猫の9ちゃんが可愛いと評判の鎖カフェも開店を迎え、一方のスタジオもフル回転して11月も2枚のEPが完成を見た。両作から共通して伝わるのは……生活や生命、生き様などの意味を引っ括めての〈Life〉ということになるだろうか。 

PONY PONY EP BLACK SWAN(2014)

 まず、BLACK SWANからはごく簡素に題されたPONYの『PONY EP』が到着。契約会見の際に表明された〈しょうがねえ〉某レーベルへのディスを記憶している人も多いだろうが、その不正を申し立てる冒頭曲“NAMENNNA”の中身は実際に聴いてもらうとして(歌詞カードが……!)、そうした興味で終わらせちゃいけない彼の語り口の魅力は、照明を落として日々を顧みる“I My Me Mine”から顕著に立ち現れてくる。紅桜の援護も強力な“王見実”も、Licanaの前向きなフックを得てラヴソングの形式を借りた好曲“片道切符”も、主題の裏に潜むのは自分で選んだ夢と、その代償、厳しい現実との兼ね合いだ。そんな〈ラップでメシを食うこと〉には、DOGMAを交えた軽やかな終曲“SUKIKATTE”でも言及。なお、ここでビートとフックを担うLibroは12月に主役として登板することになる。

 

HI-BULLET THIS IS HI-BULLET 鎖GROUP(2014)

 一方、鎖GROUPからはキャリア20年を数えるHI-BULLETの『THIS IS HI-BULLET』が登場。CORN HEADからのモード変化を語る“Str8 outta RAGGA”(またまたNWAである)からヒップホップMCとして威勢良く駆け出すも、その語り口にある濃厚な彼らしさは名義を選ぶものではない。漢とD.Oを迎えて煙に巻く“Riddim Rider”の後に同じトリオによる“Baby”で優しく目を細める構成も何かいい感じだ。結びのパワフルな“Life is”は、HI-BULLETがフックを歌った漢の“oh my way”と同オケの逸曲。早速のリメイクにも納得の好相性で、これはグッとくる!  【次号へ続く】

【参考動画】鎖GROUPの動画シリーズ「9SARI HEAD LINE」#20

 

 

 

 

PONY

山梨生まれのフリースタイラー。stillichimiya周辺で頭角を表しつつMCバトルで名を広め、桃源郷から発表した初作『Verseday』(2010年)が高い評価を得る。〈B-BOY PARK 2011 冬の陣〉優勝後、いろいろあって松生プロダクションを設立し、2作目『ポニーピー'』(2013年)を投下。このたびBLACK SWANから11月26日に『PONY EP』(BLACK SWAN)をリリース。

 

 

HI-BULLET a.k.a. CORN HEAD

横浜出身、90年代からレゲエDJとして名を馳せるCORN HEADの、ヒップホップ側の人格。CORN HEAD名義では昨年の『MOVE×3』に至るまでコンスタントに作品を重ねつつ、OZROSAURUSAIDS455山嵐JAMOSAGIPPERPIT GObら幅広い面々の楽曲でマイクを握ってきた。このたび鎖GROUPから11月26日に『THIS IS HI-BULLET』(鎖GROUP)をリリース。