YouTubeを中心に〈歌ってみた〉動画やオリジナル曲で注目を集める歌い手グループ、成人男性三人組(通称せいだん)。ウォルピスカーター、えるの、りする、ニャンヤオチューからなる彼らは、原曲キーのカバーにこだわるユニットとしてもYouTuberとしても高い人気を誇る。そんなせいだんが、2ndフルアルバム『2mix 音』『2mix 声』および完全生産限定BOXセット『2mix BOXセット』を2025年9月24日(水)に同時リリース。今回はそれに先駆けて、作品の聴きどころなどをふくりゅう(音楽コンシェルジュ)に綴ってもらった(アルバムの特設サイトはこちら)。 *Mikiki編集部
原曲キーにこだわり、高音を駆使する個性的な3人+1匹
2020年2月、YouTubeへの動画投稿をきっかけに結成された〈せいだん〉こと成人男性三人組。ウォルピスカーター(最高音hihiD#)、えるの(最高音hihiC#)、りする(最高音hihiD)、ニャンヤオチュー(最高音hihihiA)の4人からなる3人+1匹!?の実力派歌い手グループをご存知だろうか。
YouTubeチャンネル登録者数は39万人以上、総再生回数は1億6千万回超を誇るほど大人気の彼ら。音楽活動のテーマは、ズバリ高音。ハイトーンボイスを駆使して男性ながら女声のような原曲キー、時に女声を超える高音で歌うことにこだわりを持っていることが特徴的だ。
すでに〈歌ってみた〉の投稿では、“地球最後の告白を”が409万回再生、“うまぴょい伝説”が387万回再生を突破。なお、2024年7月から実写動画を投稿しはじめたYouTubeチャンネルでは〈歌ってみた〉のみならず、バラエティーに富んだYouTuberとして幅広い活動を行なっており、それぞれのキャラクターや人間性からもファンを増やしている。
また4人は、それぞれ歌い手として個々で活動していることでも知られている。2012年から動画投稿サイトで活動してきた〈高音出したい系男子〉ことウォルピスカーター(せいだんのリーダー)は、歌唱動画の累計再生回数が4億回を突破しており、YouTubeチャンネル〈ウォルピス社〉の登録者数は79万人以上、豊洲PITなど大会場でワンマンライブを実施してきた才能。さらにハスキーな声が特徴で低音域も出せるえるの、柔らかな歌で聴き手を魅了するりする、そして活動歴がないなかで加入したものの最高音を出せるニャンヤオチューと、個性豊かなメンバーで活動中だ。
大漠波新“のだ”、YOASOBI“勇者”、サツキ“メズマライザー”の圧巻カバー
そんな成人男性三人組が、原曲キーカバーを軸とした2ndフルアルバム『2mix 音』、『2mix 声』を9月24日に2枚同時リリースする。
『2mix 音』は、いわゆるトラックに歌声をのせた作品で、『2mix 声』は、オケトラック無しで歌声のみを活かしたアカペラ盤だ。さらに、収録曲もXでファンからリクエストを募り、応募曲から3曲ずつ異なるナンバー(『2mix 音』=“メモリア”、“失楽ペトリ”、“拝啓ドッペルゲンガー”)、(『2mix 声』=“ベビーデーズ”、“聖槍爆裂ボーイ”、“夜もすがら君想ふ”)を収録している。
注目すべきは、YouTubeの〈歌ってみた〉で再生回数がミリオン超えの“のだ”(大漠波新)、“勇者”(YOASOBI)、“メズマライザー”(サツキ)の原曲カバーだろう。
“のだ”の2番の冒頭では、りするとウォルピスカーターが超ハイトーンをキメ、ニャンヤオチューとえるのが一旦低いパートを歌う。その後、ニャンヤオチューが高音を歌い上げ、ウォルピスカーターが低い部分を歌ったかと思えば、単語ごとに、あるいは数文字ごとに歌うそれぞれのパートが入れ替わる様は圧倒的。
“勇者”では、サビで4人のユニゾンを聴かせる点が非常に力強い。目まぐるしい短曲“メズマライザー”では個々の感情表現が豊かで、2番のえるのが複雑なリズムを乗りこなす部分、ニャンヤオチューとウォルピスが高音を歌ったあと、さらに上に転調したサビを全員でユニゾンする部分が凄まじい。四者四様に、目眩く折り重なっていくエモーショナルなボーカリゼーションの応酬によって、思わずリピートしたくなる。脳天を突き刺すスキルフルな歌声が、いずれも圧巻だ。