人気フード・イヴェント〈肉フェス〉とロック・フェスが融合した異色の新イヴェントとして、さいたまスーパーアリーナにて開催された〈さいたまスーパーアリーナ15周年presents 肉ロックフェス〉。厳選された絶品の肉料理とビールを楽しみつつ、音楽ライヴを堪能できる〈肉ロックフェス〉にMikikiが初潜入しました! ここでは、2日間に渡って行われたイヴェントのうち、最終日にあたる9月13日の公演をレポート。今回は記者が実食したお肉(&ビアー)の写真も織り交ぜつつ、音楽サイトらしくライヴレポを中心にお届けします!

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★連載第2回:フェスを主催するAATJ株式会社の代表取締役・杉崎健二氏インタヴューはこちら

 


 

 

昨年、純粋なフード・イヴェントである〈肉フェス〉がスタートした時点で、Mikiki編集部では〈お肉とフェスを融合させるなんて発明じゃない?〉と話題となっていました。そして今年、本当に〈肉フェス〉から本格的なロック・フェスが生まれてしまった! しかも、出演者のラインナップをウォッチしていると、どうやら普通のロック・フェスとは人選が一味も二味も違う。たとえば、初日のトリを飾ったのはあのJUN SKY WALKER(S)で、その手前には今年6月で結成30周年というジュンスカとほぼ同等のキャリアを持つPERSONZがドカーンと鎮座。そこで〈年配のロック・ファン向けのイヴェントかな?〉と思いきや、電気グルーヴACIDMANといったほかのフェスならヘッドライナー級の大物がいる一方、NICO Touches the WallsOKAMOTO'SBAROQUESPYAIRSilent Sirenという、いまバリバリ最前線で活躍しているライヴ・アクトから新鋭バンドまでブッキングされていたのです。しかもオープニング・アクトは、バンドマンにもファンが多いと噂のアイドル・グループ、PASSPO☆ですよ! 〈これはぜひ取材ぜねば!〉との想いに駆られたMikiki編集部員は、勢い勇んでさいたまスーパーアリーナへと向かったのでした。

 

 

 

さいたま新都心駅を降りてたまアリに向かうと、手前のけやきひろばではすでに〈肉フェス〉が開幕中。会場内に漂うジューシーなお肉の匂いに早速後ろ髪を引かれつつ、しっかりと仕事をこなすためにアリーナ内へ。広いメインステージの後ろに据えられた大型スクリーンに流れる〈肉ロックフェス〉の映像……に使われている音楽が、たまアリを主戦場としていた格闘技イヴェント〈PRIDE〉のテーマ、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの“Guerrilla Radio”じゃないですか! 一気にテンションがアガる格闘技好きの記者の気持ちをさらにヒートアップさせるように、オープニング・アクトのprediaが登場。PASSPO☆の姉妹ユニットにあたるオトナなアイドル・グループだけあって、お肉……ではなくワインのような深みのある色合いの赤いドレスが素敵です。10人というメンバーの数を活かした立体的なダンスのフォーメーション、抜群の歌唱力も相まって本当にあっという間の全3曲。これはもっと観たいなぁ。

 

 

 

本編のトップバッターを務めたのは、先月にメジャー・デビューを果たしたばかりの八王子のバンド、フラチナリズム。お祭りムードにバッチリなはっぴ姿で現れるや、記者は思わずウルフルズ“ガッツだぜ!!”を感じてしまったファンキーかつディスコティックな“あっぱれジャパニーズ”でスタート。お祭り→宴会芸→モノマネということで披露されたモリナオフミ(ヴォーカル)の持ち芸(?)である〈さくら20人奏〉が圧巻で、文字通り森山直太朗“さくら”をえなりかずきから井上陽水まで20人のモノマネを駆使しながら歌うという究極の宴会芸に会場が沸きに沸く(笑)。とはいえ、個人的には怒髪天のような筋金入りのエンターテナー・バンドにも通じる旺盛なサーヴィス精神をビンビンに感じました。

 

 

 

次は、「近江牛の滋賀からやって来ました!」という挨拶も初々しい片桐航KAZによるロック・バンド、Lenny code fiction。イマどきなイケメンのルックスから切れ味鋭いギター・ロックを想像していたものの、実際に飛び出したのはメタリックな音色のギター、ゴリゴリのベース、抜けのいいスネアの音作りやツイン・ペダルでのバスドラム連打など、筆者のようなメタル好きの耳を喜ばせるハードなサウンドのコンビネーション。とはいえ誤解のないように説明すると、Lenny code fictionの音楽性はメタルとは違って、瑞々しい感性で王道のロックを突き進まんとするクールでキャッチーな楽曲ばかり。「〈俺たちのロック〉を抱えてこのステージに立ちました!」とのMCからも意気込みは十分伝わりましたよ~!

