インタビュー

カナダ発ソウル・バンドのスパンデッツ、初の来日公演を終えての日本への思いや最新作『Sequin Sunrise』の制作裏話を語る

カナダ発ソウル・バンドのスパンデッツ、初の来日公演を終えての日本への思いや最新作『Sequin Sunrise』の制作裏話を語る

今年9月に最新作『Sequin Sunrise』を引っ提げた初の来日公演をBillboard Live TOKYOで開催したカナダ・トロント出身のソウル・バンド、スパンデッツ。3人の女性ヴォーカルを中心とした彼らは、2013年の初作『Spandex Effect』がディスコ/ブギー、AORといったトレンドの波にばっちりハマり、同作からカットされた7インチ・シングル『Sweet & Saccharine』『Dig Deeper/Hunk Of Heaven』が即完売するなど注目を集めた。そして今夏にリリースされた2作目『Sequin Sunrise』は、前作に引き続き風通しの良いガール・ポップ路線はそのままに、緩やかに多様となったサウンドがアルバム通しての聴き応えに寄与している。

そしてまさに待望の来日となった9月のBillboard公演は、ホーン・セクションを擁するフル・バンドではなく、フロント3人をはじめとした選抜メンバーに加え、サポート・ギタリストを迎えた編成。しかしそんなイレギュラーを感じさせない秀逸なアレンジと演奏、音源で聴く以上に迫力のある3人のヴォーカル&ハーモニーには、グッと胸に迫る瞬間がたくさんあった。今回Mikikiでは、ライヴを終えたフロントの3人娘(アレックス・テイトマギー・ホプキンスリジー・クラーク)にインタヴューを敢行。ステージの話はもちろん、最新作のことや日本に対する思いなどを訊いた。

※ライヴ写真はすべて2015年9月2日のBillboard Live TOKYO公演より

THE SPANDETTES Sequin Sunrise The Spandettes/Pヴァイン(2015)

※試聴はこちら 


――Billboard Live TOKYOでのライヴを拝見して、本当に感動しました。前作『Spandex Effect』がリリースされてからずっとパフォーマンスが観られるのを楽しみにしていたので。

アレックス・テイト「それは嬉しいわ、私たちも(楽しみにしていたの)よ」

――Twitterでも皆さんが日本に来ることをすごく楽しみにしていることが伝わってきましたが、実際に日本に来てみて、日本のファンの前でライヴをしてみていかがでしたか?

アレックス「素晴らしかったわ。みんな優しいし、2回目の公演の後にサイン会をしたんだけど、その時は50人ぐらい集まってくれて、みんな喜んでくれていたんだけど、そのなかで〈私はTwitterでこういうツイートしたのよ〉なんて言ってくれて。私たちもみんなとTwitter上でやりとりしていたから〈ああ、覚えてるわ!〉なんて言ったりして。とても嬉しかった」

――たぶん皆さんのホームタウンのカナダでやるステージとは違う雰囲気だったかもしれませんが、その違いに驚きませんでしたか?

リジー・クラーク「カナダではいつも、大きなライヴハウスでショウをしていて、みんなステージの前まで来て踊っていたりして」

アレックス「テーブルもないの」

リジー「そう、テーブルもないフロアでみんな踊ってる。いつもとはかなり異なった経験だったけど、みんなの表情を見て楽しんでいることを感じ取ることができて、より親密な感じがしたから良かったわ」

アレックス「そして、みんなすごく熱心に聴いてくれていた。例えばピアノを使ったアコースティックな曲の時も、みんな静かに聴いてくれていたし。これがトロントだったら演奏中でもみんな呑んだり喋ったり騒いでいて、もっとパーティーな感じだから演奏にはそこまでフォーカスしていないのよ。だからミュージシャンとしてはそんなにうっとりと聴いてくれるなんて素晴らしく光栄だわ」

