ノルウェーの、しかもローガラン県に伝わる民謡に馴染みのある方は筆者含めてそう多くないと思うが、かの地の伝統を純粋に現代に投影させるこの男女デュオ、マルミンによる演奏はひじょうに刺激的。アイリッシュやケルトと呼ばれるものに通じるものはあるが随分と厳格で、電気化すると最高にサイケデリックであろう8弦(4弦は共鳴弦)ヴァイオリンや口琴といった使用楽器もユニーク。楽曲の軸となる3拍子が反復感を強調させ、時に呪術的、曲によってはインドの古典音楽を想わせたりもする。また同じくノルウェーの民謡を研究、歌ってきたシンガー、オーシル・ヴェトルフスの瞑想的で神秘的な歌唱が美しい。
マルミン(Malmin)『Med Åshild Vetrhus』ノルウェーのローガランに伝わる民謡を現代へ神秘的によみがえらせるデュオ
