Lenon、takachi、Asakura、Kenichi

2022年5月に結成した福岡在住の4ピースバンド、muque。結成当初から海外での活動も視野に入れていたmuqueだが、既に台湾、タイ、インドネシア等で人気を博している中、ライブを重ねることで日本でもじわじわと支持が拡大している。

そんなmuqueの、個性溢れる4人のメンバーが集まった自らをRPGのダンジョンに例えたファーストフルアルバム『Dungeon』が完成した。UKガラージ、2ステップ、マイアミベース、エレクトロポップ、シティポップ、ダブステップ、インディーロック……多彩な音楽性に溢れながら、Asakuraのまろやかで伸びのある歌声を軸にした楽曲からは〈時代を先取りするポップミュージックでありたい〉というmuqueの信念が伝わってくる。

記念すべき初作『Dungeon』についてKenichi(ギター)、Lenon(ベース)、takachi(トラックメイク&ドラムス)、Asakura(ボーカル&ギター)にインタビューした。

muque 『Dungeon』 A.S.A.B(2024)

 

下がったテンションを忘れて楽しんじゃおう

──ファーストフルアルバム『Dungeon』のリードトラック “feelin’”はかなりBPMが早い四つ打ちの楽曲ですが、どんなイメージがあったんでしょう?

takachi「アルバムにも入っている“nevermind”をドラマ『素晴らしき哉、先生!』の挿入歌として作る際に、もうひとつ頭の中で浮かんでいたアイデアを形にした曲です。

これまでもmuqueは四つ打ちの曲が多かったのですが、BPM 120~130くらいのミドルテンポで重たいビートの曲が中心だったので、今回はハウスっぽいビートにしてBPM 145で軽快な四つ打ちしました。そこにベースとギターが入って、途中でビートが変わることで新しいmuqueを表現したいと思ったんです。

明るめの楽曲にはしたかったので、Asakuraには明るい歌メロを作ってほしいということと、途中のビートが落ち着くところの歌はリズムで遊んでほしいっていうリクエストをしました」

Asakura「最近takachiからトラックが来た段階で〈こういう風にしたいんだろうな〉っていうことは大体わかるようになってきました。“feelin’”も2番の歌はちょっとヒップホップっぽいフロウにしてほしいんだろうなってことがわかったので、スムーズに進みましたね」

──“feelin’”の作詞は結構苦労されたそうですね。

Asakura「私はテンションが下がりに下がらないと歌詞が出てこない派なんです。楽しい曲が書けない人間で(笑)。

“feelin’”のAメロはテンションが下がったような歌詞になっていて、でもサビはその下がったテンションを忘れて楽しんじゃうような歌詞になっています」

――〈歌え〉とか〈叫べ〉とかアッパーな単語が多いですよね。

Asakura「ライブで歌っている最中もお客さんとのコミュニケーションが取れるようになったので、こういう言葉が欲しいなと思って書いた歌詞ですね」

──Lenonさんは“feelin’”にはどんな思いがありますか? 

Lenon「この曲には、自分のプレイは収録されてないんです。muqueには生のベースを弾く曲と打ち込みだけで完結させる曲があるんですが、“feelin’”は一回ベースを弾いてみた上でtakachiと相談して〈打ち込みにしよう〉ってなりました」

takachi「4人の中で僕が一番曲のバランスやジャンルについて敏感だと思うんですが、その曲に何が必要かをみんなでディスカッションしながら音色をまとめ上げていくことが多いんです。

僕は洋楽ばかり聴いているので、洋楽の曲をリファレンスに挙げながらディスカッションすることが多くて。“feelin’”はハウスミュージックと、それとはまた大きく違うインディーポップ系の楽曲を参考にして作っていきました。ちょっと高い子供の声が入っていますが、そういう声ネタの遊びやシンセのノリはハウスやガラージの曲を参考にしつつ、インディーポップの要素を残した感じです」