国内でも高い人気を誇る〈GREENROOM FESTIVAL〉を運営するGREENROOMが始動した屋外フェス〈Local Green Festival〉が、今週末8月31日(土)、9月1日(日)に神奈川・横浜 赤レンガ地区野外特設会場にて開催される。

第2回の開催となる〈Local Green Festival〉は、〈MUSIC〉〈GREEN〉〈WATER〉をテーマに、〈Local=地元のGreen=緑を大切にしよう〉をコンセプトとして掲げている。国内外のアーティスト/DJによるライヴのほか、地元の食材を使ったフードコートや日本最大級のグリーンマーケットが楽しめるのが特徴だ(昨年の様子はこちら)。

催しの軸となるライヴ・パフォーマンスを披露してくれるのは、国内外のアーティスト28組。各日のトリを務めるBJ・ザ・シカゴ・キッドとくるりのほか、海外からはスティミュレーター・ジョーンズやユナ、カレブ・ホーリーといった潮風の吹く横浜の同地にピッタリな面々。国内からはTENDREやWONK、iriといった人気の若手勢に、m-floや大橋トリオなどの〈間違いない〉ヴェテラン勢まで、音楽性も豊かに魅力的なアクトが集結した。

これはMikikiも黙っていられない!ということで、ここでは開催を目前に、編集部スタッフ4名がそれぞれ〈Local Green Festival〉でこそ観たい〈推し〉アクトを順不同で5組ピックアップ。下掲のタイムテーブルやオフィシャルサイトのアーティスト・ページと共に、当日の参考のひとつとしてもらえたら幸いだ。 *Mikiki編集部

 


酒井優考の場合

あの名曲たちが海風に乗って……

〈Local Green Festival〉、イイですよね。都会からそんなに離れてないのに、海も緑も感じられるし、そのなかで伸び伸びと多彩な音楽(とお店と食)を満喫できる。そんな多彩な出演陣のなかでも、個人的な趣味になってはしまいますが、ぜひとも押さえたい5組を紹介いたします。

まずはchelmico。勝手にPUFFYの血脈を受け継いでると思ってる女性ラッパー2人組。ライヴはすっごいカッコ良くて、MCはすっごくおもしろい。ラッパーと聞くといかつい系を想像しがちだけど、肩の力を抜いて観られるし、なのになんでだか元気がもらえます。先日メジャー2作目『Fishing』をリリースしたばかりで、そこからの曲が聴けるのも楽しみです。

812 つき、
chelmicoの2019年作『Fishing』収録曲“Summer day”
 

そしてSANABAGUN.。路上出身だけあって屋外との相性はバッチリなハズ。ホーン・セクションが夏空に映えるし、注意深く聴けばリリックのおもしろさも伝わると思います。邦×ヒップホップ要素という近い系統でいけば踊Foot Worksもオススメで、バンドでもヒップホップ・チームでもあるけど、そのどれとも違う不思議な魅力の4ピース。オートチューンを多用したケロり歌唱とラップ、それにテクニカルなギターとベースが塊になって、ズドドドドって押し寄せてくる。ぜひそこに飲まれてほしいです。テクニカルということで言えばichikoroのichikaの超絶ギター・テクニックも必見。ゲスの3人らが参加してることでも話題のインスト・バンドですが、それ以上にichikaのギター・プレイに見入ってしまうことでしょう。超人芸です。

最後にオススメするのは、2日目のトリを務めるご存知くるり。さすがに当日のセトリまではわかりませんが、いろんなジャンルを経験してきた彼らが、最近は初期の名曲から近年の楽曲まで幅広くパフォーマンスすることが多いので、それこそ幅広いお客さんに楽しんでもらえると思います。あの名曲が海風に乗って夜の赤レンガで聴けるなんて最高だな~って思うんですが、いかがでしょう。行ってみたくなりました?

くるりの2018年作『ソングライン』タイトル・トラック

 

天野龍太郎の場合

〈Local Green Festival〉は〈歌のフェス〉

今年の〈Local Green Festival〉のラインナップを眺めているとパワフルなシンガーが多いように思って、〈歌のフェス〉と勝手に感じていた。BJ・ザ・シカゴ・キッド、SIRUP、iri、藤原さくら、ユナ、カレブ・ホーリー、スティミュレーター・ジョーンズ……。なかでも〈この人の歌を聴きたい〉と私が思ったのは弱冠20歳のシンガー・eill。都会的なイメージの強い、艶っぽい彼女の歌が、海風の吹き込む赤レンガ倉庫でどんなふうに聴こえるのかが気になる。

eillの2019年のシングル“Succubus feat.Kvi Baba”
 

同じくニューカマーのAttractionsは、ライヴにも定評があるのでぜひ観てみたい。イギリスの1975とも共振するようなポップスを鳴らす福岡の4人組が、80sサウンドを現代的に解釈したグルーヴに身を委ねたい。

グルーヴといえばKan Sanoの新作『Ghost Notes』はダンサブルな曲も多くて、ライヴではゆらりと踊れそう。逆に、がっつり躍らせてくれそうなのが、日本が世界に誇る言わずもがなの名ターンテーブリスト・DJ KENTARO。とんでもないテクニックに驚かされつつ、強烈なビートに我を忘れそう。

ライヴ自体が珍しいSerphも絶対に観逃せません。今回のラインナップのなかでは珍しいエレクトロニカ系のアーティストですが、プラネタリウムから〈Local Green Festival〉のような屋外イヴェントまで、さまざまな幅広いロケーションで演奏できる音楽家ってそうはいない。どこか無国籍的でファンタジックな彼の音がそうさせるのでしょうね。

