全国のタワーレコードのスタッフが、己の〈耳〉と〈直感〉だけを基準に世間で話題になる前のアーティストの作品をピックアップし、全店的なプッシュへと繋げる企画〈タワレコメン〉。これまで、相対性理論、神聖かまってちゃん、クリープハイプ、cero、KANA-BOON、洋楽ではストライプスやチャーチズといった現行シーンの最前線で活躍するアクトをいち早く発掘しており、現在は月1回のペースでオススメ・アイテムを紹介しています。Mikikiでは、そんなタワレコメンの選定会議に潜入し、作品の魅力を視聴コンテンツと共にお伝えする特集を連載中! 今回は2014年12月度の洋楽編です!!
追記:つい先ほど、2015年1月度のタワレコメンが解禁に! こちらもチェックをどうぞ。
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タワーレコードの本社にて行われるタワレコメンの会議。今回も音楽通のスタッフたちが〈これぞ!〉というオススメ作品を持ち寄り、タワレコメンの狭き門を通過するための熱いプレゼンを繰り広げました。何百タイトルという新譜のなかから候補作に挙がったのは……!?
午前中に行われた洋楽編のミーティング、その一発目にぴったりな爽やかさで会議室を包んだのは、デンマークの5人組であるノヴェンバーディセンバーのデビュー・アルバム『From The Swing, Into The Deep』。ノスタルジックなフォーク・サウンド、そしてメンバー全員による厚みのあるハーモニーが最高に心地良い! 担当者の「グループ名通り、今年の冬はコレで決まり!」という力強い言葉に納得です。
続いて、早耳の音楽好きの間では話題だったオーストラリアのDJ2人によるデュオ、フライト・ファシリティーズが放つ、キャリア約5年にして待望のデビュー作『Down To Earth』が登場。シングル曲“Clair De Lune”などはライやインクあたりを思わせるインディーR&B流儀ながら、曲によってはダフト・パンク~ディスクロージャー~ブラッド・オレンジなどの名前が浮かぶ、昨今のシーンの旨味をギュッと凝縮したようなオイシイ仕上がり。カイリー・ミノーグもゲスト参加した注目盤です。
次は、LAを拠点に活動するプロデューサー/シンガーのミステリー・スカルズの初アルバム『Forever』。すでに担当スタッフの店舗ではスマッシュ・ヒットを記録していたとのことで、「とにかく、先行カットの“Magic”が超キャッチ―」という熱弁どおり、ナイル・ロジャースとブランディが参加したディスコ・チューンのキラーっぷりはハンパじゃない! カルヴィン・ハリスやスティーヴ・アオキなど、イケイケのダンス・アクトが好きな人にも絶対オススメ。
ここで会場の雰囲気をちょっぴりアダルトなムードに塗り変えたのは、ノルウェー出身のオーレ・ブールードのニュー・アルバム『Steppin Up』。2009年作のアルバム『Shakin The Ground』のヒットで多くのAORファンを唸らせた天才の新作は、フリーソウルとしても聴けそうな爽やか&洒脱なサウンドに磨きがかかった逸品。担当者が「〈オトナのタワレコメン〉として打ち出したい!」と語っていたのも印象的でした。
そんな大人っぽい空気感も引き続きつつ、暴れまくりのギターで一気に審査員の耳を惹きつけたのは、クエストラヴも賞賛する早熟なシンガー・ソングライター/マルチ・プレイヤー、ハーツのデビュー・アルバム『Daydreamer』。一聴して分かるプリンス・フォロワー具合に思わずニヤリとしちゃいますが、殿下自らがスタジオに招いてセッションを行ったという逸話からもうかがえるように、その実力は折り紙つき。モダンなブギーとしてもイケてるナイスな一枚。
次にプレゼンされたのは、ブルックリン発の人気レーベル〈フールズ・ゴールド〉より、気鋭のクリエイター・デュオ、パーティー・サプライズの初アルバム『Tough Love』。トライブ・コールド・クエストねたのダニー・ブラウン“Grown Up”のプロデュースをはじめ、カニエ・ウェストやアーケイド・ファイアのリミックス仕事でも鳴らしてきた彼ら。本作では、シンセ・ポップやインディー・ダンスも採り込んだ高品位なポップ・ミュージックをズラリと取り揃えています。
ここで、トンデモない飛び道具(?)が登場! 強烈なインパクトのためか〈スクリレックスをバンド編成にしたようなEDMコア・バンド〉とのインフォメーションもすぐには頭に入ってこなかったポルトガルの忍者集団、ニンジャ・コレのアルバム『Beautiful Disaster』。覆面(?)を被ったキャラ立ち抜群のヴィジュアルはもとより、ロックとダンスの一番イケイケな部分を掛け合わせた激キャッチーなサウンドは、MAN WITH A MISSIONあたりのファンにもオススメしたい!
続いては、NMEも注目するUKはバーミンガムの新鋭で、アルト・ジェイらを擁するインフェクシャスの4人組バンド、スーパーフードのデビュー・アルバム『Don't Say That』。初期のブラーやスーパーグラスあたりを思わせるブリットポップ感に新世代ならではのフレッシュなセンスを加えた楽曲は、UKロック好きならずとも要チェック。「懐かしい匂いがしつつ、単純にソング・ライティングが素晴らしい!」とは担当者の言葉。
いかにも北欧らしい澄んだ空気感で終盤に差し掛かった会議室をほっこりさせてくれたのは、デンマークの王立音楽大学在学中に出会ったメンバー5人によるバンド、ロウリーの日本限定EP『Coal』。浮遊感溢れるシューゲイザー・ポップを鳴らした先行シングル“Daydreamers”や、そこに躍動感溢れるエレクトロニクスが加わった“Stones In The Water”といった佳曲が詰まっています。なおこの作品、タワーレコ―ドおよびFLAKE RECORDSのみの限定アイテムです。
長きに渡った試聴会のラストを飾ったのは、プロデュース業もこなすギタリストのヒルマン・モンドグリーンを中心に結成されたバンド形式の音楽集団、エフェメラルズのアルバム『Nothin Is Easy』。NY生まれパリ育ちのヴォーカリスト、ウルフのコクのあるテナーがまず最高で、耳の肥えたスタッフ陣からも「カッコいい」という声が続出。ビル・ウィザーズやテリー・キャリアーといった偉人たちのフォーキーさを継承しながら、モダンにブラッシュアップしたヴィンテージ・ソウルに仕上げる手腕は流石。「ライヴがかなり良いらしいので、ぜひ来日してほしい」との声も。
ということで、先月に続き計10アイテムが並び、それぞれのスタッフがオススメ盤の良さをプレゼンしあった今回のタワレコメン。ここから多数決にて該当作品を絞り込むわけですが、今回は候補作の多さのわりにはすでに心に決めたような表情のスタッフも多いような……そんな熱戦を制して選ばれたのは!?