DEAD END/Creature CreatureのMORRIE、元GASTUNKのBAKIというあまりに個性的なボーカリストふたりが新ユニット〈GODLAND〉を結成、ファーストアルバム『GODLAND』をリリースした。LUNA SEAのSUGIZO(ギター)、元DEAD ENDの湊雅史(ドラムス)、そして元THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのウエノコウジ(ベース)という一騎当千のメンバーがタフでエネルギッシュでパワフルなバンドサウンドを響かせ、ふたりのボーカリストが見事なコンビネーションを聴かせる、MORRIE曰く「怪物じみたツインボーカルユニット」は、まるでロックのビートに初めて打ちのめされた時のような熱い初期衝動が漲っている。ツアー最終日東京公演を直前に控えたふたりに訊いた。
BAKIさんとツインボーカルで怪物じみたユニットをやりたい
──BAKIさんとMORRIEさんの仲は昔からよく知られていますが、こうしてフルアルバムで全面的に共演するのは初めてということになるわけですね。
BAKI「そうですね」
MORRIE「弾き語りのライブをやったりお互いのアルバムでゲストとして参加し合って歌う程度でしたんで、こうしてがっつりやるのは初めてですね」
──なんでも今回はMORRIEさんの方からBAKIさんに声をかけたとか。
MORRIE「はい。BAKIさんが(GASTUNKを)衝撃の脱退をされて(2022年)」
──あれは我々ファンには寝耳に水の衝撃的な出来事でしたけど、MORRIEさんにとってもやはり衝撃でしたか。
MORRIE「そりゃそうですよ。何があったんだ、体でも壊したんかなって心配したんですが」
BAKI「みんなに言われたんですよ。そこは大丈夫だからって」
MORRIE「それで昔からね、僕はBAKIさんとツインボーカルで、怪物じみたバンドっていうか、ユニットをやりたいってアイデアがずっと頭にあったんですよ」
──ずっと以前から。
MORRIE「ずっと昔から。いつかできれば面白いかな、ぐらいで。で、BAKIさんがGASTUNKを辞められて、しばらく何も活動されてなかったんで、これはいい機会で一緒に何かがっつりやれたらいいかもしれないと」
──BAKIさんはGASTUNKを辞められてから、計画とか、〈こういうことをやりたい〉みたいな希望とかはあったんですか。
BAKI「いや、それがなくて。GASTUNKを辞める前にMOSQUITO SPIRALとか、他の活動も辞めちゃってたんで、そういう流れの時だったんですよね。アコギの弾き語りのライブもすごくいっぱいやってたのを一回辞めてGASTUNKだけやってたら、GASTUNKもなくなって、次、何をするんでしょうか、みたいな。ひとりでやるのは、自分がその気になればいつでも復活はできるけど、バンド的なものは、すぐにはね、なかなかやる気がでない。
そこにMORRIEから、〈こういうアイデアがあるんだけど〉って話が来て。セッションで1曲とか、そんな話かなと思ったら、一緒に曲作ってバンド組んでやろうって話だったから、それはやってみたいなと思って」
守りに入っても仕方ない
──そもそもMORRIEさんはBAKIさんにすごく影響を受けたと公言しています。どういうところに惹かれたんですか。
MORRIE「僕にとってGASTUNKっていう存在はやっぱり特別なもので。僕は当時神戸に住んでたんですけれども、大阪にエッグプラントってライブハウスがあって(1984年〜1989年)、その手のバンドは大体そこに出ていて、しょっちゅう見に行ってました。80年代前半から中盤とか面白い時期で、しっちゃかめっちゃかなバンドがいっぱいいました。
ハードコアもそうですし、あらゆるジャンルのヘンテコなバンドがいっぱいいて面白い時期だったんですけど、なかでもGASTUNKのあの破天荒な雰囲気とパンクでもメタルでもないサウンドとね、スカートをはいて白塗りメイクしたBAKIさんのビジュアルとか、ちょっと他にいない強烈なインパクトがあった。内省的な歌詞とかも気に入っていて、ほかとは完全に一線を画していたから。大好きでしたね」
