ベルギーの女性ジャズ・シンガーによる新作。クールネスと潤いの両方を備えたニュアンスの深い歌唱が、ますます独自の世界観を表出させている。サスペンス映画調のダークなムードは密室的でモノクローム。怖いくらい落ち着きのあるテンポ感でもって、静かに感情に揺さぶりをかける。バック陣は主張することを極力抑え、これまで以上に歌声の陰影が浮き彫りに──そんな作品。深夜にじっくり聴き浸ることをオススメする。