アレックス・テイト
 

――今回はホーン隊がいなかったというのが個人的には残念だったんですけど、そのぶん3人の歌の力をよりダイレクトに感じることができて、CDで聴く以上に感動が大きかったです。もう最初のほうは本当にグッときてしまって、涙が出そうになりました。

3人「Oh~それは嬉しいわ」

アレックス「今回ホーン隊を帯同できなかったのは、これが私たちの初めての来日で予算が少なかったからなの。フライト代が高いから、7人で来るだけで精いっぱいだった。だから今回の公演が上手くいけば次回は大阪でもライヴを入れて、ホーン隊も連れてきたいねって話をしていて。そういうこともあって、アレンジもいろいろ考え直さなきゃいけなかった。ホーンがなくても聴こえ映えがするように。例えば場所によっては自分たちでホーンの部分をヴォーカルでやったり、あるいはシンセやキーボードに頼ったり、あるいはギターで弾いたり、そうやって特徴的な部分は活かすようにしたわ」

リジー「ディレクター兼ピアノ奏者のトーマス(・フランシス)がすごくよくがんばってくれたの。ギターあるいは彼自身の演奏、そのほか何かしらのアレンジで、ホーン・ラインが必ずどこかしらで演奏されるように考えてくれた。より小さな編成でも上手くできるようにね」

――本当にそうですね。そういったアレンジも聴きどころのひとつで、今回ならではだったと思います。またセットリストは最新作『Sequin Sunrise』からの楽曲がメインになっていましたが、今回はどういうことをテーマにセットリストを組んでいったのでしょうか?

リジー「新しいアルバムからプレイしたかったのは確かね」

アレックス「そう、新しいアルバムからは全部やったわ。『Spandex Effect』から曲を選ぶのが難しかった。あとカヴァーも数曲はやりたかったの、日本のファンはカヴァーを喜んでくれるから。良い持ち曲がたくさんあって、レパートリーも実際に演奏した曲数の3倍くらいあるから、どの曲をプレイするかはすごく時間をかけて話し合ったわ。いずれにしても、ニュー・アルバムの曲を全部やることは決めていたの」

――レパートリーというのはカヴァー曲のこと?

アレックス「カヴァーとオリジナルを合わせた数ね。『Spandex Effect』からはほんの数曲しかやってないのよ。あと、“Precious”に関しては絶対演奏したかった。タワーレコードのためのボーナス曲だし、タワレコに感謝を伝えたかったの。カヴァーに関しては、たぶん15~20曲ぐらい持っていると思うわ。そのなかでも3曲しかやってないと思うけど」

※タワレコの一部店舗で『Sequin Sunrise』の購入者限定の特典として“Precious”を収録したCDRが配布された

――ライヴの1曲目にやっていたレムリア(ハワイアンAORバンド)“Hunk Of Heaven”のカヴァーも素敵でした!

3人「Thank you~」

スパンデッツの2013年作『Spandex Effect』収録曲“Hunk Of Heaven”

 

――今回のライヴの最大のポイントは、もちろん全曲素晴らしかったのですが、最初の数曲――“Hunk Of Heaven”や“Over Me”“Little Late”といった比較的賑やかな曲を中心に畳みかけた後に“If You Wanna Stand By Me”のような、『Sequin Sunrise』でとても印象的なバラードでがっつり聴かせるという流れに、いまのスパンデッツの懐の深さを見せつけられたような気がして、とても心を掴まれました。

アレックス「ありがとう!」

リジー「仲間に3人もいるとそういうことになるのよね(笑)。みんなスタイルは似ているけど、違うものを持ち寄っているから。だからかなりたくさんのアイデアが出てきちゃう」

マギー・ホプキンス「ゆっくりとしたバラードからアップテンポな曲までやることができて楽しかったわ」

アレックス「音楽のスタイルだけじゃなく、このアルバムは歌詞もより深みがあるわ。より成熟した感じ。歳を重ねているし、いまじゃパーティーのノリだけじゃないし、私たちのうち2人はいまや母親になってるし、みんな恋愛とか(人生においての)重要な局面を経ている。バンドを始めて曲を書くようになった頃はまだみんな学生で、ただ楽しければいいといった感じではあったけど、いまでは例えば“Mister Mister”のようなファンなパーティー曲でも歌詞は至って真面目なの」

