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ファブ・フォーの故郷はのどかで小さな港街

――藤本さんはリバプールを何度も訪れて、街の特徴を掴まれたと思うんですけど。

藤本「今はもちろん〈ビートルズ〉が真ん中にある活気のある観光地になっていますが、それでもやはり、のどかな港町だなと。さっきアリさんもおっしゃってましたけど、ロンドンは基本的に東京とあんまり変わんないですよね。都会ですし、ビジネス中心の街だけど、リバプールでは本当に昼間から酒を飲んでる人が多い」

柴山「みんな飲んでますね」

藤本「僕は中央線沿線に住んでますけど、その感じに近いんですよ。要するに都心じゃない。さっき外からの人に対してウェルカムって言われてましたけど、やっぱり居心地がいいし。それはダンジョン・レインに行ってもそうで、何にもないけど、そこにそれぞれの生活があって、ほとんどあの一角で一生を終えるような人たちが暮らしている。ビートルズの4人はそこから川を越えて、ロンドンから世界へ出ていったわけですよね。リンゴやポールも言っているとおり、今もリバプールは彼らにとって生活の出発点になったホームタウンだし、自分たちがここで育ったという想いが、『The Boys Of Dungeon Lane』の歌詞、“The Days We Left Behind”とかに表れてますよね」

田舎町の風景っていうか、のどかな場所がリバプールに残っていることに安心感があるなあと、毎回行くたびに思うんです。たとえば渋谷とかとは全然違う。でも、行くと必ず何かが変わってるんですよ。ストロベリー・フィールズも記念館になったりね。そうやっていろいろ変わりますけど、暮らしている人々のあり様はずっと変わらないし、そこにすごく安心感があります。〈お前リバプール好きか?〉って言われて、〈好き〉って言うとビールを奢ってくれますから。そんな街はないですよ、他には」

柴山「僕は2つ驚きがあって、1つはカモメの鳴き声がずっと聞こえる。ビートルズの“Free As A Bird”のミュージックビデオの最初に、カモメが飛んでるでしょ。あれの意味が最初はわからなかったんですよね。だけど、実際にリバプールへ行くと、だいぶ街の中にまでカモメが入り込んできてて(笑)。あれがビートルズの4人にとっては普通の音だったんだなと思って、それを共有できてすごく嬉しかった。

あと、今日何度も話に出ているとおり、リバプールって小さい街なんです、本当に。キャバーンから何から、ベニューから食事する所、デートする所までシティセンターに全部集まってて。だから、ビートルズもこんな狭い世界で生きてたんだなってことがよく分かるし、逆にジョン・レノンみたいな乱暴で悪い奴が、あんな狭い世界の中でよく最後まで愛されたなと思って。大体そういう人が狭い世界にいると、人間関係が崩れちゃうから。それは感心しましたね。やっぱりポールは本当に優しいんだろうな」

藤本「そうですよね。よっぽど好きだったんでしょうね、ジョンのことが」

柴山「うん。2人の出会いも奇跡的だなと思います。ジョージも最終的に拗ねちゃったけど、本当はジョンとポールが大好きだったと思うし」

――ちなみに、リバプールで好きな場所はどこですか。

藤本「僕はね、イー・クラック(Ye Cracke)。あのパブが好き。あと、昔のストロベリー・フィールズは良かったですね」

アリ「いい質問ですね。リバプールにはいい場所がいっぱいあって、20分も行けばビーチがあるし、港もある。素敵な公園も、パブも、ベニューもね。僕が一番好きなのはセフトン・パーク。たくさんの鳥が飛んでくるのを、草木に囲まれた中で眺めていると、とても幸せな気持ちになります。僕はパブに行くのも好きで、イー・クラックもお気に入りの場所ですよ(笑)」

――具体的に、リヴァプールに実在する場所からインスパイアされて書いた曲もあるんでしょうか?

柴山「僕は82番の2階建てバスで、いつもシティセンターの宿泊先から、アリの家まで行くんです。僕が〈今日も82番のバスに乗ってきたよ〉って言ったことからできた歌詞が、“I Miss You”でした」

アリ「自分では、たとえば〈Strawberry Fields〉とか〈Penny Lane〉とか、そういういかにもビートルズを連想させる地名を曲の中に入れていません。でも、ビートルズって体の中に潜在的に入っているものなので、何かしらエッセンスは入っていると思います。このアルバムはふたりのコラボレーションなので、リバプール寄りにもジャパニーズ寄りにもせず、中間のところの音楽を作りたいと考えていました」

 

分断に向かう世界の架け橋になるバンド

――藤本さん、他に彼らのアルバムの中で印象に残った曲は?

