ライヴハウスをちぎれるほど熱狂させている3人から、いまを生きる若者たちの〈恋愛〉を切り取ったニューEPが到着!!! 純粋で曖昧、ときに暴走する彼女や彼の顛末は?
とにかくライヴが好き
大阪・寝屋川発の3ピース・ロック・バンド、the paddlesがサードEP『結婚とかできないなら』をリリース。高校1年の春に軽音楽部で出会い、すでにキャリア11年目となる彼らは、メンバーの脱退などがありながらも歩みを止めず、ライヴハウスで着実に力を付けてきた。
「高2から寝屋川VINTAGEにお世話になってます。結成当初はそのライヴハウスにだけ出てた感じやったんですけど、徐々に活動が本格化していって」(松嶋航大、ベース)。
「先輩のUnblockやyonige、後輩のBlue Mashやgrating hunnyが、気付けば近くにおったね。僕たちはホンマに叩き上げのバンドで、とにかくライヴが好きなんです。去年は100を超える本数をやったし、やってないとおもろない。レーベルメイトのkoboreにも感化されました。〈どんだけツアーすんねん!〉みたいな彼らの姿を見てたから。〈ライヴこそthe paddlesの良さがいちばん伝わる〉という考えのもと、意識的に増やしてます」(柄須賀皇司、ヴォーカル/ギター)。
「皇司は打ち上げでケンカじゃないけど、想いをぶつけ合って仲良くなったりする」(松嶋)、「精神性に共通点のある、闘争心が強い奴に惹かれますね。bokula.やArakezuriはまさにそう」(柄須賀)と話す通り、切磋琢磨してきた仲間は多い。果敢にライヴを重ねるなかで、今年2月に正式加入した新ドラマーの渡邊剣人とも巡り会えたのだという。
「SNSで見つけたんじゃなく、たまたまイヴェントで共演したのがきっかけ。ライヴをたくさんやってたおかげですよ。プレイが素晴らしいうえに〈the paddles顔〉なので(笑)、すぐピンと来ましたね。これまでと異なるタイプのドラマーなのもよかった。前任の(加賀屋)航平は歌に寄り添うシンプルなアプローチだったのに対し、剣人はいい意味で現代ナイズされたシャープな叩き方。自分たちの幅を広げられると思ったんです」(柄須賀)。
「サポートをいろいろやってきたけど、過去イチしっくりきたのがthe paddlesで。歌やサウンドが好みなのはもちろん、さっき話に出たようなライヴ感やバンド像が自分の理想とするものだったんです。それをお母さんに伝えて、曲を聴かせたら〈カッコいいじゃん、入っちゃいなよ!〉と言ってもらえたのも大きい。音楽に詳しくはないんですが、直観が僕と似ているので信頼していて。気持ちを見抜いてくれました」(渡邊剣人、ドラムス)。
ギター・ロックやパワー・ポップを主軸にしてきたthe paddles。初期は青春を歌うことが多かったけれど、現在は思春期に限定されない恋愛の曲が増えたりと、テーマも多彩になってきている。
「その年齢やタイミングでしか書けない曲を心掛けているんです。学生の頃はジャンルにこだわってましたけど、最近は囚われなくなりました。歌詞も〈思い出〉〈友情〉〈不条理〉がメインやったけど、世の中の人、ライヴハウスに来てくれる人の暮らしを考えるうちに、〈恋愛〉の曲も作ってみようかなと。みんな等しく悩んでるはずやし、たぶんいましか書けないテーマじゃないですか。2022年の“予測変換から消えても”以降、積極的に取り組んでます。コロナ禍にいったん就職して、見える景色が変わったことも転換点でした」(柄須賀)。