──DEAD ENDとGASTUNKの対バンはあったんですか。
MORRIE「ありますね。1986年に。ギターは足立(祐二)さんが入る前のTAKAHIRO(香川孝博)で、香川のラストライブだった。メジャーデビュー前なのでドラムはTANO(田野勝啓)でしたね。それまでもGASTUNKが関西に来た時は客として全部行ってますけど、対バンして初めて面識を得て。そこから40年お付き合いさせていただいてます。僕がアメリカに移住してからBAKIさんがソロアルバムのミックスでニューヨークに来られて、ウチに泊まっていったこともある」
BAKI「みんなが帰ったあとも1週間ぐらい泊まったよね」
──尊敬する先輩であり友人である、と。BAKIさんはMORRIEさんのことはどう見ておられたんですか。
BAKI「その頃からしか知らないんですけど、すごくえげつない歌詞を歌うなって思った(笑)」
MORRIE「ええっ(笑)」
BAKI「ドロドロした。すごく不思議だったな。それで新しいアルバムを作るたんびに、どんどん新しいことをやってる。どんどん変わっていって、次はどうなるのかわからない。それがすごく面白いと思ったね」
MORRIE「当時、80年代って変わるのが当たり前、変わらなければダメみたいな。変化が善とされていて、同じところで止まっているとダサいみたいな。そういう空気があった気がしますね。だからあえて変えたっていうのではなく、若い時ってどんどん吸収するし、それにつれて変わっていく。僕もそうだったし。メンバー──YOUちゃん(足立)はそんな風でもなかったようだけど──MINATO(湊雅史)もそうですね。それは暗黙の了解のようで、変わり方はちょっと凄まじかったですね」
BAKI「メンバーの意向も反映してくるしね。好きなものが変われば変化するのが当然っていうか」
──それは昔からおっしゃってますよね。変わるのは当たり前だった。
BAKI「当たり前だと思うし。その時やりたいことをやればいいし。音楽することは本当に生きることと直結してるわけだから、その時にピンときたものをやっていかないと自分が自分でなくなっちゃう。その距離感が一番力が出るというか、作品にも自分にも。そこが正直じゃないと、やっぱり伝わるものも伝わらない。そこで限定しないというか、自分から殻を作ったりしない。
今回MORRIEとやることで一体何ができるか、予測ができないのが楽しいから。なんでこんなものを作ったの、って言われても〈知るか! 今はこれなんだよ!〉っていう(笑)」
──そこ、昔から一貫してますよね。
BAKI「うん。守りに入っても仕方ないし、そんなことを考えてもつまらない。自分でも楽しみたいし、それが一番かなと」
自分なりのトーン、音調を追求している
──MORRIEさんもそこは共感できる。
MORRIE「そうですね。反面、何かを極めていくって姿勢も非常に大切だと僕は思っている。その両輪ですよ。広げるのも大事だけど、あんまり広げちゃうと取って付けたみたいになって広く浅くなっちゃう。やっぱりひとつのものを極めていくことも大事なんですよね」
──その変わるところと極めていくところ、ご自分の作品ではどこに反映されてますか。
MORRIE「具体的に言うと、やっぱり自分なりの音調ですね。聴くとすぐその人ってわかるような。たとえば坂本龍一を聴くと、あのトーンだけで坂本龍一だとわかるじゃないですか。どんな曲でも。そんな感じでどういうジャンルをやっていても、自分なりのトーンというか、音調というか、そこはずっと追求してますし、自分なりに確立してきていると思います」
──自分の個性はご自分で自覚できている。
MORRIE「もちろん。その一方でね、ジャンルを広げると言っても……(BAKIに)ヒップホップなんか聴いてます?」
BAKI「俺は結構聴くものもあるよ。昔よりも何でも聴くようになったね」
