Page 2 / 4 1ページ目から読む

Y2K、ジャージークラブ、ハウス……『EUPHORIA』の多彩な音楽性

――では、具体的に『EUPHORIA』は、どのようなことを意識して制作されたのでしょうか。

「ピンクパンサレスなどからY2Kリバイバルが生まれ、NewJeansがそういう世界観をもっとポップに押し上げて、国内ではCreepy Nutsがそれに乗っかった流れがあると思うんです。そういう全体的なジャージークラブの流れのなかで、チャーリーXCXが『Brat』を出したことで、〈もうこれはクラブミュージックの時代といっていいでしょう!〉となったと思ってて。そういう時代的なムードを考えながら、曲を作っていきました」

――曲ごとでも、リファレンスや意識したことをお伺いできますか。

「“1234”は、チャーリーXCX的な昔のダンスパンクっぽいニュアンスにアフロハウスを足してみたり、ケミカル・ブラザーズやプロディジー、ファットボーイ・スリムとかのロックっぽいテイストを入れてみたり。最近は音数が少ないクラブミュージックが多いと思うんですけど、わりとごちゃっとできたらいいなという気持ちで作りました。

“Ebi Fry”も、けっこうアフロっぽいというか。全体的な構造やパターンは、トロイ・シヴァンの“Rush”を踏まえていて、ギターの鳴りはXGの“NEW DANCE”のニュアンスを意識しています。最初に吉見(和起)からギターのコードリフがもらえたので、それを軸にしてバンドならではの肉体感ある曲を作っていきました」

――“ユーフォリア”は、いかがでしょうか。

「〈ダンスミュージックをバンドサウンドでやるなら、ファンクっぽいグルーヴがいいんじゃないか〉みたいな感覚が、なんとなく自分のなかにあって。フレンチハウスやフィルターハウスのような楽曲が作れたらいいなと思ったんです。また、アンニュイなダンスミュージックやアンビエントっぽい質感の楽曲が、これまでちょっと多かったので、パキッとしたシンセサウンドを取り入れたいなと。

一方で“sour”は、“ユーフォリア”と逆というか。〈めっちゃアンニュイな感じの曲を作りたい〉と思って作りました。具体的なリファレンスは忘れちゃったんですけど(笑)、ハーフのトラップっぽい感じから、倍になってクラブミュージックに変わる曲があって、それをやってみたいと思ってチャレンジした曲でもあります」

――“MissU”は、どのようにして生まれた曲なのでしょうか。

「ジャージークラブをやりたいと思って。始めに出来たキック5つと〈I miss U〉のフレーズが自分的には気持ちよくて、〈1曲できてるんじゃね?〉と思ったので、それにピアノのサンプリングで肉付けをして作っていきました。アルバムのなかでも、譜割りやリズムの気持ちよさを特に意識して歌詞を書いた曲ですね。ジャージークラブのプレイリストをたくさん聴いて、どういう言葉の乗り方が気持ちいいか研究したので、そのときに聴いていた音楽の影響が出ていると思います。

いちばん初めにリリースした“APART”も、ジャージークラブをやってみたいと思って作った1曲。『Indoor Newtown Collective』を作り始めて、メンバーから〈歪んだギターを鳴らしたい〉というムードを感じたので、自分がやりたいダンスミュージックとギターがフィーチャーされたサウンドを上手くミックスできるように意識しました。

“平凡”は、サンプルで空気感を作り、ループ感の面白さを追求したいと思って作った曲ですね。何かリファレンスがあるというわけではなく、自分で組んでいくうちに気持ちのいい音の並びを考えて作っていった感じです」

――アルバムの幕を閉じるのが“2024”ですね。

「チルっぽい2ステップやUKガラージっぽい曲が作れたらいいなと思って。この曲だけは、吉見がトラックを作ってくれているんです。彼は〈この曲を最後にすることで、今までのアルバムとは終わりかたを変えてみたい。浄化された気持ちで、終われるのではないだろうか〉といっていて、僕も〈それはいいな〉と思ったので、アルバムの最後の曲になるだろうなと思いながら作詞しました。

歌詞を書き終えて〈どういうタイトルがいいかな〉と思ったときに、この5年の変化という捉えかたをするのが美しいと思い、“2024”というタイトルにしたんです」

――『インドア』に収録されている“2019”と対比的な1曲とのことですが、改めてどのような関係性なのか教えていただけますか。

「“2019”は、あまりバンドの手が入っていませんでしたが、あれから5年が経ち作られた“2024”では、吉見が作ったトラックに俺が言葉を乗せているので、よりバンド感が出てきたというメッセージ性があります。

また、〈2019年はこういうビートの曲を作っていたけど、2024年ではこういう音楽を作っている〉という意味で、グローバルのムードや時代の流れを感じられる2曲になったらいいなという思いもありました」