 

 

 

3組目に登場したのは、歌手で俳優の田中聖が結成したラウドかつエモーショナルなサウンドを武器とするモダン・ロック・バンド、INKT。1曲目の“Wanderlust”からエレクトロニコア感全開の爆音がロック好きのツボを刺激します。続くニューメタル調のへヴィーなギターリフに思わずヘッドバンギングしてしまった“FTW”からもテンションMAXの状態が持続するなか、はっと気付いたことが。激しいスクリームからラップまで堂に入ったパフォーマンスで魅せる田中さんのカリスマ性、ハンパないです! ちょいコワモテ(だけどイケメン)なルックスに反比例して、MCでは謙虚な素の表情が垣間見えたのも素敵でした。こりゃライヴ観たらファンになるわぁ。

 

 

 

次のBugLugには、初見ということもあってトリックスター的なイメージを抱いていたのですが、オープニング・トラック(?)の“B.J”のイントロでフィーチャーされるベースの高速チョッパーを観て確信。これは、ガチの実力派バンドだと。「ヴィジュアル系は食わず嫌いされることも多いんだけど、今日はライヴを観て楽しんでいってください!」とのお言葉に甘え、王道のヴィジュアル系的なメロディーが炸裂するナンバーから、メタルコアばりの重爆リフでフロアを震わす楽曲、レゲエチックな展開まで織り込んだスタジアム・ロックのようなスケール感のビッグ・チューンまで、カラフルな音楽をお腹いっぱい味わいました!

 

 

……とこの辺りで、本当のお腹がだいぶ空いてきたこともあって、いよいよ楽しみにしていたお肉タイムへ! けやきひろばは先程よりも多くの人で溢れ返っていて、いい感じの賑わいがお祭りっぽくて楽しい。どのお店にしようかな~と迷い始めた瞬間、近くの〈MEAT&MEETステージ〉から「魔法少女!」みたいな声が聴こえてきて気になりまくる(笑)。どうやら、自分たちのアニメ化を目標に活動しているアイドル・グループ、Magical Ban☆Bangのみなさんだった模様。声優のような可愛い歌声と元気いっぱいのステージングに、ほっこり癒された記者でした。

 

 

いやいや待て待て! まだお肉食べてない!ってことで、ここから急いでフードを物色。まずは最初から目を付けていた、AKB48内田眞由美さんが経営する焼肉屋〈IWA〉の霜降り黒毛和牛カルビ。サンチュともやしナムルも一緒、ピリ辛の特製ミソも絶品で、これはビールとの相性がもっとも抜群でした!

 

 

そんでもって〈昨秋&今春の肉フェス・チャンプ〉という宣伝文句に釣られ、門崎熟成肉・格之新の門崎熟成肉塊にトライ。〈これがチャンプの味か……〉と絶句してしまうほど、絶妙な焼き加減から生まれる熟成肉の旨味と甘味のダブルパンチにKOされました。これを毎日食べられたら幸せだろうなぁ。

 

 

 

そろそろライヴ会場に戻らねばということで、ラストは肉の匠・将泰庵の黒毛和牛肉寿司に決定。おろしポン酢が乗った色艶も見事な和牛のお寿司は、マジで口のなかでトロける優しい甘さで心まで満たされる逸品。こんなにおいしいお肉料理ばかり食べてバチが当たらないか心配です。忘れちゃならないビールは、全体的に甘めだったお肉との相性を考えていわて蔵ビールのオイスタースタウト(三陸広田湾産の牡蠣を使用した黒ビール!)をチョイス。ええ、最高でしたとも。

 

 

 

とはいえ仕事中の記者、実際のところは慌ててこれらをかきこんでアリーナに向かったのですが、ここでショック! 楽しみにしてたSuGを観逃した! あ~なんて馬鹿なんだ……。実は筆者はこれまで何度もSuGのライヴを拝見しており、毎回趣向を凝らした目くるめくSuGワールドに〈次は何を観せてくれるんだろう〉といつもワクワクさせられっぱなしだったのです。今回の〈肉ロックフェス〉では、こんなもったいないミスを防ぐためにも、お店を選ぶ際に優先レーンから並べるスペシャルチケットが用意されていました。次こそはこんな失敗しないぞ! (※ということでSuGさんのライヴ写真を貼っておきます)

 

 

 

アリーナ内に戻ると、the telephonesから石毛輝さんとnobuさんの2人がDJ中。YMO“RYDEEN”のテイ・トウワによるフロアキラーなリミックスや、みんな大好きファン.“We Are Young”のハウシーなリミックス、EDMと言えばなゼッドのアンセム“I Want You To Know”など、もうとにかくはちゃめちゃに楽しいダンスフロア仕様の選曲で攻める。2人ともプレイ中にDJブースの前に出て来て自由に踊りまくり、ラストにはthe telephones“Love&DISCO”を石毛さんがハンドマイクで歌うという反則技(?)も飛び出す展開で、〈歌って踊る〉やりたい放題なDJが最高でした!