MORRIE「僕もヒップホップが出てきた時は衝撃だったし、面白いとは思ったけど、自分がやるのはなあ、みたいなとこもあるし。その辺のジレンマはちょっとあります。流行ってるのももちろん聴いたりしますけど、ちょっとその辺はね、わかんないな。年を取って感覚がずれてるのかもしれないし、もう60歳を過ぎてますから」
──聴き手として経験を積むと、何を聴いてもだいたい〈これはアレね〉ってわかっちゃうじゃないですか。
MORRIE「うん、それもある」
──だから、若い頃みたいに、何かを聴いて衝撃を受けてガラッと価値観が変わっちゃうとか、何もかもがひっくり返っちゃうみたいな経験ってなかなかないですけど。
MORRIE「うん。若い頃みたいに全般的にアンテナを張り巡らしてしっちゃかめっちゃかなんでも聴くっていう感じではもちろんないけど、でもそのつど新しい感覚や刺激的なものを反映させて常に変わっていきたい、というのはありますね」

〈曲に語らせる〉ことで進化し、生まれる個性
──そんな中で今回のアルバムは、こっちが予想したよりもはるかにストレートというか、パワフルというかシンプルというか、そういう音になっていて驚かされました。このふたりならもっと屈折したドロドロの音楽になっていてもおかしくなかったけど、全然そうじゃなかったですね。
MORRIE「まさしく今、言われた通り。ストレートでシンプル。もう、それだけが僕の考えていたことです」
──じゃあ最初からそういう構想を持っていて、BAKIさんに話しかけられた。
MORRIE「いや、そんなことはないですね。曲をお互い作っていって、具体的に〈この曲はどうしよう〉って話しつつ、その曲に語らせるというか。具体的な曲に即してああだこうだ言いながら作り上げていった感じです。最初から〈こういうことをやろう〉っていう抽象的な話はなしで」
BAKI「とにかく何が起きるか、やってみなければわからない。ツインボーカルと言ってもどんな形でやるのかとかね、なかなかその完璧な到達点はわからないから。そこはもう本当に楽しみながら、一曲一曲聴いて、〈これはどうかな〉〈これをやってみよう〉ってやってたら、どんどん曲が進化していく。それでまたアレンジして、出し入れが決まって、みたいに一曲一曲が個性的にできていくので、それを楽しみながら」
──そこはメールのやりとりなんかじゃなく、実際に対面してやった。
MORRIE「もちろんです。一昨年一番会ったのはBAKIさんですから(笑)。一昨年の時点で、ほぼ全部ベーシックのトラックが出来上がってましたね。歌録りも90%は終わってました。一昨年の3月4日、僕の還暦のライブで──名前はまだGODLANDじゃなかったですけど──3曲披露してそこから作り始めて、2024年にはほぼ出来上がっていた」
自ら参加を申し出たSUGIZO
──それがなぜ1年以上経っての発売なんですか。
MORRIE「ははははっ!」
BAKI「ギターが入らなかったから(笑)。当初は2024年中に入れ終わる予定だったのがちょっとずれて、2025年に入ったら、SUGIZOが怒涛の忙しさになっちゃって」
──ああ、いろいろやってますもんね。
BAKI「それでほぼ1年伸びちゃった」
──SUGIZOさんに声をかけるのは、最初からおふたりの頭の中にあったんですか。
MORRIE「SUGIZOはすごく近くにいますんで、ふたりでやるっていうのを小耳に挟んで」
──あっ、自分から参加を申し出てきた。
MORRIE「そうなんです。あ、それはいい、ではよろしくお願いします、という」
──いい話です。一番意外だったのはウエノコウジの参加でした。
MORRIE「2015年のルナフェス(〈LUNATIC FEST.〉、LUNA SEA主催のフェス)にDEAD ENDで出たんですけど、その時〈KA.F.KA〉っていうバンドが出てて」
──土屋昌巳さんの。
MORRIE「そう。ISSAYとかモリケン(森岡賢)とかモトカツ(宮上元克)とか。SUGIZOもゲストで弾きましたが、そこでベースを弾いてたのがウエノ君だったんです。僕はミッシェルガン(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)は全く知らなかったんですよ。その間、アメリカに住んでたから。そのルナフェスの時の印象がすごくあって、8ビートのピック弾きのゴリゴリしたプレイの感じがいいんじゃないかと」
