2024年よりボルドー・アキテーヌ国立管弦楽団のシェフを務める、ニューヨーク出身のヨーゼフ・スヴェンセン。その豪快な指揮ぶりで知られる彼が、満を持して挑んだ最新録音はベートーヴェンの交響曲第9番。冒頭から全身を打ちつけるような推進力が聴く者を圧倒する。大洪水の波濤のごとく押し寄せる響きは、単なる一本調子の奔流ではなく、各楽章に明確な表情の変化を刻んでゆく。カラヤン以降、音の粒立ちと精密さを極めようとする潮流が続いてきたが、スヴェンセンのこの豪快な第九はそれを一刀両断するかのようだ。率直で真っ向勝負のその姿勢には、むしろ清々しいまでの誠実さが感じられる。