2025年10月11日と12日に〈DMC World DJ Championships〉(以下、DMC)の決勝大会が開催された。激戦を勝ち抜いた世界屈指のバトルDJたちが頂点を目指して、各部門で渾身のパフォーマンスを披露した。CLASSIC部門に出場したDJ FUMMY、大会1日目の司会を務めたダースレイダーからのコメントも交えて、日本で初開催となった決勝大会の模様を完全レポートする。 *Mikiki編集部
DJ KEITA、DJ NOLLIが日本代表として世界に挑む
世界一のターンテーブリストを決めるDJバトル大会〈DMC World DJ Championships〉の決勝大会(以下、DMCファイナル)が、10月11日と12日の2日間、東京・渋谷のSpotify O-EASTとHARLEMで開催された。〈DMCファイナル〉が日本で開催されるのは今回が初。今年は同大会の開催40周年、さらにターンテーブルを製造しているオーディオブランドTechnicsの設立60周年という節目の年でもある。
大会では、スクラッチやビートジャグリングなどの基本技術を土台に、各出場者がオリジナルのスタイルと選曲を駆使し、ターンテーブリズムの真髄を競い合った。会場で繰り広げられたバトルは圧巻で、ターンテーブルを自在に操るDJたちの表現力と創造性の極致を目の当たりにすることとなった。
大会前日に行われたレセプションパーティには、〈DMC〉創立者トニー・プリンスをはじめ、過去に大会で優勝した世界の名だたるDJたちが集結。トップクラスのターンテーブリストたちが和やかに交流する光景から、〈DMC〉がバトルDJ界における国際的にも権威ある祭典であることを感じさせた。

大会初日、会場のO-EASTには開場前から長蛇の列ができていた。場内BGMを担当するDJ Ta-Shi(1992年の〈DMC Japan Final〉優勝者)がプレイを始める頃には、O-EASTはほぼ満員に。耳を澄ませばさまざまな言語が飛び交い、大会を一目見ようと世界各国からオーディエンスが集まっていることに驚かされた。司会進行として〈DMC〉レジェンドの一人DJ Babuと、日本からはダースレイダーが登場、ステージとオーディエンスを巧みに繋ぎ、バトルが始まった。
〈DMC〉は4つの部門に分かれていて、1日目はそのうち3部門が開催された。ジャッジは部門ごとに交代制で、勝敗は赤か青の旗で示されるほか、観客もジャッジに参加する。最初は90秒以内のパフォーマンスを各DJが2回行い対決するBATTLE FOR SUPREMACYが行われた。日本からはDJ NOLLIが出場し、ブラジルのDJ Raylanと対戦したが惜しくも敗北。決勝では、2023年のチャンピオンでもあるニュージーランド代表のDJ K-SwizzとDJ Raylanが激突。グルーヴとノリで魅せたDJ Raylanが初優勝を果たし、チャンピオンベルトを手にした。

次に行われたのは、スクラッチ技術に特化したSCRATCH BATTLE。この部門では、各国の大会で優勝を果たした7名と、シード枠の1名を加えた計8名が出場し、〈DMC〉側が選曲したビートに合わせて16小節ずつリレー形式で技を競い合った。出場したDJたちは、ヨーロッパ、アジア、中近東と国籍はバラバラで、フェーダーの切り方やスクラッチのタイミングには各DJの個性が色濃く出ていた。
決勝に進んだのはフランスのAocizと日本のDJ KEITA。爆音でスクラッチ音が鳴り響くと両者の個性は一層際立ち、特にAocizの音の美しさは芸術の域に達していた。甲乙つけ難いほどの接戦を制し、見事Aocizが優勝した。

