YOU GOT THIS
時空を超えて改めてフレッシュな存在となったm-floが7年ぶりのニュー・アルバム『SUPERLIMINAL』をリリース! と思ったらこのタイミングでリミナル状態とは!? 長い期間をかけて制作を進めてきた豪華なラインナップをまずは楽しもう!
2月19日に25周年記念ワンマン〈SUPERLIMINAL〉を開催してリミナル(無期限活動休止)期間に入っているはずのm-flo。いわゆる〈loves〉期を経て2017年にLISAとリユニオンして以降も個々の活動を並行しながら折に触れて集結してきたスタイルの3人だけに、在/不在を軸に考えるのも不思議な気はするが、ここでひとまずの区切りを設けるということなのか。思えば、リミナルに入ることを発表した2025年には25周年のタイミングで関西のEXPOでライヴが実現するという時の采配があったり、その年の〈TikTokトレンド大賞2025〉の〈ホットワード部門賞〉を2000年代カルチャーの再注目を象徴するキーワードとして〈平成リバイバル/come again〉が受賞し、いわゆるY2K〜00年代〜平成ブームの空気感を象徴するものとして彼らの“come again”(2001年)が選ばれたのも記憶に新しい。
そうでなくても、少し前にはXGの“IYKYK”で彼らの“prism”がネタ使いされていたし、もう少し前のピンクパンサレスやK-Popアクトがスウィートな歌唱とドラムンベースや2ステップ〜UKガラージ、00年代的なR&Bと結び付けるたびに、無性にm-floを想起してしまうという人もいたと思う。その音楽が時空を自由に行き交って新しい世代のリスナーにもその影響を届けているのだとしたら、本人たちのリミナル終了を遠い未来で待つのも一興というものか。
そんなタイミングで置き土産として届いたのが約7年ぶりのアルバムとなる『SUPERLIMINAL』だ。トライポッドでは18年ぶりの作品だった前作『KYO』(2019年)にもJ・バルヴィンやJP THE WAYらの〈feat.〉はあったが、今回のアルバムでは往年の〈loves〉形式が復活して各曲に多彩な相手が迎えられている。収録曲のうちもっとも過去のものは『KYO』以前の2018年に配信されていた“MARS DRIVE”もありつつ、今回のプロジェクトの起点となったのは奇しくもコロナ禍でロックダウン状態になる直前の2020年3月に配信された“tell me tell me”だ。Sik-K、eill、向井太一と組んだ同曲からして“miss you”(2003年)を引用した作りだった。その後にchelmicoとの加減速ラップ・チューン“RUN AWAYS”を配信、しばらく間を置いて2024年にMayaとの“HyperNova”から〈loves〉を再開し、鈴木真海子、ZICOとeill、Adee A.、n-choco(チョコレートプラネットと渡辺直美)、RIP SLYMEらとの楽曲を発表。ZICOとeillを迎えた“EKO EKO”は流麗なドラムンベースで、RIP SLYMEとはシルヴィア・ストリップリン“Give Me Your Love”使いの軽快な“ARIGATTO”という手札の多さも楽しませてくれたものだ。それらの成果を集大成しつつ初出曲や恒例のインタールードも交えて束ねたのが今回の『SUPERLIMINAL』というわけだ。
初出曲ではDiggy-MO’としのだりょうすけをフィーチャーしたブリーピーなベースライン調の“GateWay”があり、ELECTRONICOS FANTASTICOS!とのお囃子チューン“CHARANGA”も賑やかだ。TV番組でのコラボを改めて形にした櫻井翔との名曲リメイク“come again *Reloaded”も楽しい。そんななか3人だけで披露した2ステップの“You Got This”が並ぶのもグッとくる。ジャンルや国境を越えるのはもはや彼らのデフォルトとして、圧倒的なスケールのアルバムを残しつつ時間まで操るようなm-floの音楽だけに、また思わぬタイミングでその気配は耳に飛び込んでくることだろう。
