🄫Dennis Mukai

ザ・ポリスのアンディ・サマーズの来日公演が、2025年1月23日(木)に大阪・なんばHatch、1月25日(土)と26日(日)に神奈川・川崎 CLUB CITTA’にて開催される。写真家としての顔も持つアンディが、愛機ライカで収めた写真を投影しながら行うマルチメディアショウ〈The Cracked Lens + A Missing String〉とは、一体どのようなものなのか。来日を前に、アンディの言葉をもとにその全貌に迫る。 *Mikiki編集部


 

常に進化し続けるアンディ・サマーズの新たな実験の場

代表曲“Every Breath You Take”、“Roxanne”、“Message In A Bottle”を含む数々のヒット曲を放ち、グラミー賞受賞、総セールス数千万枚を誇るイギリスの伝説的バンド、ザ・ポリスのギタリスト、アンディ・サマーズが来春日本公演を行う。2024年9月にオーストラリア及びニュージーランドでの公演を終えたアンディ氏に話を聞く。

1980年代からフォトグラファーとして自他共に認める成功を掴んできたアンディ氏。自身をなす〈写真〉と〈音楽〉の相似点について、次のように分析する。

「写真は撮影するほど感性が磨かれて上手になり、学びと洗練を繰り返すことで意識や目が成長していった。ニューヨークでラルフ・ギブソンと多くの時間を過ごし、沢山のことを教えてもらったこともあった。

音楽を続けて自分の声を見つけるのと同様に、自分らしい写真のスキルを養っていった。僕らしいサウンドを出すためのスタイルを持っているし、その時の気分でフレージングをしているのと似ている。何年もかけて聴いて、見て、研究して、考えて、誰かを驚かせられるようになる。そしてもちろんそこには愛がなければダメだよ」

2023年から、あらためて〈The Cracked Lens + A Missing String〉と銘打ち続けている〈マルチメディアショウ〉。それは彼がライフワークとしてきた写真、そしてロックはもちろんジャズやアンビエントといった様々な音楽を取り入れた新たな実験の場であり、自身が並行させてきたキャリアを総括するものとなっている。

この初となったコンセプトをどのように思いつき、どのように発展させてきたのか。氏は次のように語る。

「当初はシンプルなものだった。〈スクリーンを用意して自分の写真を並べ、そこで音楽をプレイしたらどうだろう?〉と思いついたのがきっかけだ。何回かショウを試みて、最後にやったニューヨークのメトロポリタン美術館では大盛況だった。

ただ、残念ながらパンデミックによって3年も中断してしまった。やっと再開させたら想像以上に好評で、どんどんショウが追加されて本格的にやっていくことになったよ。最終的に去年は30回以上ショウを行い、その内容もどんどん洗練されていった」

アシスタントと作り上げる緻密な映像には、自身が撮影してきた楽曲のテーマを表現する写真が1曲あたり何十枚も使われ、それらはライブを重ねるごとに随時アップデートされていく。

「映像だけでなく音楽も現在では非常にグッドなものに仕上がってきている。最近やったショウでも変えたいところが出てきて、自宅に戻ったら少し変えるかもしれない。常に進化し続けられることはエキサイティングだよ。それに僕は実は結構お喋り好きだから、ショウではちょっとしたトークもするよ」

何枚ものソロアルバムの制作やプロジェクトへの参加を果たしてきたがゆえに、選曲は幅広いものになることだろう。しかし多くのザ・ポリスのファンが聴きたがる名曲たちはどうだろうか? 音楽史に刻まれた名曲たちを過去のものとして捨て去りたがる大物アーティストは数多いが、氏は煙たがる素振りを一切見せない。

「ザ・ポリスの楽曲は素晴らしいし、オーディエンスも気に入ってくれる。むしろ〈これは僕の遺産だ。是非プレイしよう〉とさえ思っているよ」