〈データに基づくレパートリー形成の実証的研究を通して、日本人とクラシック音楽の関係の歴史を実証的に描き出す〉ことを目指した一冊。戦前期の学生オーケストラの演奏曲目(3,056曲)、戦前戦後のプロ・オーケストラの演奏曲目(17,319曲)、N響、ベルリン・フィル、ニューヨーク・フィルの演奏曲目(54,383曲)をデータベース化し、統計学の手法で様々な切り口で分析。戦前期の〈カルメン抜粋曲〉の需要と普及、ベートーヴェンを中心とした〈正典レパートリー〉形成の課程、〈指揮者の多様性がレパートリーの多様性を生む〉ことなど、曖昧だった議論が次々にデータで証明されてゆくさまは実にスリリングだ。
井上登喜子「オーケストラと日本人」データに基づき、日本人とクラシックの歴史を実証的に描き出すスリリングな一冊
