ポリスの金字塔『Synchronicity』に驚異の40周年記念盤が登場!
83年のポップ音楽を象徴する作品として思い浮かぶアルバムは何だろう……と、わざとらしい書き出しはともかくとして、数々の名シングルを生んで社会現象化したサントラ『Flashdance』やライオネル・リッチーが絶頂期に達する『Can’t Slow Down』があり、デヴィッド・ボウイの鮮やかな『Let’s Dance』があり、何より前年末から世界中でマイケル・ジャクソン『Thriller』(82年)が猛威を振るったのもその年である。そんなモンスター揃いの83年にあって、ポリスの『Synchronicity』もまた揺るぎない頂点を極めた作品だったのは言うまでもない。本国UKで定位置のNo.1に輝いた同作は、『Thriller』を追い落として初の全米1位をも獲得し、計17週も地位を守った。また、同作からのシングル“Every Breath You Take”は8週連続で全米1位を記録し、“Billie Jean”も“Beat It”も“Flashdance... What A Feeling”も押さえてその年最大のヒット曲となっている。もちろん当時のセールス的な成功のみならず、後年のメディアによる〈80年代の名盤〉〈史上最高のアルバム100枚〉的な評価という点においても、本作の備えた特別な風格が古びることはない。ただ、その特別さは作品そのものの完成度によるものでもありつつ、ポリスというバンドがそこで終焉を選んだという事実の残した印象も大きいのだろう。
そんな特別な一枚だけあって、『Synchronicity』が20周年を迎えた2003年は、ポリスを〈ロックの殿堂〉入りさせる年になった。その後〈グラミーの殿堂〉入りも果たしたアルバムは、40周年を迎えた2023年には米国議会図書館の〈米国国立録音登録簿〉に選出されてもいる。そして、40周年の記念で今回コンパイルされたのがCD6枚組の〈Super Deluxe Edition〉とCD2枚組の〈Deluxe Edition〉だ(日本盤はいずれもSHM-CD仕様)。その豪華で貴重な内容を紹介する前に、まずは当時の流れを簡単に触れておきたい。