
ふたりの強みとコンプレックスをぶつけた“Eclipse”の歌詞
――では、新作『diluculum』の話に移ります。東名阪ツアー〈Veill〉にて、6月の大阪公演で“Eclipse”、7月の名古屋公演で“ガラスのChirality”、9月の東京ファイナルで“ill”“プリクエル”が初披露されました。
なな「“Eclipse”は私が担当して、“月下美人”と“GHOST BEAT”の2曲を書いてくださっている四市田雲豹さんに依頼しました。アニソンっぽい感じで、かつふたりの強みだったり、ふたりしかいないっていうコンプレックスみたいなものを歌詞にぶつけた曲です」
――歌詞は強いワードを選択されていて、日本語と英語の言葉遊びも面白いと思いました。ワードを選ぶ時の基準ってあるんでしょうか?
なな「私は響き重視で、あとは視覚的に歌詞カードを読んだ時に〈こういう表記だったんだ〉って気づいてもらえることを重視しています。意味合いそのものというより、〈こういう歌詞、哀原ななっぽいな〉って思ってもらえるものを選んでます」
――この曲はサビで半テンになって重々しい感じが出てたり、楽曲制作を依頼するときに構成に関しても指示をしたりするんですか?
なな「曲によるんですけど、今回〈サビは尺を倍でとってください〉とか〈ここからもっと開きたいです〉って、嫌がられるんじゃないかってぐらい細かくお願いしちゃってますね(笑)。自分たちで依頼するので、制作者さんの意図も汲み取りつつ、〈ライブだとこっちのほうが映えます〉みたいな感じでお願いしてます」
――中盤の歌詞で隅付き括弧が付いている〈【Vein kiss the pain.】〉のところは特別な意味があるんでしょうか?
なな「コウモリ、吸血鬼がテーマなので強調したかったんですよね。首筋を見せる振りですし、セリフであおってる感じ。〈来いよ〉って(笑)」
――その吸血鬼のイメージとタイトルの“Eclipse”=日食もリンクしているという。食ってかかるというか。
なな「そうですね」
ハロプロっぽさも意識した新機軸“ill”
――では収録順に、次は“ill”。作曲のTim-dongさんとは初めてですよね?
なな「新しい方にお願いしたいと思って、私が今回頼みたかった打ち込み系というか、初めての音色にしたいという狙いがありました」
――まさにトラップビートのような打ち込みに仕上がっていて。歌い方に関しても意識的に変えてるのかなと。ちょっと粘着質というか。
なな「まさに(笑)」
りん「ねっとりした(笑)」
なな「RECのとき〈もっとねちっこい感じで〉みたいな(笑)」
りん「言われた(笑)」
なな「ベタって感じの歌い方で。いつもはリズムを意識してたんですけど、今回はリズムに当てるんじゃなくて乗せる感じ」
りん「サビでメロが流れるようにつながってて。普段だったらやらない歌い方を研究しました。今まででいちばん準備したもん」
――歌い方も作詞した側がリードして決めていくんでしょうか?
なな「そうですね。レコーディングも作詞したほうから録って、自分なりに組み立てて、次にもうひとりが歌って。そのときに〈こうしたい〉とか話し合って」
――特にサビのハモリにうっとりして、ハロー!プロジェクトのタンポポの名バラード“ラストキッス”を思い出しました。あの楽曲のサビでもメインに対して3度上にハモリが鳴っていて、5周年インタビューでハロプロも通ってきていると拝見したので、しっくりきてしまったんですけど。
なな「でも、この曲のディレクションはコーラスとかを〈ハロプロっぽい感じにしましょう〉と話してました」
りん「吐息の感じとかはハロプロのよくある感じで。お客さんからも〈ハロプロっぽい〉って言われます。仲のいいハロオタのお姉さんからも〈めちゃめちゃハロっぽいね〉ってお墨付きをいただいて。うれしい」
――“Eclipse”に続いて、この曲にも〈Kiss〉というワードが続けて出てくることについても伺いたいです。ななさんの中で〈Kiss〉というワードが持つ愛情表現の意味以外に、続けて使っている理由があるんでしょうか?
なな「今作に関してはあります。自分のnoteの未公開記事にも書いていて。アユスクの〈Kiss〉って挑発的な、〈こういうの好きでしょ?〉っていう意味合いなんです。“Eclipse”も“ill”も登場人物がふたりなんですけど、〈どっちを選ぶの?〉っていう曲なので。〈あなたを愛してる〉の〈Kiss〉ではなく、投げキッスみたいな。誘惑っぽい感じの〈Kiss〉ですね」