ハンガリーの歴史的鍵盤演奏の権威シュパーニによるC.P.E.バッハの鍵盤作品全集という世界的偉業もいよいよ大詰め! 最新作であるこのCDのメインとなるのは鍵盤協奏曲と交響曲の鍵盤独奏編曲版。協奏曲も交響曲も鍵盤音楽の作曲で習得した多感主義的作曲法を管弦楽作品に応用したものだが、それをさらに鍵盤独奏に編曲。得も言われぬ可憐な音色を持つタンジェントピアノという小宇宙の中で、頻出する転調と大胆な和声が巻き起こす情感の凄まじい渦。極めて繊細な表現なのに、激しく感情を揺さぶるのだ。エマヌエル芸術の真髄を聴かせるシュパーニの名演奏で多感主義音楽を堪能してほしい。