〈はっぴいえんどxトロピカリズモ〉と称された初作『ツチヤニボンド』、クラウトロックからワールド・ミュージックまで雑多に吸い込み、コアな音楽ファンより絶大な支持を集めたセカンド・アルバム『2』で知られるツチヤニボンドが、10月14日に待望の3作目『3』をリリース。収録曲の“ヘッドフォン・ディスコ”が公開中だ。
ツチヤニボンドは、東京・八王子出身で、現在は日本仏教の聖地としても有名な高野山に居を構える(!)土屋貴雅によって結成。世間の流行とは一見かけ離れた、しかし絶妙にジャストな嗅覚に基づくラディカルなミクスチャー・センスで作品発表ごとに賞賛を集めながら、山奥に住んでいるのもあってライヴ活動が限定されており、ゆえに〈永遠の秘密兵器〉と呼ぶしかない孤高のポジションを確立しつつある。
待望の新作『3』(インパクトのあるジャケは、写真家の日下部金兵衛によるもの)では、交流の深い森は生きているの増村和彦(パーカッション)を迎えたほか、エンジニアには中村公輔を起用。この人選からも窺えるとおり、これまでも音響派に通じるマジカルなサウンドを生み出してきた彼らが、新作ではレコーディング/リズム面でさらなる意識革命を実践し、ミュータントでトライバルな上掲の“ヘッドフォン・ディスコ”を聴けばおわかりのとおり、ドラムの音だけでご飯三杯いけるジューシィーな音像を獲得している。そして、アルバム全編においては土屋のヴォーカルはさらに艶っぽさを増し、先行発表されていた“20世紀青少年”や“Juke Box Boogie”も収録して、摩訶不思議でアクロバティックなポップスがてんこ盛りの一枚となった。
本作リリースを控えた10月4日(日)には、ミナス新世代のインディー・シーンを支えるシンガー・ソングライターのレオナルド・マルケスと、ご存じキセルの3組が登場するイヴェント〈トーキョー×ミナス〉も開催される。以前より中南米サイケと共振を見せてきたツチヤニボンド、今年は4年ぶりのアルバム『明るい幻』も発表し、〈街角クラブ〉一派にも通じる牧歌的な歌心で多くのファンに愛されるキセルの日本人勢に加えて、古くはミルトン・ナシメントからエリオット・スミス/ジョン・ブライオンを挟んで、マック・デマルコまで捉えた現代的感性をもつレオナルド・マルケスも初来日とあって、国境/ジャンルを超えた共演は大きな話題を集めそうだ。会場では『3』の先行発売もされるとのこと。必見!
〈トーキョー×ミナス〉
日時/会場:10月4日(日) 東京・青山 月見ル君想フ
開場/開演:18:30/19:00
チケット代:前売3,800 円/当日4,300円(1ドリンク別)
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