コニカミノルタプラネタリウム 天空で開催された、Serphの2019年のライヴ映像
 

〈Local Green Festival〉の出演者はみんな過度にドメスティックな感じがなくて、どこの国のどの世代の音楽ファンが観ても楽しめそうなところがすごくいいと思います。SpotifyやYouTubeで国も年代も関係なく音楽が流れている現代の風土や環境に合ったフェス。それが横浜という港町で行われるのも、音楽が波や風に乗っていろいろな土地へと運ばれていくようで、なんだかいい感じ。

 

田中亮太の場合

黄昏どきに意中の相手と観たい○○

魅力的なアーティストばかりのLGFですが、〈やっぱり観る機会が限定される洋楽勢は押さえておきたいよねー〉ってことで海外からの4組をまずはピックアップ。初日に〈CACTUS〉のトリを務めるBJ・ザ・シカゴ・キッドは、現在のモータウンを代表するソウル・シンガー。マーヴィン・ゲイやスティーヴィー・ワンダーの系譜を受け継ぐ歌声を持つ彼のことは、先日公開したこの記事を読めばバッチリわかります。そして、BJの直前に〈RED BRICK CLUB〉でライヴをする(時間の被りなし! LFGさまさま!)のがスティミュレイター・ジョーンズ。彼が所属するレーベル、ストーンズ・スロウ印のメロウでスモーキーなR&Bサウンドで、心地良くユラユラと踊らせてくれるでしょう。

BJ・ザ・シカゴ・キッドの2019年作『1123』収録曲“Reach”のパフォーマンス映像
 

そして、2日目はマレーシア出身のディーバ、ユナが〈SOL〉にて17時からパフォーマンス。7月にリリースされた新作『Rogue』にはタイラー・ザ・クリエイターやリトル・シムズといった粋な面々が参加しており、黄昏どきにピッタリのロマンティックなアルバムに仕上がっておりました。意中の相手と観られたらいいな。そして、カレブ・ホーリーは〈RED BRICK CLUB〉のトリ。10年のキャリアを持つシンガー・ソングライターでミネアポリスの出身……といえばご察しですよね。殿下譲りの腰にクル音で、会場を艶やかな雰囲気のダンス・パーティーにしてくれること間違いなしです。

ユナの2019年作『Rouge』収録曲、リトル・シムズとコラボした“Pink Youth”
 

と、ここまで海外勢の4組を紹介してきましたが、同じくらい〈これは貴重!〉と猛プッシュしたいのが、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND。6月に行った再始動を告げるワンマンもたいへんな話題となりました。8月末以降は度々ライヴをするようですが、それでもこのタイミングに野外で、というのはヘッズじゃなくても必見でしょう。日本語ラップ史の伝説たる強面MC集団が繰り広げる、怒涛のマイク・リレーに痺れたい!

 

高見香那の場合

m-floに救われたい

〈GREENROOM〉は数ある国内フェスの中でもフェイヴァリットで何度も足を運んでいるのですが、〈LGF〉は初めて。ふだんあまり健康的な毎日を送っていないからこそ、こうしたオーガニックなイヴェントに強く惹かれます。

私の推しアクト。まずはぜったい観たいなというのが、m-floです。というのも今年の〈サマソニ〉の一日目で、強風により観たかったアーティストの半分が中止になり泣きながら徘徊していたところ、ふいに聴こえてきた“come again”に吸い寄せられまして。2000年代のベスト・ヒットからJP THE WAVYをフィーチャーした新曲“Toxic Sweet”まで、流石の〈アゲ〉なナンバーとアップデートされ続けているステージングに、一気にフェス気分にさせてもらったのです(救われました)。これは、全員集合!級です。

また、田中亮太さんも挙げていた要注目のR&Bシンガー、ユナの初来日も外せないし(Kan Sano→ユナ→m-floの流れいいな、それでいこう)、海風の吹く赤レンガ倉庫にぴったりなSIRUPも、単独のチケットもなかなか取りにくい人気者なのでこの機会に観ておきたい。お昼過ぎに登場予定の藤原さくらは、弾き語りとバンド編成どちらでの出演なのか気になるところ。フォーキーな歌声を、お酒を片手にのんびり堪能したいです。ニュー・アルバム『21世紀より愛をこめて』が素晴らしかったTempaleyは、いま急速的に進化しているバンドだと思うので、音楽ファンなら駆け付けたいですよね。

こうした魅力的なアクトを抜群なロケーションとアクセスの良さで楽しめるのが、〈Local Green Festival〉。夏の締めくくりに/秋の始まりを感じに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?

Tempaleyの2019年作『21世紀より愛をこめて』収録曲“のめりこめ、震えろ。”

 


EVENT INFORMATION

Local Green Festival'19
2019年8月31日(土)、9月1日(日)
会場:神奈川・横浜 赤レンガ地区野外特設会場
出演:
●8月31日(土)
BJ・ザ・シカゴ・キッド、SIRUP、TENDRE、WONK、iri、Tempalay、藤原さくら
、スティミュレーター・ジョーンズ、chelmico、Ryu Matsuyama、Serph、Attractions、yonawo、eill
●9月1日(日)
くるり、Nulbarich、大橋トリオ、m-flo、ユナ、NITRO MICROPHONE UNDERGROUND
カレブ・ホーリー、SPECIAL OTHERS ACOUSTIC、Jazztronik、SANABAGUN.、Kan Sano、踊Foot Works、ichikoro、DJ KENTARO
チケット:1日券8,800円 2日通し券13,800円
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