リジー・クラーク
 

――最新作でリリックにグッと深みを持たせるようになったというのは、『Sequin Sunrise』のリリース時のインタヴューでもおっしゃっていましたよね。一方サウンドのほうは、ディスコやソウル・ポップといったスパンデッツの軸というべき部分はより強化されていて、さらに幅も広がったなと感じました。アレンジもすごく丁寧になされているのが伝わりますし、私は前作以上にこのアルバムが好きです。この作品を作るうえでテーマにしたことはどういうことだったんですか?

マギー「曲を書くにあたっては、それぞれにスパンデッツが奏でるサウンドのアイデアを持っていて、それをバンドに持ち寄ってサウンドとしてまとめていったんだけど、ハーモニーについては互いに協力し合って、フルのバンドとしての音にするように作業をしていったわ」

アレックス「私たちは3人ともソングライターで、それぞれが異なる見方で書いているわけだけど、書くときはまずバンドのことを考える。ただ曲を書くのではなく、スパンデッツの曲を書く、という気持ちで」

マギー「そうそう、私の曲を書こう、というのではなく、バンドの曲を書こうって。自分用の楽曲だったらまた違うものになるし」

アレックス「私もそう。私が自分のソロ曲を書くんだったら絶対ジャズやチルな音にする。でもスパンデッツの曲ならもっと楽しくしようと考えるわ。あとは私たちのプロデューサーのジャスティン・アベディンのおかげもあるわ。彼はまず全部の曲を聴いてくれて、ソウルやモータウン調、レゲエ、ファンク、ディスコって音がすごく広がっていたんだけど(笑)、彼のプロダクションで見事にまとめ上げてくれた」

マギー「たぶん最低でも20曲ぐらいはあって、それを10曲程度に絞らないといけなかったのが大変だったわね。難しいことだったけど、いまは結果に満足しているわ」

アレックス「あと、今回は前作よりもお金がかけられたのが良かったわね。また予算の話だけど(笑)」

リジー「アハハハハハ(豪快笑)」

アレックス「前のアルバムはほぼライヴ・レコーディングのような状況だったから。編集もミキシングもちょっとだけで」

スパンデッツの2013年作『Spandex Effect』収録曲“Automatic”

 

リジー「ライヴのステージ上でやったものね」

アレックス「そう。でも今回は素敵なスタジオで5日間かけてレコーディングしたの。プロデューサーもいたしね。前のアルバムはセルフ・プロデュースで、自分たちの学校でレコーディングしたのよ。まだ学生だった頃」

リジー「サウンド・テクニシャンのアレックスが機材を使わせてくれたの」

アレックス「そう。とにかく前まではセルフ・プロデュースだったし、そういう点ではもっとナイーヴだった。でも、自分たちにとっては最高のスタートだったわ。あれを作ることですごくたくさんを学んだからね。でも今回は予算もあったし、Pヴァイン(日本のリリース元)からの前払い金もあったしね(笑)。Kickstarter(クラウドファンディング)もあったから、アルバムには30,000ドル(300万円強)かかっているの。だいぶ違うでしょ。ネリー・ファータドの作品のミキシングを手掛けているエンジニアも付いてくれたし、ちゃんとわかっている人たちがサポートしてくれた。いまいちよくわかっていない自分たちで一生懸命やるのとは違ってね(笑)。このアルバムではかなり甘やかされたわ」

――なるほど。すごく音の感触がリッチになっているような気がしたのは、そういう背景があったんですね。やっぱりバジェットは大事ですよね。

3人「そうよ」

リジー「アッハハハ(豪快笑)」

――アレックスさんは『Sequin Sunrise』の前にソロ・アルバム(『Thirty』)をリリースされていたり、皆さんそれぞれにさまざまな活動をされていますが、その個々の活動で培われたものがスパンデッツに活かされていますか?

