
2025年10月11日(土)と12日(日)、東京・渋谷にて〈DMC World DJ Championships〉(以下、〈DMC〉)が開催される。今年で40周年を迎える〈DMC〉だが、決勝大会が日本で行われるのは今回が初。世界屈指のバトルDJたちのパフォーマンスを間近で見ることができる、またとない機会となるだろう。
そんな〈DMC〉のスポンサーとして、長きにわたり大会をバックアップしてきたのがブランド設立60周年を迎えたTechnicsだ。バトルDJシーンをさらに活性化させていくためにTechnicsと〈DMC〉はタッグを組み、さらにTechnicsを擁するパナソニックの大阪関西万博での活動も加わり、様々なプロジェクトを展開している。ここでは同プロジェクトにアンバサダーやサポーターとして参加しているDJ KENTARO、DJ RENA、DJ SORAのインタビューをお届けしよう。 *Mikiki編集部
バトルDJたちを支え続けてきたTechnicsのターンテーブル
DJバトルにおいて必要不可欠な機材といえば、ターンテーブル。80年代にヒップホップカルチャーから生まれた、レコードをこするスクラッチや、ビートを繋げていくビートジャグリングといったパフォーマンスは、巧みなDJプレイを行うターンテーブリストたちに受け継がれ、そのスキルを競うDJバトルへと発展していった。
そして現代のDJバトルの最高峰が〈DMC〉だ。1985年にスタートした〈DMC〉は今年で開催40周年を迎え、10月には決勝大会が東京で行われる。
そんな〈DMC〉にも出場するバトルDJたちが愛用しているのが、Technicsのターンテーブルだ。DJカルチャーを知る人にとって一度は目にしたことがあるだろうTechnicsのターンテーブルは、1979年に登場したモデルSL-1200 MK2によりDJたちの心を完全に掴み、何度かの改良を経て、現在はMK7までアップデートされている。

かつてはアナログレコードを用いるのが主流だったバトルDJのシーンは、デジタルの音源を板へ送るDVS(デジタル・ヴァイナル・システム)を使用したスタイルへと移行しつつある。だが、バトルを行うターンテーブリストたちは今もTechnicsのターンテーブルを使用し、各々の個性が光るパフォーマンスを生み出し続けている。
そのTechnicsが今年でブランド設立60周年を迎えるにあたり、長年同ブランドがスポンサーを務めてきた〈DMC〉とタッグを組み、日本のターンテーブリストたちとともにDJシーンを盛り上げていこうとしている。2025年は大阪万博開催の年でもあり、Technicsを抱えるパナソニックは万博で〈Unlock your nature〉(解き放て。こころと からだと じぶんと せかい。)というテーマを掲げている。そして万博開催をきっかけにパナソニックによるサポートのもと、今年日本で初めて〈DMC World DJ Championships Final〉が開催されることになったのだ。大会に参加するDJたちは〈Unlock your nature〉を体現する舞台として、〈DMC〉をさらに素晴らしい創造の場にしていくことであろう。
そこで〈Technics × DMC World Final 2025〉の大会アンバサダーとしてDJ KENTAROを迎え、さらに2017年に当時史上最年少で〈DMC〉の世界チャンピオンに輝いたDJ RENA、今年の〈DMC〉日本大会のファイナリストである新鋭のDJ SORAがそれぞれサポーターに就任した。今回、その3人に話を聞いた。

Technicsのターンテーブルは「DJ界の神様みたいな存在」
2002年、当時20歳という若さで〈DMC〉の世界チャンプとなったDJ KENTARO。それまでのDJバトルは80年代、90年代のヒップホップをネタに使ったオールドスクールなパフォーマンスを行う者が多かったが、DJ KENTAROは〈No Wall Between the Music(音楽に壁はない)〉を自らのコンセプトとして掲げ、ハウスやレゲエなども取り入れ、その後のDJバトルの流れを大きく変えた。
そんな〈DMC〉の革命児でもあるDJ KENTAROは、Technicsのターンテーブルを「DJ界の神様みたいな存在」と言う。
DJ KENTARO「僕にとってDJプレイで使用する機材はTechnicsのターンテーブル一択ですね。僕がDJをやりたいと思って、中学生の頃に新聞配達をして貯めたお金で買いに行ったのがTechnicsのターンテーブルでした。そこから毎日8時間くらい夜中までターンテーブルに向かって、ひたすら練習しました。僕はスクラッチも好きなんですけど、どちらかというとビートジャグリングの方が得意で。だから(アナログレコードを使った)ターンテーブルでないとできないんですよね。
最新のMK7に関しては、逆回転できる新機能が付いたりと進化していますけど、基本の構図や使用方法はあまり変わっていなくて。ストップボタンを押すにしても、ピッチをいじるにしても、Technicsの変わらない安定感はすごく良いですよね。今はSeratoを使っていますが、アナログの良さは針の先からレコードの溝の音をスピーカーを通じてダイレクトに出してくれるということ。手の動きのとおりに音が出てくるし、リアルなターンテブリズムを感じられます」