これまでも楽器の話題を独自の視点で取り上げてきた箏曲家の著者の新著。日本~アジアをひとつの軸に、氏のリアルなフィールドワークによる裏付けの上で世界の楽器との比較検証から和楽器のルーツを辿る試みが行われており、非常に面白い。世界の楽器をちょっと見渡すだけでも、例えば同じような呼称なのに見た目が全然違う楽器があり、語源が奏法から来ている、といったような共通項が見つかったりするものだ。本書はそういう知ると面白い楽器のルーツの話題のみに留まらず、日本固有の楽器や音楽の現状への警鐘も含んでおり、実際に日本楽器の演奏者である氏ならではのリアルな視点が垣間見られる。