに導かれる“Play is Work”はストレートアヘッドなジャズで、再び空気がガラッと変わります。

「ジャズの世界では、みんなでパッとやれるようなスタンダードナンバーがあるじゃないですか。そんな曲が欲しくて作りました。しかも、たとえばテンポが速かったりとか、コルトレーンの“26-2”みたいにコルトレーン・チェンジが入っていたりとか、そんなチャレンジングな曲にしたかったんですよね」

※編集部注 ジョン・コルトレーンの“Giant Steps”に代表される、長3度の転調を繰り返す複雑なコード進行

――軽快なリズムの上で朗々と歌うギターソロも印象的ですね。

「ただ速く弾けばいいかというと決してそうではなくて、そこがアドリブの難しいところですよね。〈スペースを大事にしろ〉とはジャズの演奏についてよく言われますが、僕はビル・フリゼールのような空間を大事にするプレイヤーも大好きなので、トータルな構成を大事にしつつ、行くときは行ったれ!という思い切りの良さを大事にしたいと思っています(笑)」

――“Iriai”は竹内さんならではの幅広い音楽性がひとつの形に結実したような、メロディアスな曲だと思いました。リズムも凝っていますし、歌うような荒川悟志さんのベースソロも素敵です。

「僕の場合、リズムは楽譜に書き込まないこともあるので、ライブをしていく中で意見しつつ、レコーディングでは自然と固まっていった流れで演奏しています。

ソロに関しては、ライブではみんなで回すようにしている曲もあるのですが、アルバムではなるべくコンパクトに収めたかったので、基本的にギターとピアノだけにして、ここぞというときにベースとドラムのソロも入れました。ベースはこの“Iriai”で、ドラムソロは先の“Play is Work”で楽しめます」

――続く“Erupt”は、メタルライクなリフが竹内さんならではの注目曲ですね。そして中間部がフリーなセッションになっているのもインパクトがありました。

「僕はせっかくメタルがルーツのひとつにあるので、ロックの文化であるギターリフを活かして、そこから始まる曲を作りたかったんですよね。

パワーコードっぽいリフを使ったテーマなのですが、ライブでは曲のコード進行を使ってソロを回していた時期もあれば、杉山のドラムソロだった時期もあります。現在はもう中間部は完全にフリーのほうが面白いのでそうしてしまって、再び僕がリフを弾き出したら戻ってきてもらうようにしています。

重たいギターリフから始まるので、ライブで演奏すると驚かれますね(笑)」

――この曲では平手さんがピアノに加えてシンセも使っているのもポイントだと思います。

「先ほど触れたとおり、彼は音楽性が広くて、ライブではいつもピアノとキーボードとシンセ、3台並べて曲によって使い分けてくれています」