──ご自分が思い描いてたGODLANDのサウンドに……。
MORRIE「バッチリハマりましたね」
BAKI「何度かやってるけど、音がとにかくいいっていうか、グッとくるサウンドで、やってても安心感があるんですよ。やればやるほど、俺的には好きになっていく感じですね。湊とウエノ君とSUGIZOの演奏はやっぱすげえなと。
ただアルバムはいっぺんにみんなで演奏してるわけじゃない。段階的にレコーディングしていってるんで、ベースとドラムは一緒に録ってるけど。だけどやっぱり最終的にはみんなの個性が本当に出てる。みんなすごいプレイヤーだし、組み合わせが最高に面白いなと思うんですよ。ほかではありえないような組み合わせなんで」
──確かに。湊さんはMORRIEさんと同じDEAD ENDで長年やってきたし、BAKIさんとも何度もやってる。改めて、彼はどういうドラマーですか。
MORRIE「一言で言うならば、とにかく野獣のような反射神経のドラマー。80年代のDEAD END時代からプレイスタイルは随分変わりましたけど、そういう魅力は変わってませんね」
普通のハードコアと違うSUGIZOスタイル
──今作の楽曲、作詞はおふたりの共作になってますが、楽曲はMORRIEさん、BAKIさん、SUGIZOさんのものが数曲ずつ収められています。
MORRIE「そうです。SUGIZOは決め打ちで出してきました。このバンドなら、こういう曲がやりたい、と」
──自分から参加を申し出たぐらい、このユニットへの熱意があったわけですからね。
MORRIE「そうです」
──SUGIZOさん作の“讒言サイレン”って、ディスチャージ(初期UKハードコアバンド)みたいで最高です。
BAKI「そうですね。あれはSUGIZOが〈ぜひやりたい〉っていう」
──BAKIさんのリクエストじゃなくて?
BAKI「俺はああいうの、いっぱいやってきたからさ(笑)。ただ今回やったような、ハードコアっていうか、そういうのはやってみたいなと思ってたの、ちょうど。〈今回はこれで〉って思ってたというよりは、個人的にEXECUTE(GASTUNKの前にBAKIがやっていたハードコアバンド)ぐらいまで戻ってみたらどうなんだろうなとか、そういうアイデアもあってね。〈今後そういうのもありかな〉みたいにちょうど思ってる時期ではあったんですよ」
──GASTUNKを辞めて、これから自分は何をすべきかっていう時に、自分の原点はどういうところにあったのかみたいな、そういう見直しがあったっていうこと。
BAKI「そうですね。原点っていうか……〈ああいうのを今やったらどうなるんだ〉みたいな。一回もあそこは触ってないんで、それをやるのも面白いかな、と」
──ああいうシンプルでストレートなハードコアは今なかなかない。
BAKI「そうですね。〈ジャパニーズハードコア〉みたいなところをやってみても面白いかなみたいな。でも自分なりにやったらまた違うんだろうからわかんないですけど、そういう思いもありつつ、SIGIZOから曲が来た。
やっぱギターの入れ方とかリズムとか普通のハードコアとは違うし面白いですよね。SUGIZOスタイルっていうか、音も太いしね、面白い、個性的だなと思いますね」
──“讒言サイレン”に限らず、アルバム全編、勢いとエネルギーがあってライブが盛り上がりそうです。
MORRIE「それが前提ですから」
BAKI「だからもう本当、ライブをどんどんやればやるほど良くなっているところなんですよ。ふたりで歌えるってこともそうですし、やっていくうちにどんどん成長していくのが実感できてる」
直感的なエネルギーをパッケージすることの大事さと難しさ
──歌詞が共作になっているのは、それぞれが歌うパートを各自作っているっていうことですか。
