来日も記憶に新しいメッシュから届けられた待望の初アルバム。EPではギリギリ保たれていたダンス・ミュージックとしての正気をあっさりと放り投げ、〈質量〉や〈定位〉を逸脱したビートは、映画「インセプション」よろしく水平/垂直のレイヤリングがもう変態すぎるコラージュ音狂作品へと着地。グライミーな空洞キックがハットの役割として不穏なリディムを刻んだり、分裂気味にこれでもかと破綻させた金属ビートを風景化するコンテンポラリー・アート感は聴き手の三半規管を新感覚に刺激……ベーシーでミュータントな電子音楽が急速にプロパー化してきた速すぎるそのスピード感に変な恐怖を憶えつつ、タイトルを見て腑に落ちるというか、平熱でしてやったりな氏の顔が浮かぶ謎盤でございます。