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まったく飽きる瞬間がない

 『Are You Ready? Live 12/31/1979』は〈At Budokan〉と『Dream Police』が続けてヒットした年の大晦日、LAのLAフォーラムで録音されたもの。KLOS-FMが生中継したこの日のライヴはブートレグも出回った伝説的な公演で、本作は最初の4曲こそラジオ音源を使用しているものの、それ以外は保管されていたマルチ・トラックから起こされた。トムが脱退してバランスを崩してしまう直前、人気の絶頂で記録された爆発的なパフォーマンスは、〈At Budokan〉すら上回る熱量に驚かされる。

 『Dream Police』のヒット後とあって、ショウの幕開けは毎度お約束のオープニング曲“Hello There”の頭に“Dream Police”のイントロを置いた特別仕様。そこから間髪入れず“Clock Strikes Ten”に繋ぎ、猛烈な先制パンチを浴びせる。彼らはAC/DCを横目で見ながら、同時にラモーンズなどパンク・ロック勢からも刺激を受けていたそう。スタジオ録音では抑えられていたハードさ、エッジの鋭さが序盤からいきなり伝わってきて痛快だ。

 この時点での最新アルバムだった『Dream Police』は、アレンジに幅が出た『Heaven Tonight』のシンフォニックな面を拡大、ストリングスを効果的に用いたゴージャスなサウンドになっていた。その『Dream Police』から全9曲中8曲も披露。同作の楽曲は彼らのアルバムでもキーボードを担当していたジェイ・ウィンディングを加えた編成で演奏されており、アレンジの妙に注目してほしい。ビートを強調した“I’ll Be With You Tonight”や“Way Of The World”はパンキッシュに生まれ変わっているし、長尺の“Gonna Raise Hell”は後半のベース&ギターのスリリングな絡みがライヴでこそ活きてくる。ロビン・ザンダーのアコースティック・ギター弾き語りから始まる“Voices”は、もともとシンガー・ソングライター志向だった彼の見せ場。一方、トムが俄然張り切って歌う“I Know What I Want”は、シンガーとしてはロビンと異質で、ルー・リードの系譜に列なる猥雑な空気を振りまく。また、リックの熱心なファンは、アルバムと同じく“The House Is Rockin’ (With Domestic Problems)”の終盤で聴ける、ビートルズ“Please Please Me”、ヤードバーズ“Think About It”の引用にニヤニヤが止まらなくなるはず。個性豊かなメンバーのキャラクターが幕の内弁当的に詰まっているから、まったく飽きる瞬間がない。