MORRIE「そうですね。ソロで歌ってるところはそれぞれが。ユニゾンとかハーモニーになってるところはお互い作ってきて、照らし合わせて」
──もっと荒々しい感じでやるのかと思ったら意外にちゃんとハモってるし、ユニゾンも綺麗にやってるし。
MORRIE「(笑)。そうなんですよ。曲を作って、メロディーができた時点で割り振りをふたりで相談しながら決めて、パズルのように詞をはめていく。それをまた実際に会って突き合わせる、っていう。それを11曲分やったわけですよ」
──めちゃくちゃ時間がかかりませんか。
MORRIE「だから2024年に一番会ったのはBAKIさんなんですよ(笑)」
──今までボーカルは全部自分で決めて自分ひとりでやってきたわけでしょ。戸惑いませんでしたか。
BAKI「だから歌うことに対しては難しいことはいっぱいありますよ。ひとりで歌うんじゃないから。デタラメにやるやり方もあるし。でもそういう(きちんとやる)のが今は面白いと思うし、その出し入れやメリハリをもっとちゃんと表現してみたい。これをまたライブでやると出し入れも強弱も変わってくる。一緒になったり、離れたり、別に進んだり。いっぱいいろんな表現ができるんで。難しいっていうか、ひとりでやるのとは違うけれど、挑戦しがいがあるなと思ってます」
──そういう醍醐味みたいなものにMORRIEさんとやることで気づいた。
BAKI「そうですそうです。まあ、それが最適解かわからないけど。そういった部分を進めていくと、もっともっと面白いことができるかもしれないし、楽しい。挑戦してるからさ。ひとりでめちゃくちゃやってるのとは当然違うけど。ひとりだったらね、何があっても自分が出て行けばいいし、自分の責任だけど、やっぱ今回はちゃんとやってそれを見せていけたらいいな、という。その結果がこの作品になってるから。成長してきてるんだよ」
──今までずっとひとりでやってきたのが、MORRIEさんという他者と向き合って対峙することによって、新しい自分が生まれてきた。
BAKI「そうそう。そういう意味でも、本当に感謝してますよ、MORRIEに。人と一緒にこんなに真正面から組んでやることってさ、なかなかないだろうなと思って。ありがたいことだなと思う」
MORRIE「ボーカリストふたりの共同作業であそこまでがっつりアルバム1枚作ることってなかなかないですよ。ツインボーカルの型としても結果的にいろいろなことができたから。スタイルとしても結構ええとこいってるん違うかな、みたいな」
──MORRIEさんは逆にBAKIさんと一緒にやることによってどういう気づきがありましたか。
MORRIE「直感でくる瞬時のエネルギーみたいなものをできるだけパッケージすることの大事さと難しさみたいな。テイクを重ねるうちに上手くはなるけれども、どうしてもファーストテイクがベストだ、みたいなのは実際にその通りで。その辺をやっぱり重視しつつ、そこに触発されて、〈BAKIさんがこうするなら自分はこうだ〉みたいに、お互いの個性を、持ち味を活かした感じのパフォーマンスができたと思いますね」

湊雅史の歌うドラム
──歌はどの段階で入れたんですか。
MORRIE「デモの段階でほぼ録りましたね」
──ベーシックのリズムを録る前、ってことですか。
MORRIE「ちょくちょくやりますよ。もちろんね、いっぺんでバーンと録るのが理想なんでしょうけど、なかなかそういうわけにはいかない。デモは打ち込みだし、完成した音とは全然違うけど、歌はそこでも十分に入れられる」
──じゃあベースもドラムもギターも、本チャンの歌を聴きながら演奏したってことですね。
MORRIE「彼らにとってはそちらの方がいいと思うんですよ」
──確かに歌詞がわかった方が弾きやすいっていうことを言う人はいますね。
MORRIE「うん、往々にしてリズム録りをする時に歌がないとか、ホニャララ歌詞しかないとか」
──それより歌詞や歌のニュアンスがわかった上で演奏したほうがいい、と。最初にオケを作ってあとからボーカルを入れるのが普通だと思ってました。
