マクリーシュとガブリエリ・コンソートの新作がエルガーと知ったとき、何かが起こっていそうな気がした。古楽や古典派の声楽作品を今に蘇らせる演奏を繰り広げてきた彼らの予感を超えた大変な名演。イギリスで大切にされる“ゲロンティアス”(CDでの記載はこちら)は、バルビローリ、ボールト、ラトル、C・デイヴィス、A・デイヴィス、バレンボイムなど素晴らしい演奏は多々あるが、ガット弦を張った弦楽器群による軽やかで繊細な響き、F管トランペットによるフォルテも極めて品のある音色はこの作品演奏では体験したことがない。テノールのスペンスの熱唱が際立ち、壮麗な大合唱も熱気に溢れていて感動を生む。