ここで補足すると、この日はステージの転換中に地元・埼玉のFM NACK5からバカボン鬼塚&山口五和のお2人が登場し、MCを担当。〈肉フェス〉会場からの中継を挟んだり、〈肉フェス〉公認キャラクターのくーちゃん、さいたまスーパーアリーナの公式キャラクターであるたまーりん、そしてなんと大ヒット上映中の映画「テッド2」よりテッドという奇跡の3者共演が実現したりと、さまざまな演出と軽妙なトークで楽しませてくれました。

 

 

 

 

さて本編は、ここからラストに向けてヴェテラン勢が続く怒涛の3連チャンへ。まずは、泣く子も黙るSTARDUST REVUE! ヴォーカル/ギターの根本要さんが自己紹介を交えた前口上で超ロングブレスの歌声を披露した瞬間、恥ずかしながらこんな感想を抱いてしまいました〈こんな歌の上手い人、見たことない……〉。スタレビ初体験の筆者でしたが、フェスの場というシチュエーションもあり、お客さんのなかにも同様の人が多かったはず。それを見越したようなセットリストが超強力で、“木蓮の涙”から始まる代表曲のオンパレード! “夢伝説”“今夜だけきっと”など、自然と多くの人が口ずさんでしまう名曲のパワーに完全KOされました。たまアリでの最長演奏時間の記録(6時間強!)を持つスタレビが表彰される一幕を挟みつつ、現在の彼らのモードが詰まった“おぼろづき”も演奏して現役バリバリなバンドのパワーを見せつける圧巻のパフォーマンスでした!

 

 

 

 

続いて、昨年の活動再開以来〈音返し(おんがえし)〉という形で継続的な活動を展開中のLINDBERGが登場。ライヴは軽いノリのセッションからスタートして、何気ないフレーズの端々から一流ミュージシャンであるメンバーのバカテクぶりが垣間見えるなか、ぴょんぴょんと跳ねるようにステージに現れた渡瀬マキさんの太陽のような存在感が眩しい! 「まさか音楽とお肉が融合する日が来るとはなぁ」と、聞き覚えのあるマキさんの志摩弁のイントネーションもキュートでした。本編は、“もっと愛しあいましょ”でのたまーりん×くーちゃん×テッドのスペシャル・コラボというサプライズもありながら、“恋をしようよ Yeah! Yeah!”“今すぐKiss Me”“BELIEVE IN LOVE”といった名曲の波状攻撃では会場から大合唱が巻き起こる盛況っぷり。誰もが知っているヒット曲を揃える、キャリアを重ねたバンドならではの強みを痛感しました!

 

 

 

 

長きに渡った〈肉ロックフェス〉もいよいよラスト。客電が落ちるともの凄い歓声で、みなさんがいかにこの瞬間を待ち望んでいたのかが伝わってきました。そう、この日のステージで一夜限りの再結成を果たす埼玉が生んだロック・レジェンド、RED WARRIORSの登場です。正直に告白すると、もちろんバンドの存在こそ知ってはいたものの、リアルタイムで体験したわけではないRED WARRIORSのステージを心から楽しめるものか、少し不安があったんです。でもシャケさん(木暮武彦)がギターを掻き鳴らした瞬間、あまりに鋭く煌びやかな音色にそんな不安は跡形もなくブッ飛びました。そして満を持して現れたダイアモンド✡ユカイさんの華やかさやカリスマ性といったら……これぞ正真正銘のロック・スター! ロックンロールの〈ロール〉の部分を強く感じさせる1曲目の“CASINO DRIVE”からアクセル全開で、ブギーやホンキートンクからの流れを汲みながら、若手バンドも真っ青な〈いま〉のロックを鳴らすショーには、世代を問わずロック好きを熱狂させる魅力がたっぷり。本編の最後を飾った代表曲“バラとワイン”、アンコールで披露された“ROYAL STRAIGHT FLUSH R&R”の流れで盛り上がりはピークを迎え、ユカイさんの「またどこかで会おうぜ!」との言葉でイヴェントは大団円を迎えました。

第1回ということもあり、手さぐりで体験してみた〈肉ロックフェス〉でしたが、蓋を開けてみれば厳選されたお肉やビールを目いっぱい頬張りながら、刺激的な音楽を快適な環境でじっくり楽しむことができる、本当に至れり尽くせりなイヴェントでした。……とここで、〈なんだ、そんなに言うなら行ってみたかったな〉という人に朗報! なんとこの〈肉ロックフェス〉、2016年も開催が決定しました! 日程などの詳細はこれから発表されていく予定なので、今回味をしめた方も、行けなくて悔しい想いをした方も、フェスの公式サイトをチェックしてぜひ来年の参加に備えましょう!