藤本「“What Could I Do”もいいですね。YouTubeでビデオが公開されてますが、まさに日本とイギリス、それぞれの街の様子が出てくるじゃないですか。リバプールはジャカランダもちょっと出てきますけど、具体的にはどの辺で撮ったんですか?」

柴山「アリが歌っているメインのところは、アルバート・ドックという港のドックです。みんなに馴染みがあるリバプールの日常を見せながら、そこに日本っていう国の違和感を入れ込みたくて。全部日本にしちゃうと、イギリスの人たちは興味をなくすかもしれないけど、こういう形だと興味を持ってくれるのかなと思って、そういう意図でちょっと混ぜたんですよね。

もともとは、今のようにグループとしてやっていこうと思っていたわけではなくて、結果的に今、イギリスと日本の架け橋のようになっている、という感じなんです。レーベルから〈お前とお前が組んでやれ〉とか言われて始めたわけではなくて、いちミュージシャン同士で一緒にやろうぜっていうところから始まっていて。皆さんご存知のとおり、世界は分断の方に向かってるじゃないですか。世界が第二次世界大戦のちょっと前みたいな空気になってきて。そんな中で僕らが、小さくてもいいのでシンボルになれたらな、と思っています。国も文化も考え方も違うので、アリとは揉める時もあるんですよ。それでも2年間、多分お互いに我慢もしながら、切れることなく続いてきて。実はもう2枚目のアルバムも作ってるんですけど、こういう形でコラボレーションしているバンドとしては、世界でも類を見ないほど成功しているグループだと自負しています」

 


RELEASE INFORMATION

Any Joy? 『Sweet Nothings』 TAKUSAN(2026)

リリース日:2026年7月22日(水)
品番:TKSN-1001
仕様:LP
価格:5,500円(税込)

TRACKLIST
A面
1. Where It Goes
2. What Could I Do?
3. Shari Raimon
4. I Would
5. Good Day, Good Night

B面
1. Hohoemi Kakete
2. On The Stage
3. Sometimes Love Is Hell
4. I Miss You
5. Moutain Top
6. Slow Train

 

LIVE INFORMATION
Any Joy? JAPAN TOUR 2026

2026年7月18日(土)東京・北千住 PECKHAM ※終了
開演:19:00(ワンマン)

2026年7月22日(水)愛知・新栄 SPADE BOX ※終了
開演:19:00

2026年7月23日(木)大阪・梅田 BANGBOO ※終了
開演:17:20

2026年7月24日(金)京都 拾得 ※終了
開演:19:00

2026年7月25日(土)長野 ロズベリーカフェ ※終了
開演:19:00

2026年8月1日(土)神奈川・横須賀 ヤンガーザンイエスタディ
開演:12:00

2026年8月1日(土)愛知・鶴舞 K.Dハポン
開演:19:00

2026年8月3日(月)東京・東新宿 真昼の月 夜の太陽
開演:19:00

予約フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd4F_CnHpRYnVRQZfhFfMyuQNb5XC7LHAobraT5KB8A53p-6w/viewform

 

 


PROFILE: Any Joy?

Any Joy?は、愛知・名古屋を拠点に活動するミュージシャン兼大学教授の柴山一幸と、英リバプールを拠点に活動するシンガーソングライターのアリ・ホーンによる国際コラボレートプロジェクトです。2024年夏、リバプールのジャカランダで開催されたフォークイベントでの偶然の出会いをきっかけに意気投合。互いの楽曲に惹かれ影響を受け合い、昨年はデビューアルバムのレコーディングに着手。近年流行のデジタルデータ交換やオンラインレコーディングのトレンドとは異なり、柴山は実際に日本とイギリスを行き来しながら、すべてのレコーディングを行いました。Any Joy?は、日本とイギリスのサウンドを融合させ、シティポップやフォークの感性、そしてホーンの詩情を、柴山のアレンジが見事に引き立てています。奇抜で実験的……というか、全く奇抜ではありません。むしろ、時に相反する日本とイギリスの伝統的なロックスタイルを巧みに融合させ、ジャンルレスで唯一無二のサウンドを生み出しています。今後1年間で、シングルとアルバムのリリース、そしてイギリスと日本でのコンサート開催を予定しています。まもなくAny Joy?のサウンドは海を越え、世界中に響き渡るでしょう。

■関連リンク
オフィシャルサイト:https://any-joy-jp.bitfan.id/
Instagram:https://www.instagram.com/anyjoy.song/
TuneCore配信サイト:https://www.tunecore.co.jp/artists/anyjoy