MORRIE「いや今回は違いますね。もう歌がバッチリできてました。もちろんあとからちょっとしたリズムの感じとかでエディットしたり調整したりすることはあるとはいえ、基本は最初に録った歌を活かして、彼らはそれを聴きながらやっているんですよ。だから気持ち的に全然違ったと思います」
──デモを聴いて歌を入れて、その歌を聴きながら各楽器が音を重ねて、それがバンドの音になっていく、というやり方ですね。
BAKI「今回はそういう感じの作り方でしたね。その中でどういうことができるのかなっていう。曲を完璧に仕上げて、歌もバンドも一斉に録りますよ、なんて時間はないわけで。湊とか、2回ぐらい聴いたら叩くような人だし、そういう仕事もいっぱいやってるし。だけどやっぱりちゃんと歌が入ってると違う。もうめちゃくちゃ歌に反応してるし」
──やっぱりそういうもんですか。
BAKI「そういうのがすごいですよ。表現力っていうか。細かいことをいっぱいやってて」
──この歌詞だからこういうふうに叩いてるんだなっていう?
BAKI「絶対に僕はそう思いますよ。彼のプレイはもう何年も聴いてるからわかる。彼はすごく歌を聴いてるから。歌が好きだからドラムも歌うっていうか、歌ってるみたいに叩く。パッと聴いたらそう聞こえないけど、すごく複雑なことをやってますよ。今回の演奏だってすごく音数が多いですよ。同じことを全く繰り返さない。ずっと違うことをやってるから。リズムの感じとかリフとかはもちろん、歌の感じとかニュアンスも全部聴いてやってると思う」
──それはめちゃくちゃいい話ですね。
BAKI「こういうやり方が正解ってわけではないですよ。別に何が正解とかはないから。ただ今回はこういうやり方でやって。多少のやりにくさっていうのは当然ある。(歌う時に)本チャンのギターが入ってるわけじゃなかったりね。そこはひとつ開き直って、どっちのシーンを先に作るかみたいな話だから、ニワトリと卵みたいなもんで」
GODLANDではより自由にやりたい
──今回BAKIさんもMORRIEさんもギターは弾いてないんですか。
MORRIE「弾いてない」
BAKI「SUGIZOは〈弾いて弾いて〉って言ってたけど、やっぱSUGIZOに全部やってもらった方がいいし」
MORRIE「その方が潔くて気持ちいいですよ」
──自分が作ったデモでは弾いてたんじゃないんですか。
BAKI「弾いてた。それも残せってSUGIZOが言ってた。でも今回は彼に全部弾いてもらうほうがわかりやすくて。そういう(自分が弾く)時もあるかもしれないけど、基本は何も持たずにね、ふたりでバーンってやってた方が説明しやすいというか」
──ライブでも全然楽器は持たないですよね。でもご自分のソロとかではギターを弾いてるわけでしょ。マイクだけ持って歌うってどうなんですか。
MORRIE「いや、むちゃくちゃラクですよ」
──あ、ラクですか。
MORRIE「ギターを持って歌うということを弾き語りとして始めて10年ぐらいなんですが、やっぱりギターを弾きながら歌うとね、こっち(ギターを弾くこと)に神経がいきますから、いい悪いじゃなく、歌だけに集中するわけではないので、それが吉と出る場合もありますが、歌だけのほうがむちゃくちゃラクですよ」
──信頼できる人にいろんなものを預けてお任せできる。それで自分はやるべきことに集中できるっていうことですね。
MORRIE「そうですね。言い方を変えると。もちろんみんなを信頼してるしね。GODLANDでは自分はより自由にやりたいと」
90歳で歌う自分に会えるかもしれない
──おふたりにとってGODLANDというのはどういう位置づけになるんですか。ご自分の表現活動全体において。
MORRIE「表現という意味では、自分の音楽の一部分を特化した感じではあります。ストレートでシンプルで、SUGIZOは〈初期衝動〉と言ってましたけど、音楽的には60年代〜70年代初期ぐらいのロック黄金時代みたいな、その辺のロックを意識しました。そういう音楽を聴いて僕は育ってきたし。それを今の感覚で、チームでやるということですね」
──それはやっぱりこの連中じゃないとできないことであると。