アレックス「ええそうね、間違いなく」

アレックス・テイトの2015年作『Thirty』収録曲“It's Alright”

 

リジー「ほかの人とプレイすることで成長もできる。もちろんこの子たち(アレックス&マギー)と1日中歌っているのもそれだけでハッピーだけど、常にほかのいろんなグループでいろんなスタイルを試したりすることは、ミュージシャンとしてはとても大事だと思う」

アレックス「メンバー各々が異なる音楽的嗜好を持っていて、その異なる部分を個々の別プロジェクトで満たしている感じね。スパンデッツは本当にいろいろなスタイルを探求しているので、とても満足しているわ。例えば私の嗜好はかなりジャズ寄りだけど、スパンデッツはジャズ系をいつもやってるわけじゃない。ジャズの影響はちょっとはあるけど、本格的なジャズをしたいのであれば他でやらないとね。リジーはクラシックなモータウンが好きで、スパンデッツでも少しはそういった要素はあるけど本当に深くやりたいならまた別のところになるわね。またマギーであればポップR&B、ビヨンセっぽいものが好きで、これまたスパンデッツにもそういったムードはあるけど、より深く追求するために自分だけの音源を作っているわね。音楽って時にすごく甘くてハマりやすいものだから、ずっと同じことをしている場合は、他のことをするための自分だけのはけ口を持ったほうがいい。で、それを踏まえたうえで言えるのは、スパンデッツは私たち3人のメイン・フォーカスよ。間違いなくね」

マギー「私にとってスパンデッツでもっとも重要なことは、ハーモニーね。この子たちとハモって歌うことは、本当に最高。Billboardのステージでも、例えば“Precious”を歌った時もすごく感極まっちゃったの。あまりに素敵で涙をこらえなければならないくらい、ゾクゾクするほどの幸せを感じた。一体感に痺れたわ」

アレックス「あと、このバンドのメンバーの多様性の幅広さといったら、なんせすごいの。例えば私のソロ・アルバムにも、スパンデッツ・バンドのトーマスとマック(・ロンプレ、ドラムス)が参加してくれてるんだけど、スパンデッツでのスタイルと全然違うの。同じ人だってわからないくらい、まるで別人。その2人はいつもあちこちのバンドでプレイしていてね……そもそもトロント出身のミュージシャンは何でも演奏できないとやっていけないものなのよ」

マギー・ホプキンス
 

――マギーさんからハーモニーの話が出たので訊いてみたいですけど、アレックスさんはコケティッシュでキュートな歌声で、マギーさんの歌声は女性らしくしなやかななかに凛とした強さがある、リジーさんの歌声は本当にパワフルで3人のハーモニーをゴージャズにまとめる役を果たしていると思います。それぞれが個性的で、その3つの声が合わさった時に素晴らしい化学反応が生まれるというのを、生で聴いたことでいっそう実感したんですが、この3人の歌声のキャラクターをどのように活かそうとしていますか?

リジー「声をブレンド(調和)させるというのは、実は見た目よりも複雑なことなの。確かに3人とも異なる声で歌うものだから、私はトーンダウンして少し音量を下げないと上手く調和できないし、でも自分の書いた曲ならもうちょっとがんばって声を張らないといけない。一方でミドルになる声も必要だけど、それだけじゃなくてトーンを合わせたり音程を合わせるようにしないといけない。(3人で声を合わせるには)どちらかというと発声よりも聴くことのほうが重要ね」

マギー「そうね、確かにみんな異なる声ね。でも声域がみんな似ているから、リードにミドル、ボトム(低音)などラインを交代することもできるし、自分の強みを然るべきところで発揮するようにしている。アレックスやリジーの声をボトムにしてより強いものにしてみたりして、上手く調和を図っているの」

アレックス「たぶんだけど、私たちがいつまでも互いのことが大好きで一緒にやっていきたいって思うのは、お互いのスキルに嫉妬しているからだと思うわ(笑)」

リジー「Yes!」

アレックス「みんなそれぞれに強みがあるのはわかっているし、リード・シンガーが誰って決まっていることもない。3人それぞれに自分の持ち味があるの。それはガールズ・グループには珍しいことよ。リードを取る人が決まっていなくてメンバーが各自の持ち味や強みを持ち寄れるって。よく〈ああ、私にもあんなことができたらいいのに!〉っていう互いの心の声が聞こえる時があるわ(笑)」

リジー「私はアレックスの声が本当に羨ましい。だって彼女はハイからロウまで難なく歌ってのけるんだから。すべての音を綺麗にスムースに歌い上げることができるの。私には無理、(高音を出すために声を)切り替える必要があるから。あとはマギーのメリスマね、ビヨンセみたいな。あれも無理。あれは本当に羨ましい!」

アレックス「でもリジーはすごくパワフルなのよ。私たち2人(アレックス&マギー)なんて、もう……(と2人でリジーを見て圧倒されているようなポーズを取る)」

3人「アーッハッハッハッハ(笑)」

――まさにそのことを訊きたかったのですが、スパンデッツはリード・ヴォーカリストというのがいなくて、3人それぞれが各曲でリードを取っていますよね。どの曲のパートを取っても、そこで歌うべき人が歌っているという感じだなと思うのですが、曲作りをするなかで、この曲はこの人がリードを取るべきだとか、そういうことをイメージしながら作っているのでしょうか?

アレックス「ときどきはね」

リジー「『Spandex Effect』はそういうところがあったかもね。“Sweets And Saccharine”なんかはマギーの声がびったりね、とか。曲を書いたのはアレックスだったけど、それでもマギーがリードを取ることに決めたの。今回はもっと曲を書いた人がリードを取っているわ」

アレックス「でも一方では、例えば“If You Wanna Stand By Me”では、ここはマギーが歌ってね、こっちはリジーね、といった感じで割り振って、誰か一人がリードを取るという曲は少なくしていて、私たちらしい〈音楽を分かち合おう〉という作品になっているわ。曲に味を持たせるためにリード・シンガーをあてがいたいものはたくさんあるし、せめてAメロ、Bメロだけにでもリードを、と思う曲もあるけど、そこを私たちが平等に分かち合っていけるのはラッキーね。みんながそれぞれ同等に表現できるようにしているの。お客さんに対して、例えばデスチャのビヨンセのように一人に焦点が当たってしまうようなことは絶対にしたくない。せっかく各メンバーがそれぞれにユニークな持ち味があるんだからね」

――なるほど、そういう意図があったんですね。また、先ほど日本ではカヴァー曲がすごく人気とおっしゃっていましたが、『Sequin Sunrise』には前作に続いてレムリアのカヴァーが収録されていますね。2作連続で同じアーティストの曲を入れるというのは結構珍しいことだと思うのですが、それほどレムリアに思い入れがあるのですか?

アレックス「前のアルバムでは“Hunk Of Heaven”をカヴァーしたじゃない? で、今回のアルバムは1曲につき約3,000ドルかけるわけだから全曲オリジナルで行こうと思っていたんだけど、シューヘイ(Pヴァイン担当ディレクター)が言うには、〈日本では“Hunk Of Heaven”のカヴァーは人気があるし、レムリアもみんな好きだから、“All I’ve Got To Give”もやってくれない?〉って言われて、私たちも〈ああ、この曲大好き!〉ってなったの。で、日本のみんなが気に入ってくれるのであれば、ぜひやろうということになった。決めるのは簡単だったわ」

マギー「本当に美しい曲。レムリアの書く曲は本当に最高!」

レムリアの78年作『Lemuria』収録曲“All I've Got To Give”

 

アレックス「彼らは本当にクールよね。レムリアのリーダーでプロデューサーのカーク・トンプソンに著作権使用料の支払いについて連絡した時も、ハワイからわざわざ電話をくれて、音楽についてお喋りしたの。〈レコードを聴いたよ、素晴らしいね、いいバンドだね〉と言ってくれた。こんな素敵なグループの曲をカヴァーできて、しかもリーダーみずから電話をかけてきてくれるなんて、すごくクールよね。著作権使用料なんて50ドルくらいだから、電話代のほうがかかったと思うわ(笑)」

――へぇ~そうだったんですね。2曲共に大好きです!