MORRIE「そうですね、結果的に。このメンツだからこそできた」
──このおふたりで全く違うタイプの音楽をやるっていうつもりはないですか。
MORRIE「そういう話はちょっとしました。それこそ打ち込みだけでやるとかね。打ち込みならもっと自由にできるし」
──めちゃくちゃ地味でインドアな。
BAKI「(笑)。そう」
MORRIE「アイデアとしてね。そういう曲を1曲入れようかって話もあったけど」
──こういう派手なアルバムもいいけど、めちゃくちゃ地味で暗いアルバムも聴いてみたいですね。
MORRIE「(笑)。可能性としてはありますよ。BAKIさんも幅広いですし」
──じゃあそこは制約を設けてるわけではなくて、その時やりたいと思ったことをやるだけ、という。
BAKI「もしね、本当に次があったら、次はまた違うもの……違うものっていうか、また新たなものができるんでしょうね、っていう感じはしますね。本当はもっとね、(活動の)数が増えると嬉しいんですよ、自分的にはね。ライブとかをもっとやれればいいけど、なかなかね。自分もMORRIEもいろんな幅があるからさ、そういうことをやる場を増やしたいなとは思いますね。歌はいつまでも歌えると思ってるし」
──歌うことが大好きって言ってましたもんね。
BAKI「うん。そういう場をなんとか作っていけば。元気にしてたら90歳で歌う自分に会えるかもしれないしさ」
RELEASE INFORMATION
■初回生産限定盤(2CD+Blu-ray+BOOKLET)
リリース日:2026年4月15日(水)
品番:UICZ-9251
価格:13,200円(税込)
初回生産限定盤/2CD+Blu-ray/3方背ケースデジパック/豪華ブックレット
TRACKLIST
DISC 1
GODLAND
1. The Last Battle
2. 絶望クライム
3. 讒言サイレン
4. Midnight Flow
5. Narcissus
6. Run Away
7. Mind Breakker
8. Dead Lady Blues
9. 何もかもが恋し
10. The Stellar Way Train
11. Crow
DISC 2
GODLAND[Instrumental Tracks]
Blu-ray
LUNATIC FEST. 2025 (Re-Edited Ver.)
・絶望クライム
・讒言サイレン
・Midnight Flow
・The Last Battle
The Last Battle (LIVE CLIP)
GODLAND EXCLUSIVE SHOT
PROFILE: GODLAND
2024年3月2日、MORRIEの還暦ライブ〈MORRIE 60th Birthday Celebration FLESH FATE FESTIVAL〉にて、告知なしで突如その存在を世に表した〈GODLAND〉。同年、Spotify O-EASTにてワンマンライブを開催。さらに2025年には〈LUNATIC FEST. 2025〉に出演し、多くのオーディエンスを魅了した。3作連続で先行配信シングルをリリースし、満を持して待望の1stアルバムをリリース。今作のレコーディングには、数々のミュージシャンからリスペクトを受けるBAKI(ex-GASTUNK)とMORRIE(DEAD END/CREATURE CREATURE)によるツインボーカルを軸に、ドラムに湊雅史(ex-DEAD END/A)、ベースにウエノコウジ(the HIATUS/Radio Caroline/ex-THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)、そしてギターにSUGIZO(LUNA SEA/X JAPAN)が参加。超豪華なロックレジェンドたちが集結したスーパーロックバンド、それが〈GODLAND〉である。
MORRIE OFFICIAL SITE:https://morrie.jp/
BAKI OFFICIAL SITE:https://baki.bitfan.id/