3人「Oh, Thank you~」

――それで、ちょっと気になっていたことがあるんですが、アルバムのタイトル『Sequin Sunrise』にある〈Sequin〉という単語、これは前作のパッケージ・カヴァーにも〈Sequins for all people equal〉というメッセージが書かれていたりして、スパンデッツとしてこだわりのある言葉なのでしょうか?

アレックス「〈Sequins for all people equal〉っていうのは私たちのスローガンなの。誰をもインクルードできるバンドでありたいという気持ちがあって、国も老若男女もセクシャリティーも問わず私たちの音楽を楽しんでほしいと思っているの。そこに込められた願いというのは、私たちのショウには誰が来てもいいし、来た人みんなが楽しんでもらえればいい、というものよ」

マギー「〈Sequins(=スパンコール)〉はディスコへの回帰を表していて、みんなそんなふうに楽しんで、たくさんキラキラすればいいわね」

リジー「たくさんのキラキラ、大歓迎だわ(笑)」

アレックス「『Sequin Sunrise』は、深夜まで続いたパーティーの後のイメージを歌っているの。私たちのショウでみんな踊って呑んで酔っ払って楽しんだ後、夜が明けて太陽が水平線から昇りはじめ、水面がきらきらと光を放つ……」

リジー「トロントはオンタリオ湖に面していて、湖面に映る朝日は本当に美しいの。いつも少しだけさざ波があるから、きらきらと輝くのよ」

スパンデッツの2013年作『Spandex Effect』収録曲“Dig Deeper”ライヴ映像

 

――素敵な意味があったんですね! では最後に、次回はぜひフル・バンドで……やっぱりスパンデッツにとってホーン・セクションはとても大きい要素だと思うので、完全体のスパンデッツのライヴを観たいなと思っているのですが、日本のリスナーにメッセージなどありましたらぜひ。

アレックス「まずはファンの皆さんにはこれまでのサポートに感謝を述べたいわ。正直なところ、カナダよりも日本のほうがファンが多いの。よく自分たちでも冗談を言うんだけど、トロントには本当に数多くの素晴らしいバンドがいて、みんなが友達同士だったりするから、ライヴに来てもらうには本当に上手く説得しないといけないような状態なのよね。でも日本では、みんな本当に真剣に私たちの音楽を聴いてくれて、歓迎してくれている。遠くからやってきた私たちの歌に合わせて一緒に歌ってくれて、細かい部分にまで関心を持って聴いてくれる。TwitterやFacebook、Instagramもみんな気にして見てくれているのよ」

マギー「カナダよりすごく歓迎されていることを感じる」

アレックス「そうね。日本でレコードをリリースして、ライヴをする機会も与えられて本当に感謝している。私たちも(日本でデビューしてからの)この2年間、ここに来るのをずっと楽しみにしてきたのよ」

リジー「あと、私たちはみんなプロのミュージシャンだし、トロントでももちろんこのバンドのために一生懸命がんばってきたけど、私たちの夢を叶えてくれているのは日本のファンの皆さんなの。たぶん私たち全員がステージ上で感情が昂ったと思う。日本に来るのはそれだけスペシャルなことだったから。寛大で温かいオーディエンスの前で演奏するのは、夢のようなことよ」

アレックス「その感謝の気持ちを失うことは絶対にないと思う。仮にこれからもっとスパンデッツが大きくなって頻繁に来日することができるようになっても、この日本でのスタートを忘れるなんてことはあり得ないわ」